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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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略奪結婚。其の三

◇略奪婚◇
略奪結婚03a
「我慢だよ、我慢してくれ、光恵さん。
 女性なら、誰でも一度は経験する受難なんだ!」
「も、もちろんよ、これで私とあなたは他人ではなくなったんでもの、このくらい・・・」
強がっては見せたものの、下腹の痛みはいや増すばかりでした。

膣の中が、竹中の動きに合わせて引き攣っていました。
気絶するほどの痛苦でしたが、しかしそれでも私はそれなりに満足していました。
これで名実共に、愛する人と一つになれたのですから。

「うううううっ、何てけなげなんだ。いいよ、僕は最高だよっ」
竹中は、快感も佳境に入っていたようでした。自分のことはさておき、
愛する人に歓んで貰えて、私も幸せでした。竹中の律動が、いっそう激しくなりました。

あたかも、血の道を金タカシで擦られているような心地でした。それはそれは、
快感とは程遠い感覚でしたが、幸福感は少しも色褪せることはありませんでした。

「おおおおーっ、ゴメンよ、僕だけ、僕だけこんなイイ思いをして!」
吠えるように叫ぶと、竹中の動きがストップモーションのように静止しました。
直後、私は膣奥に生暖かい飛沫を感じていました。ついに、私達は結ばれたのです。

カラダは痛みにのたうち回っていましたが、精神面では充分、満ち足りた初体験でした。
(これで、私は身も心も竹中のもの、もう、私達を引き裂くものは何もないわ)

もう竹中から離れない・・・私は、本気でそう信じていました。心から陶酔していました。
けれど、コトは私が思うようには運んで呉れませんでした。

竹中と結ばれたあの頃が、私にとっては幸せの絶頂だったかも知れません。
私は、生まれて初めての恋愛に浮かれ切っていました。
他のものは、何も目にはいりませんでした。

しかし、恋する乙女に対して世間は余りにも辛辣でした。
狭い島の事、私と竹中の事は忽ち噂に成ってしまいました。
噂は勿論、父の耳にも届いていました。
「おめえ、村役場の青二才と付き合っているそうだな、光恵?!」
父は、島の人々と同様、私と竹中の交際に反対でした。

 
略奪結婚03b
「網元の娘が、頭でっかちのうらなり野郎と付き合って、どうする!
 あいつは、おめえには相応しくない男だ!」
「わたし、竹中さんが大好きなの!悪いけど漁師は私には合わないわっ」
「何、寝ぼけたこと言ってるんだっ。
 ワシの跡はを継ぐのは、ひとり娘のおめえしか居ないんだぞ。
 おまえは、漁師と結婚して、網元の家を守るんだっ」
「イヤっ、そんなの絶対イヤよ、お父さん。私、竹中さんと一緒になりたい!」

父も頑固でしたが、私も父に似て気の強い娘でした。この際とばかり、私は父に自分の
気持を吐露したのです。父の怒りはしかし、半端ではありませんでした。
「ふざけたことを言うなっ。村役場の野郎と結婚するなんて、とんでもねえ!
 絶対、許さねえからな。おめえは、漁師と結婚するんだ。自分の立場を考えろっ」

父と私の考えは、何処まで行っても平行線でした。私は漁師と所帯を持つつもりは
ありませんでしたし、父も私と竹中の結婚を許して呉れそうも有りませんでした。

けれど、私は飽くまでも甘く考えていました。どうしても父が許してくれないなら、
駆け落ちしてしまえばいい、と思っていたのです。しかし、そうは問屋が卸しませんでした。
父と口論した。翌日の晩のことでした。私は離れに一人床を取っていましたが、
夜更け過ぎ不穏な物音に気付いて目覚め、ハッと身を硬直させました。

夜這いかも知れない、と寝間着の前を掻き合わせました。其の時代、私達の住む島には
まだ夜這いという淫靡な習慣が残っていたのです。
(竹中さんが、夜這いなんて野蛮な事をするはずがないわ!)

竹中なら大歓迎でしたが、まずその可能性はありませんでした。
一番可能性が高いのは、やはり剛次郎でした。
彼なら無理矢理、私を犯す事も平気でやってのけるに違いありません。
そうこうするうち、襖がガラリと開きました。

「き、きゃーっ、あ、あんたたち、誰?! イ、イャぁーっ」
直後、部屋になだれ込んで来たのは剛次郎では有りませんでした。
ほうっかむりをした得体の知れない三、四人の男達が、私を両脇から抱え込んだのです。
略奪結婚03c
「ひーっ、な、何するのっ、助けてっ、誰か、誰かァーっ」
「おとなしくしろっ。黙って、オレ達と一緒に来るんだ!」
恐ろしくて恐ろしくて、血の気が引いてしまいました。もう、心臓が止まってしまいそうでした。

男達は、私を拉致しようとしているようでした。
私は必死で抗いましたが、複数の男達に適う訳は有りませんでした。
私は男たちに担ぎ上げられ、表に連れ出されてしまったのです。

しかし不思議だったのは、声を限りに叫んでいたのに、家の者が誰も助けに来て
呉れ無かった事でした。とは言え、その時はその不思議に気付く余裕は有りませんでした。
(い、いったい、何処へ連れて行かれるの?私、どうなってしまうの?)

是からの運命を思うと、気が狂って仕舞いそうでした。男達は私を担いだまま、
夜の海岸線をひたすら歩いてゆきました。とても、逃げる事は出来ませんでした。

「さあ、やっと着いたぞ。手荒な真似をして悪かったな。剛次郎がお待ちかねだ」
と、やがて一軒の家に着きました。そこは、剛次郎の家でした。
(やっぱり剛次郎の仕業だったのね、何て卑怯な・・・)

私を拉致したのは、剛次郎の取り巻きどもでした。剛次郎の家も島ではかなりの資産家で、
彼は実家の敷地内に自分の家を別に建ててもらい、一人で住んでいたのです。
「ふふふ。ようやく、おいでなすったか。随分手間をかけさせたもんだな」

剛次郎は褌一丁に一升瓶片手で、いいご機嫌でした。そして、彼のまえには鮮やかな
緋色の布団が二組・・・私がゾッとしたのは、言うまでもありません。

「何て男なのっ。誘拐なんて、犯罪じゃないのっ。帰してっ、帰してよ!」
「これが、オレのやり方だ。女にゃ、四の五の言わせネエ。
 欲しいものは、どんな手を使っても手に入れる。それが、この島の男の流儀ってもんよ」

すっくと、剛次郎が立ち上がりました。逃げる間も有りませんでした。
気が付くと、私は赤銅色に焼けた筋骨逞しい肉体に押し倒されていました。
絶対絶命でした。日向臭い匂いの肉体が、私に圧し掛かりました。
  1. 夫婦の今と昔
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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