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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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略奪結婚。其の一

◇本土から来た男◇
略奪結婚03
気がつけば私も、人生八十年の山の八合目をとっくに過ぎていました。
それでなくとも、持病のリュウマチが悪くなる事はあっても良くなるみこみの無い私です。
あとどれくらい生きていられるものなのか判ったものではない。と気弱に成りがちな
今日この頃でございます。

そんな折り、私の脳裏に去来するのは如何しても昔の事ばかりに成ってしまいます。
年を取ると先の事を考えるより、過去の思い出が否応なく蘇ってしまうものなのです。

人生の終焉を間近に控えた身は、己の来し方を振り返ることが多くなります。
私も思い返すともなく、若かりし頃の思い出に浸る毎日を過ごしているのです。

わたしは現在、北九州のある町で夫と共に娘夫婦と同居していますが、
元々は九州の離れ小島の出身でした。
いまは、故郷の島もかなり開発が進み観光地化されて、近代的に変わったようですが、
私の娘時分にはかなり事情が違っていました。

大自然と素朴な人情に恵まれた良い島でした。
しかし、そんな長所とは対照的な因習が残っていました。
それは、略奪婚という女の人格を無視した風習がまかり通って居たことです。

今でこそ、マスコミの間で略奪愛なる言葉が面白半分に持て囃されているようですが、
私の島の略奪婚はそんな甘っちょろい者とは違います。男が気に入った女を力づくで
モノにする、という原始的で恐ろしい因習でした。

そのような風習が色濃く残る、風光明媚な気候風土の島で、私は人生の大半を
送ってきました。当時、島の主な産業は漁業しかしかなく、私の乳は網元として、
地元の漁師たちを取り仕切っていたのです。当然、乳は島の実力者した。

私は網元の家の一人娘として、まさに蝶よ花よと育てられました。家庭だけではなく、
島の者全員から可愛がられ、注目されて大きくなったと言っても過言ではありません。

長じて年頃の娘に成ってからは、その度合いは強まるばかりでした。特に男性たちからは、
憧れの眼差しがイヤと言うほど注がれたのです。

自分で言うのもおこがましいのですが、あの頃の私は島のマドンナの様な存在でした。
私は名士の娘であったばかりでなく、人目を惹かずにはおられない容姿にも恵まれて
いたのです。是も又手前味噌に成ってしまいますが、是でモテない筈が有りませんでした。

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略奪結婚。其の二

◇捧げた純潔◇
生きる事の歓び03
「剛次郎なんか、大嫌い!昔から、とてもしつこかったのよ」
「それだけ、君のことが好きなんだろう。光恵さんは、とてもモテるからね」
「何人、男の人に言い寄られようと、私は竹中さんしかみえない!」

私は、竹中の背中に回した手に力を込めました。竹中も、そんな私を強く抱き締めて
くれたのです。たちまち、胸がキュンと締め付けられる様になりました。

今まで、竹中は私に指一本触れず、男の本能を見せようとはしませんでした。
内心、私はそんな彼を歯痒く思っていました。
しかし、そんな彼が、ついに紳士的な態度を崩そうとしていたのです。私の胸は高鳴りました。
私も精神的ばかりでなく、肉体的にも竹中と結ばれる事を切に願っていたのです。
ようやく、願いが現実に変わろうとしていました。

「嬉しいよ、光恵さん、僕だって、君のことが好きで好きで溜まらないんだ!」
初めて耳にする、愛の言葉でした。私は、己の欲望を抑える事が出来ませんでした。
「カンボーの詩よりも、いまの言葉は感動的だったわ!」
私は、自ら顔を竹中の顔に近づけてゆきました。それは、接吻のおねだりでした。

「いいのかい、光恵さん?」
「もちろん。あなたに、私の総てをあげる。私の純潔をもらって!」
恥ずかしくて、卒倒してしまいそうでした。しかし、暖かく柔らかな感触に唇を塞がれると、
頭の中が真っ白になり何も考えられなくなりました。

それから、竹中は私をゆっくりと畳の上に押し倒してゆきました。私は、もはや自分の
意志によって動くことは出来ず、竹中に総てを委ねるしかありませんでした。
接吻の魔力のせいで、私の肉体は金縛りに遭ったような状態に陥っていたのです。

ようやく願いが叶うという嬉しさは、言うまでもないことでした。
しかし私は初めての体験をまえにして、ものすごい緊張感に押し潰されて仕舞そうでした。

浴衣の前が肌蹴、太腿が思い切り露出してしまった羞恥に、
私は益々身を強ばらせて居ました。露わな太腿に竹中の手が触れただけで、
「ああっ、い、いやっ」
最初の威勢はどこへやら、身の置き場もない心地に成っていたのです。
処女は所詮処女、いざとなると、からきし意気地のない私でした。

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略奪結婚。其の三

◇略奪婚◇
略奪結婚03a
「我慢だよ、我慢してくれ、光恵さん。
 女性なら、誰でも一度は経験する受難なんだ!」
「も、もちろんよ、これで私とあなたは他人ではなくなったんでもの、このくらい・・・」
強がっては見せたものの、下腹の痛みはいや増すばかりでした。

膣の中が、竹中の動きに合わせて引き攣っていました。
気絶するほどの痛苦でしたが、しかしそれでも私はそれなりに満足していました。
これで名実共に、愛する人と一つになれたのですから。

「うううううっ、何てけなげなんだ。いいよ、僕は最高だよっ」
竹中は、快感も佳境に入っていたようでした。自分のことはさておき、
愛する人に歓んで貰えて、私も幸せでした。竹中の律動が、いっそう激しくなりました。

あたかも、血の道を金タカシで擦られているような心地でした。それはそれは、
快感とは程遠い感覚でしたが、幸福感は少しも色褪せることはありませんでした。

「おおおおーっ、ゴメンよ、僕だけ、僕だけこんなイイ思いをして!」
吠えるように叫ぶと、竹中の動きがストップモーションのように静止しました。
直後、私は膣奥に生暖かい飛沫を感じていました。ついに、私達は結ばれたのです。

カラダは痛みにのたうち回っていましたが、精神面では充分、満ち足りた初体験でした。
(これで、私は身も心も竹中のもの、もう、私達を引き裂くものは何もないわ)

もう竹中から離れない・・・私は、本気でそう信じていました。心から陶酔していました。
けれど、コトは私が思うようには運んで呉れませんでした。

竹中と結ばれたあの頃が、私にとっては幸せの絶頂だったかも知れません。
私は、生まれて初めての恋愛に浮かれ切っていました。
他のものは、何も目にはいりませんでした。

しかし、恋する乙女に対して世間は余りにも辛辣でした。
狭い島の事、私と竹中の事は忽ち噂に成ってしまいました。
噂は勿論、父の耳にも届いていました。
「おめえ、村役場の青二才と付き合っているそうだな、光恵?!」
父は、島の人々と同様、私と竹中の交際に反対でした。

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略奪結婚。其の四

◇監禁された花嫁◇
中出し33
「おとなしく言う事を聞くんだっ。おまえは、先からオレのモンだと決まってるんだ!」
「な、何をバカなっ。イヤよ、死んでもイヤぁ!誰が、あんたなんかとっ」
私は、力の限り抵抗を試みました。私には、竹中以外の男に操を許す積りは
有りませんでした。私は死に物狂いで暴れまくりました。

とは言え、剛次郎は筋肉隆々の肉体、力自慢の男です。私がいくら暴れたところで、
彼にしてみれば蚊がブンブン飛び回っているくらいにしか感じていなかったようでした。
「ふふふ。いい根性してる。さすがは、オレの女房になる女だぜ!」
「だ、誰がっ。離して、家に帰してーっ。
 こんなことして、うちの父さんが黙ってるとでも思うのっ?!」

私は、必死でした。死んでも、この荒くれ男から身を守る覚悟でした。しかし、
「ハハハハッ。そりゃあ、剛次郎、良くやった、と褒めてくれるだろうよ。
 光恵、おまえ、今夜の事を網元が知らないとでも思ってるのか?
 網元は、オレと光恵の結婚を望んでるんだぜ。
 村役場の青二才に取られるくらいなら、オレの方がずっとマシだってよ」

剛次郎の勝ち誇ったような台詞を耳にしたとたん、父も、今夜の強奪行為を黙認した?
私は、固まってしまいました。しかし、意外ではありませんでした。
確かに、父は私が漁師と結婚することを強く希望していたのです。

「判ったか?判ったら、観念しろ。あの男より、いい思いをさせてやるからな」
浴衣の紐は解け、もう半分裸の様なものでした。その浴衣まで剥がされ、
私は恥ずかしい生まれたままの姿を明るい電灯の下に晒していたのです。

「思ったより、いいカラダしてるじゃないか。オッパイなんかも、けっこうデカいしょ。
 このカラダならオレのガキを何人も生んで呉れそうだな。
 初物をあの野郎に取られたのは癪に触るが、まあ仕方ねえ」
「ひーっ、や、止めてェっ、助けて、誰かっ。父さん、竹中さーん!」

ガバッと乳房を掴まれると、恐ろしさに生きた空も有りませんでした。
剛次郎のいかつい顔が目のまえに迫り、恐怖がいよいよ募っていったのです。

「いくら、喚いても無駄だよ。オレたちゃ、今夜から夫婦になるんだ!」
剛次郎が、鷲掴みにした乳房をワシワシと揉み始めました。痛みと屈辱のために、
涙がボロボロと溢れ出てきました。もう、諦めるより仕方がありませんでした。
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略奪結婚。其の五

◇女は強い男に惹かれるもの◇
恋人のキス01
現在なら、まず考えられない事でしょうが、それ以来、私は実家へ帰ることが叶わなく
成りました。どんなに泣いて頼んでも、剛次郎はそれを許しては呉れませんでした。
殆ど軟禁状態でした。剛次郎一族に見張られ、私は彼の家から一歩も外に出る事が
出来なかったのです。それどころか、強奪されてまもなく、
「今度の大安の日に、祝言をやる。あ、それから竹中のヤツは、本土へ戻ったそうだぜ」

剛次郎が、こう言い放ったではありませんか。私は、腰を抜かしました。
「な、何ですって?! し、祝言?竹中さんが、この島を出たの?」
「そうだよ、祝言の事は勿論、おまえの親父も了解済みだ。
 それに、竹中、アイツは本当に腰抜けだな。ちょつと、脅かしをかけたら尻尾を巻いて
 退散しちまったぜ」

私がどれほどショックを受けたか、改めてここに書き記すまでも無い事でしょう。
恋人は逃げ、好きでもない相手と無理矢理、結婚させられてしまう己の運命・・・
けれど、その時代、女性は親の言いなりに結婚することが珍しくはありませんでした。
どれほどイヤであろうとも、女の私には選択の余地はなかったのです。

それから、ほどなくして私と剛次郎は盛大な祝言をあげました。
両家の親戚は言うに及ばず、地元の人も自分の事の様に祝福して呉れました。

けれど、当の花嫁である私だけは浮かない表情を消すことが出来ませんでした。
来る日も来る日も、涙を友達に暮らしていました。まるで籠の鳥のような結婚生活でした。

それに、私は剛次郎が恐ろしくて成りませんでした。彼は、私がなかなか心を開かない事に
業を煮やし、事有るごとに私に辛く当たったのです。
「おめえは、まだ竹中の事が忘れられずにいるな?
 だから、そんなにしょぼくれた顔ばかりしてるんだ。ええい、辛気くせえ!たいがいにしろっ」
「あああっ、い、痛いっ!」

剛次郎は気に食わないと、女の私にも平気で暴力を振るいました。
ひどい状況でしたが、よくよく思えば、それも仕方ないことだったのかも知れません。
何しろ、新妻が他の男の影を心の中に宿し続けていたのですから、
新郎だって堪忍出来る筈もなかったのたでしょう。

夫・剛次郎の暴力は、夫婦の営みのとき、とくに顕著でした。新婚当時の性生活は、
それはスリルに満ちていました。私達の交わりは、原始時代のそれそのものでした。
夫は昼夜を問わず、催せばいつでも私に挑んで来ました。私は、それが恐怖で
堪りませんでした。昼間だからといって、気を抜いている暇もありませんでした。


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セックスレス夫婦の今と昔。其の一

◇愛情は芽生えるもの◇
セックスレス夫婦の今と昔01
人の一生を平均八十年とするならば、私の人生は八合目を過ぎた辺りかも知れません。
女六十、波乱の人生続きで、これまでさまざまな劇的出来事の連続でした。

私は昭和二十年、横浜の下町で生まれました。其処は横浜で唯一、
鳳神社が有る遊郭街の近くで、実家は雑貨屋兼タバコ屋を営んでいました。
私は女学校を卒業すると、実家の手伝いを始めたのです。其の頃の私は、
いまでは死語になったタバコ屋の典型的な看板娘でした。

年は二十歳、器量は十人並みでしたが、愛嬌豊かで話好きな私はかなり商売向き
だったのではないかと思います。
「のりちゃん(典子と言います)はホントにいい娘さんだね。可愛いし、働き者だ。
 のりちゃんみたいな娘が、ウチの敏明の嫁に成って呉れたらどんなに良いだろう」
私のファンは大勢いましたが、其の中でも“紅葉湯”の女将さんは、
タバコを買いに来る度にこう漏らしていました。紅葉湯は町内では只一軒の銭湯でした。

「ふふふ、いやだァ、おばさん。会う度にそんな事言って、恥かしいわ。
 敏明さんは、私の事なんかちっとも好きじゃないわよ」
飯塚敏明は女将さんの一人息子で、紅葉湯の跡取りでした。
当時の彼は横浜国立大学経済学部の四年生で、小さい時から頭が良く、
映画俳優にしてもおかしくない二枚目で、近所の娘達の憧れの的でした。
当の私も、小さい頃から敏明に熱を上げていた一人だったのです。

ですから、女将さんの言葉が内心嬉しくて堪りませんでした。
しかし、女将さんの希望が、まさか現実のものに成ろうとは思っても居ませんでした。
なぜなら、敏明が私に特別な感情を持っていないことは明らかだったからです。
いくら若かったとは言え、私にだって其の位の事は判りました。おまけに、敏明には
美人の恋人がいると言う噂がありました。けれど女将さんはとても強硬でした。

「大丈夫だよ、のりちゃん。この私が敏明を説得するからね。
 嫁にするには、のりちゃんみたいな女の子が最高なんだ。
 この私の眼鏡にかなったのりちゃんと結婚するのが、敏明にとっても、
 紅葉湯にとっても一番良い事なんだから・・・」
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セックスレス夫婦の今と昔。其のニ

◇元の恋人の名前!◇セックスレス夫婦の今と昔03
「ねぇ、敏明さん、今夜も疲れてるの?」
その夜も、夫は遅く帰るなり黙りこくったまま、蒲団に入ってしまいました。結婚すれば
夫婦の情も自然と湧いてくる・・・姑の言葉を裏切るような結婚生活の始まりでした。

私達の新婚生活は、世間一般で考えているような甘いものでは有りませんでした。
「ああ、そうさ。仕事が忙しくてね、もうクタクタなんだよ」
新婚の夫は何時も私に背を向けていて、それに不愉快そうでした。

取り付く島の無い夫の態度に、私は我慢が出来ませんでした。
私達にはセックスどころかろくな会話も無かったのです。
はしたないとは思いつつも、私は夫にのしかかっていきました。

「何よ!私だって朝から晩まで働きづめなのよ。毎日毎日番台に座って、
 従業員の世話をして、帳簿をつけて、一日中紅葉湯の仕事をしているんだからっ」
「いいじゃないか、君は紅葉湯と結婚したんだ。最初からそう言っておいただろう?」

私はカッと来ました。夫に愛が無いのは初めから判っていた事ではありました。
けれど、そう面と向かって言われると、私のプライドが許しませんでした。
「ひどいわ、そんな・・・あなたが紅葉湯を継がないから、
 私が代わりに頑張っているんじゃないのっ。それに、仮にも私はあなたの妻なのよ!」
「ああ判った。判ったよ!抱いて欲しいんだろう?抱いてやればいいんだなっ」

ヤケクソの様に吐き捨てると夫は私を蒲団にねじ伏せてきました。
優しい言葉も、情熱的な愛撫もありませんでした。
それどころか、彼は行為に憎悪さえ漂わせていたのです。

この人は私を愛して居るどころか、憎しみすら覚えているかもしれない。
私は痛烈な悲しみに突き上げられていました。もうプライドはズタズタでした。
「ああっ、いゃ、いやょ、いやょ、こんなのっ、やめて、敏明さん!」

悲しきは女の性でした。一応抗いのポーズは取ったものの、
私は夫を拒み切れませんでした。たんに獣欲だけで抱かれるにせよ、
夫と肌を合わせることを私は心と肉体で望んでいたのです。
悔しいけれど、私の方は夫を愛してやまなかったのですから。
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セックスレス夫婦の今と昔。其の三

◇愛の代償行為◇
セックスレス夫婦の今と昔06
どんな形であれ、私にとっては貴重で数少ない夫婦のいとなみでした。
そんな数少ない営みなのに私も彼も余程健康体だったのでしょう、
あるいは神様の思し召しだったのか私は四年の間に一男二女の子供が生まれました。
妊娠中はこれ幸いと夫は私の身体には手を触れては来ませんでしたが、
セックスをすると直ぐ妊娠してしまうのでした。

子供が生まれ子育てに追い捲られている時期は不平不満を言う暇も無く
過ごしたのですが。子育てにも落ち着き、性欲も強くなってきた。
三十才に近くなる頃からが本当の地獄でした。

夫が私を愛していなかったのは百も承知でした。けれど、私は私なりに努力した積もりでした。
夫が私を嫌いなのは、私の器量のせいなのだと思い、せめてみなりだけには気を付けました。
忙しい最中でも、夫がいるときには化粧や髪を整えることを忘れませんでした。
食事の支度にも手を抜きませんでした。煮込み料理が好きな夫の為に、
どんなに疲れていても、時間を惜しまず料理にいそしんでいました。

そんな涙ぐましい努力もみな徒労に終わりました。いつまで経っても、
夫が私の方を振り向いてくれる気配は、微塵も感じられませんでした。

いいえ、それどころかまたぞろ夫の浮気が発覚したのです。もともと夜遅く帰る事の多い
夫でしたが、外泊がちになったのです。食べ物や服装の好みが変わってきたのです。
いままでは殆ど生ものを食べなかったのに、刺身を好むようになったり、
地味な服しか着なかったのが急に派手好みになったり・・・
明らかに、また愛人が出来たとしか考えられませんでした。

都市銀行に勤めていた夫の周りには若い女性が大勢いました。チットの間の浮気は
数え切れないぐらいしてきた事でしょうが、外泊してまでの女はそんなに居ませんでした。
ある日、我慢できなくなって夫に問い詰めました。
「あなた、又女が出来たんじゃないの?近頃おかしいわね!」

彼はいけしゃあしゃあとその事実を認めたのです。いともあっさりと、
銀行の後輩との浮気を白状したのです。予測していた事態とはいえ、
私は愕然としました。浮気自体は十分に考えられることでしたが、
もっともショックだったのは私が詰め寄った時の夫の態度でした。
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セックスレス夫婦の今と昔。其の四

◇凌辱されている実感◇
セックスレス夫婦の今と昔09
快楽を待ちわびてネットリと潤っているワレメに、私は軽く指を触れました。
「ああっ、はああーっ・・・」その途端、身体が小刻みに震えました。
ほんのチョツトした刺激にも、飢えたワレメは過敏な反応を示すのです。
そうなるともう、軽い刺激だけでは物足りなく成りました。

私はしゃにむにワレメを弄り回しました。
今日の夕方一番に来た客のペニスは、すごかったっけ・・・
先っぽがキングコブラの頭みたいに張っていて、胴体も長かった。
それに太さも相当のものだった。馬と比べたって決して見劣りしないに違いない。
(あんな大きなペニスを挿入されたら、一体どんな心地がするだろう。
 きっと、気絶してしまうにちがいない)

私はその客に犯されているところを想像していました。
客の顔はほとんど覚えて居ませんでしたが、ペニスと顔は関係ありません。
ただ、ペニスの色、形までが鮮明に瞼に焼き付いていました。

私は忽ち淫蕩な想像の世界に埋没していました。逞しい男に組み伏せられ、
太腿を押し開かれる。そして、無理矢理あの馬並のペニスを突っ込まれるのだ。
そう考えただけで、愛液がダラダラと流れてきました。荒々しい衝動に駆られ、
私は指を膣奥深く突っ込まずには居られませんでした。

「あああああーっ、い、いやーっ、でももっといれて、いいーっ」
前後左右に腰を振りたてながら、私はしゃにむに指を突き立てていました。
ワレメはグチャグチャとイヤらしい音をたて、歓喜の呻き声さえ上げていました。

私は想像の世界でしか快感を得られない女でした。快感に溺れながらも、
私をそんな女にした夫を怨みました。男のペニスを頭に描きながら、
夫に指一本触れてもらえないわが身を自分で犯すことで、熟れ盛りの肉体を
鎮めるほか手だてのない惨めさと情けなさに泣きました。
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セックスレス夫婦の今と昔。其の五

◇初めての不倫◇
セックスレス夫婦の今と昔11
夫婦仲は冷え切ったままでしたが、子供達は素直な育って呉れました。息子と長女は
社会人となり次女は短大に入学が決まり、やれやれと思った矢先私の唯一の味方であった
姑が亡くなったのです。そして浴場経営は曲がり角に来て居りました。
各家庭にも風呂が有るのが当たり前の時代に成り、大得意だった娼婦達の
住まいがアパートがらマンションに代わる度に銭湯に行く事もなくなって来たのです。
紅葉湯もサウナや露天風呂を新設改装したりと色々な経営努力がありました。

そして私の身にも異変が起こったのです。四十ニに成ったばかりの頃だと思います。
入浴中、私は左の乳房の下の方に異常を感じました。
栗の実位のしこりが、指に触れたのです。(これはおかしい?)と私は翌日、
近くの市大病院へ行きました。結果は無残なものでした。

「乳ガンですね。それも、もう二期に入っています。いますぐ、手術が必要です」
私は、蒼白に成りました。当時、ガンの告知と言えば死刑の宣告にも等しいものでした。

「悲観しないで下さい。乳房を失う事に成りますが、速やかに手術をすれば生存の
見込みは十分にあります」
医者は淡々として言いますが、女にとって乳房は命も同然です。
其の頃はまだ乳房温存手術などとは一般化しておらず、乳ガンの治療といえば、
切除しかなかったのです。

私は即、手術に踏み切る気には成れませんでした。結婚しているとはいえ、
ほとんど男に可愛がって貰った事のない肉体です。
このまま、何もいい思いも出来ない儘に乳房を切り取ってしまうなんて、
余りにも悲しすぎるでは有りませんか。
ガンの宣告を受けてから、私は思い詰めました。手術をしなければ、死んでしまう。
しかし、此の儘では乳房を切除する気にはとても成れない。

夫にガンである事を打ち明けました。チョツト気遣う言葉は掛けてくれましたが、
愛人と別れて私の側に居てくれる様な人ではありませんでした。そんな夫に、
優しさなど期待できるはずも有りません。夫に見返られる事もなく、
ただひたすらオナニーと仕事に明け暮れてきた二十数年でした。夫が他所の女に
うつつを抜かしていても、私は只の一度も不貞を犯しては居ませんでした。
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セックスレス夫婦の今と昔。其の六

◇舐めてっ、そして嵌めてーっ◇
セックスレス夫婦の今と昔14
「だから、いまのうちに可愛がってやらなきゃいけないんだよ。
 一杯一杯、良い思いさせてやらなきゃならないんだ。
 ああ、だからお願いだよ、もっともっとォ!」

そのときの田代の顔を私は、いまでも思い出す事が出来ます。
驚きと悲哀と慈愛が入り交じった複雑な表情でした。
私が告白したとき、夫ですらそんな情け深い顔はしてくれなかったのに・・・

「ガッテンだよ、任せとけってんだ。オレが、とことん歓ばせてやるさ」
田代は、貪欲に乳房を愛撫しはじめました。
裾野から押し上げ、全体をくまなく揉みこんで、乳首を心ゆくまで吸いたてる・・・。
それはそれは、水も漏らさぬような緻密な愛撫でした。

私は、もう夢見心地でした。夫との殺伐とした営みしか知らない私にとって、
田代の行き届いた愛情深い愛撫は、
まさに青天の霹靂だったと言っても過言ではなかったでしょう。

ワレメから淫水が溢れ返り、そのトロッとした淫水の滴りようといったら、
其れこそダムが決壊したようなありさまでした。子宮から溢れ出た女液が
ワレメを伝って、ドロドロと田代の腹部を濡らしていたのです。

ズキーンズキーンと鋭い快感が、絶えず私を責め苛んでいました。
もはや、乳房への愛撫だけではどうにも収拾のつかない状態です。
「あはーっ、舐めてっ、我慢できないっ、オマンコ一杯舐めてーっ」

もう、見栄も体裁も有りませんでした。私はズルズルとカラダを上へ移動させ、
濡れそぼった下腹部を田代の顔になすりつけていたのです。

「うああああーっ、ひーっ、ご、極楽だよォっ。何て、気持ちいいんだァ!」
硬く尖った舌にクリトリスをキューッと吸いたてられ、
私は旅館中に響きわたるような大声を放っていました。
子宮を直接、手掴みされたような快楽が湧き上がってきたのです。
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セックスレス夫婦の今と昔。其の七

◇女の幸福って何だろう?◇
セックスレス夫婦の今と昔17
田代との関係も、結局一週間ほどでおわりました。短くも激しく燃えた一週間でした。
田代は多くのものを私に残してくれました。

「オッパイがなんぼのもんだよ。女将さん。命には代えられやしないさ。
 オッパイが片一方しか無くなったって、あんたはずっとオレの観音さまだよ。
 手術は頑張れよ。オレも蔭ながら成功を祈っているからな・・・達者に暮らせよ」
この言葉がどれ程心の支えになったかしれません。胸に染み入る台詞を置き土産に、
田代は次の飯場へと移って行きました。

田代が去った数日後、私は手術を受けました。
手術が終わって左の乳房に手を当てた時のショツクと悲しみを、私は二十年経った
今でも鮮明に覚えています。裸に成って見ると、其処には豊かな肉の丘の代わりに、
無残な傷跡が痛々しいほど刻まれていました。

暫らくは青い海の底に沈んだような心境でしたが、身体が回復すると、
私はまた紅葉湯の仕事に精を出しはじめました。身を粉にして働く事だけが、
精神的に回復する一番の特効薬だったのです。周りの者がとめるのも聞かずに
私はは以前のように働きました。全ては私自身が選んだ人生なのだ・・・
それは、死を賭けた大手術を経て私が実感たことでした。

元はと言えば、夫に愛されていないと承知していながら、押し掛け女房の様にして
主婦になった結婚なのです。夫ばかりを恨んで生きていっても仕方がないでしょう。

(要は残りの人生なのだ。
 折角救って貰った命を無駄に過ごしては、バチが当るではないか)
そんな風に達観できる様に成ったのも、手術と田代のお蔭かも知れません。

此の儘夫に振り向いて貰えなくとも構わないわ・・・と一種、
開き直りにも似た気持ちに成った時でした。ようやく、結婚三十年も経って
夫が私の元に帰って来てくれました。

夫の勤め先の健康診断で血液中のヘモグロビンの値が低く貧血状態だ、
腹部の何処かに出血しているのではないか、精密検査をした方が良いと言われたのです。
早速、市大病院で腹部内視鏡検査をして貰った結果。

大腸がんの一種“S字結腸がん”で手術が必要と診断されたのです。
途端に其れまでの強気な夫の面影は影を潜め、極端に落ち込んでしまい、
病院での説明に私も一緒に行って呉と言うのです。私の時にはあんなに冷たかったのに・・・
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生きることへの歓び。其の一

~体験した死の恐怖~
生きる事の歓び01
気が付けば、私もとうに人生の折り返し地点を過ぎた年齢と成り、
思い返すともなく過去の日々を、胸に蘇らせる事が多く成りました。
誰の人生にもドラマがあるでしょうが、私の半生も、
それはそれは様々な出来事に彩られた六十有余年でした。

とくに一生を左右する、印象的というより衝撃的な事件が起きたのは、
私が高校三年生の夏でした。高校生活最後の夏、私は仲良しのクラスメートと
二人で静岡県の民宿に、三泊四日の予定で海水浴に出掛けました。
そこで、あのアクシデントに見舞われたのです。

初めて友人と旅行する嬉しさに、私は少々浮かれ気味でした。
親元から離れ事が出来たという解放感は言うに及ばず。
白浜の海も息をのむほど美しく、それは愉快な時間を過ごしていました。
しかし、旅も三日目に入った時の事です。

「ねぇ、美智子、そんなに遠くまで行ったら危ないよ!」
「平気、平気!私、泳ぎには自信あるんだから。向こうに見える島までだって行けるわ」
友人の言葉に耳を貸そうともせず、私はスイスイといい調子で沖の方まで泳いで
行こうとしていました。ところがその途中、急にこむら返りが起きたのです。

「ううっ、痛ーい!誰か、誰か助けてっ・・・」
目から火が出るほど痛くて、もう泳ぐどころではありませんでした。
溺れる、死んじゃう・・・周りには人影も見えず、私はただ恐怖に慄きました。

「ああーっ、も、もうダメっ。う、ううっぷ、うっお、おかあさんーん!」
だんだんと意識が朦朧としてきました。大分水を飲んだようです。
(もう、私はこのまま死んでしまうんだ)そう思ったとき、
後ろから誰かの手が私を掴んだような気がしました。

私の意識は、其処までで途切れてしまいました。
次に気付いたのは、浜辺の上でした。

「ここはどこ?私は誰?」まさにそんな状態で私は目覚めました。
フッと目を開けると、大勢の人が私を囲んで見守っていました。
しかも、口が塞がれていたのです。
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生きることへの歓び。其のニ

~初体験への期待と不安~
生きる事の歓び03
私の住む栃木県と彼の住む静岡県は、当時は何度も電車を乗り継いで五時間余り・・・
私達の交際は今で言う遠距離恋愛でした。
今でこそ遠距離恋愛は珍しくはありませんが、四十年以上前のあの当時、
遠く離れた恋人達は其れは辛い、切ない想いを強いられたものでした。

今と違って交通の便も悪く、長距離電話もそうそう簡単に掛けられる
時代ではありませんでした。ですから、私達は専ら文通に頼るほかなかったのです。
それこそ毎日の様に私は彼に手紙を書き、送りました。

ーー愛しい聡さまへ
もう、秋の訪れの気配を感じるようになりました。木の葉の舞い散る姿を見ては
あなたを思い出し、柿の実の赤く色づくさまを眺めては、あなたのことを想い出す日々です。
こんどあなたに会えるのはいつのことでしょうか。早く、早く会いたいーー

もちろん、彼からも追って返事が送られて来ました。聡からの手紙が、私の生きる喜びでした。
彼の手紙を開封する時のときめきを私は今でもはっきり覚えています。

ーー可愛い美智子へ
僕だって君に会いたくて仕方ない。君の筆跡だけじゃなくて、君の指の温もりに触れたいよ。
僕だって、何時も君のことが頭から離れない。あの別れの日、君と交わした口付けの味を
思い出すたびに、切なくてどうしょうもなくなるんだ。だけど、喜んで呉れ。
来月、東京の事務所に行く事になった。東京と栃木は近い。
会えるんだよ、美智子!今からワクワクして眠れないよーー

この手紙を読んで私は思わず飛び上がるほどの興奮で身体が震えてしまいました。
あの夏以来、やっと聡に会えるのです。彼は観光局の仕事をしていて、たまに東京の
事務所に足を伸ばすと聞いていましたが、ようやく会えるチャンスが来たのでした。
どんなにこの日を待っていたことでしょう。

彼がやってくる日、私は朝からソワソワと落ち着きませんでした。
一張羅の赤いワンピースに身を包み、私は歓び勇んで待ち合わせ場所に出掛けました。
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生きることへの歓び。其の三

~ヌルヌルは快感の絞り汁~
生きる事の歓び06
「綺麗だよ、想像していたよりずっと綺麗だ!」
彼のその一言で、羞恥は直ぐに歓びに変わりました。
聡に裸を見られることはもちろん恥ずかしかったけれど、
それより嬉しさの方が大きかったのは、やはり女心と言うものでしょう。
そして、裸に剥かれると快感はグングンと燃え上がり、高まりました。

私を丸裸にすると彼も衣服を脱ぎました。聡の肉体はまるで彫刻のようでした。
海で鍛えた肉体はほどよい筋肉に包まれて、私の燃える性感に更なる油を注いだのです。

「あっ、むうううううっ!」
素っ裸になって、私達はキスより激しい愛撫を始めました。彼に乳首を吸われ、
私は鋭利な快美に貫かれたのです。乳首がこれほど敏感な性感帯だったなんて
この時初めて知りました。しかし、衝撃を受けるにはまだまだ早すぎたようです。

「あはーっ、い、いやっ、そ、そ、そんなトコっ・・・」
乳首を啄ばみながら、彼がワレメに指を差し入れてきたのです。当然、自分以外の
指を許したことの無い場所でした。またしても羞恥がどっとこみ上げて来ました。

「バカだな、美智子は、・・・ここんトコが気持ちいいんじゃないか」
と、彼はニュルニュルとワレメを掻き回しました。確かに最初は恥ずかしさの余り、
パニックに陥ってしまったけれど、そのうちだんだんおかしな気分になってきました。

「ああっ、はああーっ、な、何だかフワフワしてきたわ。地に身体が着いてないみたい」
「そうだろう?ヌルヌルしたものが、一杯出てきたぜ。いい調子だ・・・」

ヌルヌルしたものの正体が、快感の絞り汁であることに私は始めて気付きました。
やがて、私は指の動きに合わせて腰を振る真似さえしていたのです。

「握ってごらん。これが美智子の身体の中に入るんだよ」
恍惚と成った私の手を、彼が股間に導きました。
その凶暴なまでに強靭な手応えに、私は叫び声を上げずには居られませんでした。
それはまるで鋼鉄みたいな硬い肉の棒でした。 
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生きることへの歓び。其の四

~嘘、ウソ、恋人が死んだ!~
生きる事の歓び09
「拝啓 美智子さま お元気ですか。僕の方はぼちぼちです。
 仕事も順調で毎日楽しくやっています。あなたも仕事を頑張って下さい」
聡と結ばれて一年、その間には色々な事がありました。
まず、私は高校を卒業して短大に進学し、聡は友人と二人で、
小さな旅行代理店を共同経営することになったのです。

私達の交際は相変わらず文通で、会えるのは三、四ヶ月に一度が良い処でした。
しかし、其のうち私はおかしな事に気付き始めました。
相変わらず彼らは手紙が来るものの、明らかにその文面が変ってきたのです。
それは何だか他人行儀で味も素っ気も愛情も感じられない手紙でした。
おかしいと、私は直感しました。とても、聡が書いた手紙とは思えませんでした。

有る時期を境に文面がころっと変ってしまうなんて、書き手が変ったとしか考えられません。
そう思うと、もういても立ってもいられませんでした。
もしかしたら、聡は心変わりをしてしまったのだろうか。それとも彼の身に何かあったのでは?
とにかく聡のところへ行ってみよう。私は意をけっして、彼の住む街に行きました。
そこで待っていたのは余りにも残酷な事実だったのです。

「、美智子さんですか・・・判りました。駅前で待ってて下さい」
彼の家に電話すると、聡とよく似た男の人の声が聞こえてきました。
駅前で待っていた私の前に現れたのは、聡とは似ても似つかない貧弱な男の人でした。

「はじめまして、僕、聡の弟の隆です。何で僕がここに来たのかとお思いでしょうね」
聡の弟・中谷隆は、にわかには信じられないことを口走ったのです。
「兄は死にました。もう、三ヶ月になります」
「えっ、い、いま何て・・・何ていったの?」
青い空と茶色の地面が、ひっくり返ったように思えました。

もう一度、隆は言いました。
「兄は死んだんです。自殺でした。いっしょに会社を経営していた友人が、
 会社の金を持ち逃げしたんです。会社も巧くはいっていませんでした。
 あちこちに借金を重ねて、その借金も兄一人の肩に・・・
 その重圧に耐えられなかったのでしょう」
「う、嘘よ!嘘よ、そんなっ。聡が死んだなんて、私に黙ってそんなっ」
涙が滝の様に溢れ出しました。私は隆の胸ぐらを掴んでいました。

「美智子さんの事は兄から良く聞いていました。直ぐに知らせようかと思ったんですが、
 気の毒で出来ませんでした。申し訳ありません。手紙は僕が代筆していました」
その言葉を聞き終わらないうちに意識が遠くなり、私はその場に失神して倒れていました。
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生きることへの歓び。其の五

~男は見かけじゃない~
生きる事の歓び11
隆との初夜に、私はあえて聡と行った連れ込み旅館を選びました。
いつまでも聡との思い出の中に生きていてはいけない。
これからは隆と共に人生を歩んで行くのだ。

聡との思い出を吹っ切るために、私は辛い気持ちを押し殺して、
馴染みの連れ込み旅館に隆と手に手を取って入っていったのです。
隆はここでも私に気を遣ってくれました。

「無理してないかい?別に今夜でなくてもいいんだよ」
「ううん、いいの。私、貴方に従いていく。あなたの女になりたいの」
私は自ら隆にしがみつきました。

「忘れさせて、聡さんのことを。私は今日から生まれ変わる。
 もう辛い思いをするのはイヤ。抱いて、抱いて頂戴、隆さん!」
私は隆を布団の上に押し倒しました。聡寝た時と同じ、あの緋色の布団でした。
目頭が熱く成りました。隆とセックスするのは現実逃避だと判っていましたが、
この時の私には隆と寄り添うより他に、この苦境を乗り切る術はありませんでした。

「好きだよ。美智子さん。初めて逢った時から好きだったんだ!」
私達はお互いの服を毟り取りました。裸に成った瞬間から、私はケダモノじみた
欲情に貫かれていました。寂しさと辛さがすべて、欲望に変ったという感じです。

せめぎ寄せる欲望のままに、私は隆の股間に掴みかかっていました。
そこは既に過敏な反応を示していました。
隆のペニスは私の手の中で隆々と猛り勃っていたのです。
「うっ、ううっ、美智子さんっ。か、感じるよっ」

私はしゃにむにペニスを擦りたてました。勃起が大きくなればなるほど、
私の割れ目もジュクジュクと濡れ滴っていったのです。
凄まじい快感の嵐が吹き荒れました。

「あっ、うううっ・・・」
隆も負けてはいません。彼も私の割れ目に指を突き入れました。
とたん、鋭利な愉悦が子宮を突き上げたのです。
思わず私は腰を跳ね上げていました。
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生きることへの歓び。其の六

~最後の抱擁?~
生きる事の歓び14
最初は巧くいっていたレストランも、二、三年するうちに毎日、閑古鳥が鳴くように
成ってしまったのです。借金ばかりがかさんでいく日々でした。

「もう、二進も三進もいかない。僕の力がたりなかったばかりに、ごめんよ・・・」
私も隆も身を粉にして努力しましたが、どうにもなりませんでした。 これ以上、
店を続けていくことが不可能となり、私達はレストランを閉める事にしたのです。

私達に残されたのは多額の借金だけでした。本当に気の遠くなる様な額で、
どうやって返済していっていいやら、途方にくれるばかりでした。

「美智子、旅行にいかないか?気分転換にいいだろう」
と、ある日、隆が思い詰めた顔で私を誘いました。
そして、私達は温泉で有名な近くの観光地へと足を伸ばしたのです。
そのとき「ふっ」と不吉な予感がはしりました。

「散歩に行かないか。夜の海も中々いいもんだよ」
温泉につかり宿で夕食を摂った後、隆に誘われるままに私は夜の散歩に
出かけました。もちろん砂浜には人影はなく、私たち二人きりでした。

「いままで本当にありがとう。美智子、僕は幸せだったよ」
浴衣が汚れるのも構わず、私達は浜辺に腰を降ろしました。
するし、隆は辞世の挨拶を始めたではありませんか。
おまけに彼の手には、薬の瓶の様なものが握られています。
私の背筋に冷たいものが走りました。やはり彼は・・・と思った瞬間。

「最後に、おまえを一杯抱きたい。愛しているよ・・・美智子!」
私は隆に荒々しく砂浜に押し倒されていたのです。

夫の気持ちが痛いほど伝わってきました。私は誰もしない夜の海辺で、
隆に肉体を開こうとしていたのです。
この時のやるせない気持ちは、今でも脳裏にはっきり焼きついています。
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生きることへの歓び。其の七

~死んだ積りで生きる~
生きる事の歓び17
夫は粘膜が擦り切れるのではないかと言うほど私を舐めたて、私は私で噛み千切る
くらい猛烈に隆を責め立てたのです。顎が痺れ、もう感覚がなく成っていました。
それでも、私は夫の股間に食らいついて離れませんでした。
夫もまた情熱的なオーラル攻撃で、私に喜悦の声を上げさせていました。

どうしてこんなに心地いいのか、没頭できるのか不思議でした。
このときの私達の心境は、やはり異常なものだったと言わざるを得ません。

「もう、おまえの中に入れたいよ。たっぷり精液を浴びせてやりたい!」
やがて夫が差し迫った口調で叫びました。私は嬉々として夫を迎い入れました。

「きて、入ってきて、あなたっ。私も、もう我慢できないっ」
私も夫にしがみついていきました。体勢を入れ替え、隆は私に圧し掛かってきました。
大きく足を広げ、私は突進してくる夫を受け入れたのです。

「うっ、くくくーっ!」
「はあああああーっ、あ、あ、あなたァッ、すごいっ・・・」
夫の律動には鬼気迫るものがありました。隆は目にも止まらぬ早腰で
私を打ち始めたのです。そのパワーたるや、息も止まるかと思ったほどでした。

そういう私もしかし、負けてはいませんでした。夫のリズムに合わせ、しゃかりきになって
腰をバウンドさせていたのです。まるで闘いのような肉交でした。
セックスは“生きる事”其のものだ、と私は痛感せずには入られませんでした。

このパワーがあれば生きていける。借金なんかに負けるはずはない。
目から鱗が落ちた気分でした。
「あなた。私、死なないわよ。あなたも死ぬなんて考えちゃダメっ」

快感に押し揉まれつつも私は絶叫していました。夫もハッと私の顔を見つめました。
「聡さんの二の舞なんて絶対にいけないわ。聡さんはあちらの世界に行ったけど、
 私達はこの世で命をまっとうするのよ。大丈夫、私がついているから。
 聡さんだって天国から私達を見守っていて呉れているわ。
 こんなに力強いあなたが死ぬなんて、許されないわよ」

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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
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