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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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セックスレス夫婦の今と昔。其の五

◇初めての不倫◇
セックスレス夫婦の今と昔11
夫婦仲は冷え切ったままでしたが、子供達は素直な育って呉れました。息子と長女は
社会人となり次女は短大に入学が決まり、やれやれと思った矢先私の唯一の味方であった
姑が亡くなったのです。そして浴場経営は曲がり角に来て居りました。
各家庭にも風呂が有るのが当たり前の時代に成り、大得意だった娼婦達の
住まいがアパートがらマンションに代わる度に銭湯に行く事もなくなって来たのです。
紅葉湯もサウナや露天風呂を新設改装したりと色々な経営努力がありました。

そして私の身にも異変が起こったのです。四十ニに成ったばかりの頃だと思います。
入浴中、私は左の乳房の下の方に異常を感じました。
栗の実位のしこりが、指に触れたのです。(これはおかしい?)と私は翌日、
近くの市大病院へ行きました。結果は無残なものでした。

「乳ガンですね。それも、もう二期に入っています。いますぐ、手術が必要です」
私は、蒼白に成りました。当時、ガンの告知と言えば死刑の宣告にも等しいものでした。

「悲観しないで下さい。乳房を失う事に成りますが、速やかに手術をすれば生存の
見込みは十分にあります」
医者は淡々として言いますが、女にとって乳房は命も同然です。
其の頃はまだ乳房温存手術などとは一般化しておらず、乳ガンの治療といえば、
切除しかなかったのです。

私は即、手術に踏み切る気には成れませんでした。結婚しているとはいえ、
ほとんど男に可愛がって貰った事のない肉体です。
このまま、何もいい思いも出来ない儘に乳房を切り取ってしまうなんて、
余りにも悲しすぎるでは有りませんか。
ガンの宣告を受けてから、私は思い詰めました。手術をしなければ、死んでしまう。
しかし、此の儘では乳房を切除する気にはとても成れない。

夫にガンである事を打ち明けました。チョツト気遣う言葉は掛けてくれましたが、
愛人と別れて私の側に居てくれる様な人ではありませんでした。そんな夫に、
優しさなど期待できるはずも有りません。夫に見返られる事もなく、
ただひたすらオナニーと仕事に明け暮れてきた二十数年でした。夫が他所の女に
うつつを抜かしていても、私は只の一度も不貞を犯しては居ませんでした。
 
セックスレス夫婦の今と昔12
しかし、もう限界でした。私は、袋小路に追い詰められた心境です。乳房を失う事は、
女を止める事、何一つ楽しい経験もせずに、女を止めてたまるものか。
(こうなったら、手術する前に精一杯思い出を作ってやる。相手は、誰でも構わない。
 二十数年もの間、夫に操を立ててきたけれど、操なんてクソ食らえだ)

私は切羽詰まっていました。不倫を決意したものの、もう余り時間はありません。
私には、相手を番台の上から探すしかありませんでした。焦る私の目に、
一人の男が映りました。其の男の名は田代龍二(仮名)といい、
年の頃は四十代後半と言った処だったでしょうか。如何にも肉体労働者といった、
筋骨逞しい身体の男でした。

釣り銭を渡しながら、
「ありがとうございます。最近、良く来てくれるわねぇ、ご贔屓にして下さいね」
「ああ、でも、此処にはあと十日くらいしか居られねえんだよ。
 女将さん、オレ、この近くの建設現場で働いている飯場暮らしよ。
 ビルが建っちまえば、また他所の飯場へ行かなくちゃならねえ」
「そう、そりゃあ、淋しいわね」

田代と話すうち、私はますますこの男こそ不倫の相手にはもってこいだ、
と思うようになりました。どうせ、手術までの不倫の積りでした。
田代のような渡り鳥なら、期限つきの恋人として申し分ありません。
それに何より、彼はもろに私の好みでした。

「よかったら、今夜、飲みに行かない。どうせ夜は暇なんでしょう」
私は早速、田代に誘いをかけました。彼は、直ぐに誘いに乗ってきました。
「ああ、いいとも。旦那をほったらかして飲む酒は、さぞかし美味しいだろうな」
私の心中を見透かしたかのように、田代はにんまりと笑いかけて来ました。

飲み屋で酒を酌み交わしたあと、
私達はどちらからともなく連れ込み旅館へと足を向けていました。
生まれて初めての不倫に、私は乙女の様に胸を高鳴らせていました。
セックスレス夫婦の今と昔13
不倫に臨もうという女が、乙女のように初々しいというのも、
図々しい言い方かも知れません。けれど、私は年齢こそ四十路の坂を越えた
人妻でしたが、経験不足のせいか、まだまだウブなところが残って居たのです。
しかし気持ちとは裏腹に、肉体は燃えさかっていました。

「あんたが、ダンナと巧くいってないって話は聞いたことがあるぜ」
ゴキブリの出そうな薄汚い部屋に通されると、田代はそう言いました。
「オレも、かかあに逃げられた口でな、あんたの気持ちは、良く分かるよ」
田代に同情的な目で見詰められて、私の気持ちは複雑でした。
私は、精神的な?がりを求めて田代を誘ったわけでは有りませんでした。

むしろ、そんなものは邪魔なだけだったのです。泣きたくなる様な気持ちを抑えて、
私は田代に飛び付いていきました。訳もなく心の方は切なくて、
肉体の方は怒涛の如くに荒らぶっていると言うアンバランスな状態でした。

「同情なんて、ゴメンだよ。あんたは、私を歓ばせて呉れりゃあ良いのよ!」
私は、田代のすり切れたシャツとズボンを毟り取りました。
そして私も服をかなぐり捨てると、彼の上にガバッとばかり圧し掛かって行ったのです。

「揉んでっ、吸ってよ・・・私のオッパイ!どう、中々大きいでしょ」
私はユサユサ揺れる乳房を田代の顔に押し付けました。田代の髭面に触れただけで、
子宮の芯までジ~ンと痺れました。男と肌を合わせるのは、実に十数年ぶりなのです。

「あああっ、痛い、くすぐったいっ。で、でもいい気持ちだわ」
チュウチュウと音をたてて乳首を吸われ、たちまち私は桃源郷へと誘われていきました。
乾いた砂に水が染み込む様に、快感が全身に浸透していったのです。

「ああ、まったくだ!何て、綺麗なオッパイなんだろう。あんた、観音様みたいだよ」
「ふふふふふ、観音さまか。お世辞でも嬉しいよ。
 でも、片っぽだけのオッパイの観音様がいるだろうかね」

ふいに、私は自暴自棄な心境に陥りました。
「私のこのオッパイはね、ガンに侵されてるのよ。
 もう直ぐ、左のオッパイを切らなきゃいけないのよ」
初対面とも言える田代に、なぜこんな深刻な事を告白してしまったのか、
自分でも分かりませんでした。しかし、言葉は勝手に迸り出て止まりませんでした。
  1. 夫婦の今と昔
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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