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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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入院顛末記。其の一

◇入院前に
thumb_l_02.jpg
今から13年前の会社勤めの五十七歳の時、人間ドックの検診を受けた際に、
便検査が+となりX線検査の結果、大腸に異変が見つかり、
市大病院にて精密検査を受ける事になりました。

消化器科にて大腸内視鏡検査で、ポリープが三、四個見つかり、それは簡単に除去が出来たが、
大腸の入り口付近に、二、三センチの大きさの腫瘍が見つかり、担当の医師も取れるものならば、
と努力をして頂いたけれど、小腸にも少し付着しているので、手術を勧められたのです。

其れまでの五十七年間、病気もなく至って健康で、中学一年の時にときオナニーを覚え、
そしてセックスにと明け暮れて来ました。手術よりもこれから先は、今までの様にセックスが
出来なくなるのでは、と思うとショックでした。

入院の日も決まり、何ら自覚症状も無い自分の体なので、妻と愛人の人妻明子とのセックスを
心行くまで楽しもうと思いました。

妻は先行きを心配して其れ処では無いと言いましたが、早期発見だから心配しなくても大丈夫だ、
一月も入院すれば良くなり退院が出来ると言い聞かせ、嫌がる妻に抱きつき唇を合わせると、
最初は避けていましたが、観念して力を抜いたのです。

そこは長年抱き合っている仲なので、すぐ妻もその気になり、私の舌を吸って興奮したのか、
私の股に手を入れて未だ柔らかい陰茎を掴んで上下に擦っているのです。

私は妻の刺激にムクムクと勃起して来たので、どちらとも無くベッドに倒れ、
ブラウスを捲くり乳房を愛撫すると、
「こんな事して体に悪いわ」
「人間ドックで見つかったけど、俺には何の兆候も無いのだから心配ないさ」
「そうね、健康な人と変わりないもんね」

私もそう思ったけれど、入院し手術で万一の事が起こったら、是でお終いと思い、
生きてるうちに思い切り男女の性を楽しみたいと思いました。

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入院顛末記。其の二

◇名器の構造
031.jpg
明子と二人で入院前の逢瀬をカーテルの部屋に入ると、待って居たかのように、唇を合わせ、
熱い抱擁をしてお互いのテンションを上げていたのです。
長いキッスで興奮したところで、明子のブラウスとスカートを脱がせて裸にすると、
明子も私のシャツとズボンを抜き取ると、
「先にシャーを使わせて」、と言うのでシャワー室に向かいました。

「明子のマン毛は何時見てもジャングルだな」
「仕方ないでしょう、父親に似たのよ。生まれた時から毛深かったらしいから」
「女でこんなに毛深いのも珍しいな」
「奥さんは少ないと言ってたわねェ」
「うちの女房は普通だと思うよ。女の毛深いのは情深いと言うから、Hが好きな訳だよ」
「嫌だわ、そんなこと、貴方だって毛深いから同じでしょう」

そんな話をして居るうちに、チンポがムクムクと勃って来たのです。
「嬉しい、こんなに大きくして」
「俺は明子が好きだからさ」
「今日は思い切り、可愛がってね」

明子の乳房を吸いながら、オマンコに触ると、
「あたしが先に口でしてあげる」
明子のフェラテクはその辺の風俗嬢にも負けないと思っています。
これも男からの要求で覚えた技巧だと思います。

「もういいよ、出てしまうから」
「お口の中に出しても良いわよ」
「ベッドで明子のオマンコの中に出したいんだ」
と言い、明子を立たせてお互いの体を洗い合いました。

私も明子も裸の侭で風呂上りのビールを飲み、世間話をしながら、
明子は私と妻の夜の営みを何かと聞いてくるので、いい加減な返事をして、
其の場をしのいで居たのです。

「貴方のチンポ、何時見ても黒いのねェ」
「風呂屋で他の男のチンポを見ても、俺のは確かに黒い方だな」
「やり過ぎじゃないの」
「センズリのこき過ぎかも知れないな」
「奥さんとあたしと遣ってても、未だ自分で遣ってるの?」
「是だけは幾つになっても止められそうにないな」
「こんな好き者が、入院して、大丈夫かしら」
「それだから明子と遣って置くのさ」
私は明子を抱き上げてベッドに運び、足をM字にして、オマンコを覗き込みました。
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入院顛末記。其の三

◇剃毛と浣腸(Ⅰ)
浦舟市大病院
妻の付き添いで病院に行き、入院の手続きを済ませて待っていると、病棟の看護婦が迎えに来ました。
私の病室は六人部屋で、既に四人が居ました。
看護婦は後から担当の者が来ますから、と言って出て行ったのです。

暫くして担当の看護婦が入院に際しての説明に来ました。
「今日は検査等は何も無いので、お風呂に入って清潔にして下さい」と言ったので、
言われた通りに、風呂場に行くと、二人の患者が入っていました。

その人達を見ると、毛が剃ってありチンポが丸見えです。其の中の一人が、
「いつ手術をするのかね」
「十二日です」
「そうかね、頑張って下さい」
もう一人の男が、
「あんたはまだ若いな、俺なんか七十に成るのだからいい爺だ、
 あんたは今は毛が生えているけれど、其の内剃られるからな、
 若い看護婦が剃ってくれぞ」
「それは結構ですね」
「結構は好いけど勃つなよ」
「おじさんは勃ったの」
「勃つ訳ないがな、ジジイだもん」

そんな話をしながら風呂に入っていたが二人のチンポを見ると、
一人は皮かぶりでもう一人は剝けているけど、私の敵ではないと思いました。

次の日は検査で、しかも胸から点滴のチューブが繋がれて自由がなくなり、
一遍に病人になってしまいました。
担当の看護婦が手術に関するスケジュール表のコピーを持って説明に来ました。
其れを見ると種々の事が書いてあります。

担当の医師から手術部位の説明を、妻や長男、娘等に話しました。
「早期に見つかったので何の心配も要りませんよ」との事でした。
家族一同ホッとしていました。

病室の人達とも打ち解けて気軽に話せる様になり、笑って世間話をしていたが、
私は是から大仕事が待っていると思うと、チンポも萎えて勃ちませんでした。

若い看護婦が、
「明日は愈々手術ですから、下の毛を剃りますので、わたしについて来て下さい」
六畳ぐらいの部屋に案内されると、そこには洗面所とベッドがありトレーの上には、
剃毛や洗面に必要な器具が並んでいます。
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入院顛末記。其の四

◇剃毛と浣腸(Ⅱ)
kangoshi46.jpg
それにしても、毎日若い嫁入り前の娘が、男女の性器を見ながらどんな思いで、
仕事に励んでいるのか聞いてみたいと思いました。

恐怖と不安の手術の日がやって来て、担当の看護婦が手術の話に来ました。
「今日から絶食し大腸手術なので、腸の中を綺麗にしておくため、飲む浣腸液を
十時頃から飲んで排便し、更にもう一度お尻から浣腸するとのことです」

私はSMの趣味は無いけれど、一度は浣腸プレーを経験して見たいと思いました。
「それでは今から浣腸します」と言われたので、後に付いて行くと三畳位の部屋で、
其処には洋式トイレと必要な器具が置いてあります。

担当の看護婦が、
「では今から始めますから、下着を脱いでお尻を高く上げて」
と、言ったので股が開くようにパンツを脱ぎました。
「その方が遣りやすいわね」
丁度セックスの後背位のような形になって待ってると、
「ハーイ、もっと脚を開いて下さい」

私は脚を開いて肛門の穴が良く見えるような姿勢に成ったのです。
是だけ開けば尻の穴どころかキンタマからチンポも、丸見えで少し恥ずかしくなりました。
一升ビンより太いカラスの容器に浣腸液が入っていて、ビニールホースで繋がっています。
その先に肛門に入れる器具が取り付けられているのです。

看護婦がそれでは始めますからと言い、私の肛門に器具を差し入れながら、
「お尻の力を抜いて、リラックスして下さい。生暖かい液がお腹に感じますから」
と、言い、ドンドンと浣腸液が腸の中に送り込まれて来ました。
「気分が悪くなったら知らせて下さい」
腹が膨れたようになり嫌な気持ちです。

「これで一、回目は終わりです。暫くすると催して来ますからね」
私は便座に跨って待っていると、グゥグゥと腸が動いて居るようです。
「出そうだよ」
「出しても良いですよ」
私はその会話に卑猥なものを感じていると、チンポが勃って来そうになり、
股の間に隠していたのです。
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入院顛末記。其の五

◇夜の散歩(Ⅰ)
母と子19
手術の準備や何やかで三時間余りで無事に終わり、気の付いた時には
集中治療室にいました。幾つかの点滴の容器がぶら下がり、
手術痕はガーゼに覆われ、脇腹には何やらビニールチューブの様な物が刺さり、
背中にも何か取り付けられています。

陰茎には膀胱から尿を出すために、ビニールチューブが繋がれていて、
何だか自分の身体では無い様に思え、苦痛に耐えていました。

術後の経過は順調な様で、薬は痛み止め以外の薬は無く、二本の点滴と
定期的に血圧を図り、一日一回採尿袋の交換をし、傷口のガーゼの交換だけでした。

集中治療室は一晩居ただけで、翌朝には一般病棟の個室に移り、早速歩いても
良いですよと、言われその日からトイレは勿論、病院内を歩くように言われました。
若い看護婦さんに身体を拭かれ、チンポ拭かれるものと期待していたのですが、
其れも無く、絶食は一日だけ、二日目におもゆが出て、三日目にはお粥、
四日目の夕食は普通食となり、五日目には風呂にも入っても良いと許可が出ました。

私は思いの外順調に回復して居る為に一週間頼んで置いた個室も、
後の患者の為に回復の早い人から、出て行く事に成って居るのです。

大部屋に移り、そこで治療していると、三日目に個室が空いたので、
どうですかと係が言って来たので、身近な者とのコミュニケーションが取れないので
個室をお願いしました。

個室に移ってからは私も妻も人目が無いので大胆に成りました。
手術の傷跡はガーゼで隠れていますが、パンツを下げ尿管の刺さっている
チンポを妻に見せます。
「可哀想に、これでは何時もの様に元気になれないわね・・・
 これが取れるまで大人しくしてなきゃね」
「今なら美代子のオマンコ見せられても勃つ気力もないよ」
「当たり前よ、あったら大変だわ」

そんな話とか、誰それが見舞いに来るとか言ってましたが、
元気な姿を見て安心して、洗濯物を持って帰って行きました。

長く感じられた一週間は無事経過して、二週目に入った所で、
何よりも苦手だったチンポのチューブも取れ、トイレでポリ袋様な
採尿器に一日分の尿を貯めて置くようになりました。

洗面所とトイレは勿論男女別に成っていますが、廊下から入る
入り口は一つでしたの女性患者さんと擦れ違う事も屡でした。
女性患者の股間からチューブが見えた時は、其の先は陰部に
繋がっていると思っただけで、不謹慎ですがムラムラとしていたのです。
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入院顛末記。其の六

◇夜の散歩(Ⅱ)
バスローブ01
「奥さん、もう一寸下げてみて」
「見えるでしょう、赤く膨らんでいて気持ちわるいでしょう」
「こんなになっていて痛くは無いのですか」
「触ると痛いので、下着はユルユルなの」
と言いながら、三センチほど下げたので、僅かに伸びた恥毛が、
デルタに薄黒く映ったので、私はもっと下が見たくなり、

「奥さん、もっと下げてよ」
「嫌です、見えてしまうから」
私は何が見えてしまうのか判断しかねていたのですが、もっと下げれば、
オサネと割れ目が見えてしまうので、それで戸惑っていたと思いました。
それ以上は要求して、顰蹙を買ってはと諦めました。奥さんと傷口を見せ合って、
お互いにこれから体に気を付けて生活して行く事を励ましあいました。

奥さんと別れてベッドに横に成り、あの恥毛の下にサネが息衝き、
割れ目は愛液でヌルヌルに成っているので、肉壷にチンポをズボッと入れて、
奥さんをよがらせている処を想像しながら、亀頭を五本の指で揉みながら、
眠りに就いたのです。 

会社の上司や部下たちも見舞いに来ましたが、部署が違う不倫相手の明子は、
そちらの都合が付けば何時でも行くから、と、言っていたので、私は順調に
回復しているのと、夜見舞いに来るひとも無くなり、そして妻も昼間に来ているので、
夜の七時頃なら看護婦の回診も未だ無く、夕食もすみ患者がホッと出来る時なので、
私は明子の声が聞きたくて電話をしてしまいました。

「元気そうね。貴方の部署の人から聞いたけど、手術無事に済んで良かったわね」
「ありがとう、うまく行ったよ」
「あたし、会いたいけど大丈夫なの」
「この時間なら誰も来ないから」
明子の家からは自転車で十五分位の所に、その市大病院はありました。
主人は八時半頃に何時も帰るので、男の子二人に近くのスーパーに買い物に行くと、
と言い病院に来ました。病室の番号を教えていたので、迷わずに私の所に来ました。
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入院顛末記。其の七

◇あたしが上に
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妻の美代子は個室に居た時でも、私が手を伸ばして、スカートの中に入れ様としても、
素早く逃げて触らせるどころか、絶対にその気にもさせて呉れないのです。
「まだ病気治療中だから、駄目です、体の事を考えなさい」
「触るだけなら、好いじゃないか」
「嫌です、まだ病人ですよ」
と、言い張って居たのです。

病状も良くなって、大部屋で悶々としながら休憩室に行き、女の患者とエッチな話などをして、
夜にはチンポを勃たせて扱き、堪らず気がイキそうになると、ギューと竿の根元を握り締め、
精液を睾丸に戻す時の快感が堪りませんでした。

あの奥さんが退院の為に、私の病室に挨拶に来ました。
「今度、何処かで会ったら誘いますからね」
「其の時には元気になってるわ」
「楽しみにしてますよ」
奥さんは息子さんに伴われて退院して行きました。

私も担当の医師から、
「来週の月曜日に退院しましょう。土、日は事務方が休みなので、
 月曜日の午前中に会計を済ませて下さい」と、言われたので、
バンザイと声には出しませんでしたが、心の中で叫んでいました。

一通り挨拶して、世話に成った病棟の看護婦さんに御礼をし、
特に私のチンポを何回と無く診てくれた担当の看護婦さんには、
「お世話に成りましたね、無事に退院が出来たのは貴女のお陰です」
「それは良かったですね。二度と此処には来ない様に養生して下さいね」

私は冗談で、
「息子も大変お世話に成りました」
「私たち看護婦は何食わぬ顔をしてやっていますが、
 仕事として遣らなければ成らないのが、使命だと思っているのよ。
 もっと辛くて避けられない事が沢山ありますからね」
私はこの看護婦さんの話しに、自分の浅はかな気持ちに苛まれました。
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昭和のメルヘン・ゆびさきの詩(うた)。其の一

◇浴室のセクシードール
ゆびさきの詩3-4
日豊本線の列車が鹿児島駅を発車して、鹿児島湾沿いに潮の香りを嗅ぎながら
約一時間余り、煙草で名高い国分駅に着く。
この辺り一帯は霧島系温泉が無数に点在している。
山間の段々畑の傍らの小さなため池の様な露天風呂が山肌に白い湯気を染込ませて、
岩間から懇々と湧き出て、野良帰りの農民の憩いの湯と成っている風景が
心温かく旅人の旅情を慰めている。

宵闇と共に南国の晩秋の風が冷たく吹き抜ける。
国分の街から自動車で一時間余り、その昔、関所の有った宿場が昔ながらに
細々と湯の香を漂わせているK温泉は、時折史跡を訪ねて来る客の他、
ほとんど人に知られていない。

幕末の頃、勤皇の志士が尽忠報国の念を切々と詠った。
“我が胸の燃ゆる想いに比ぶれば 煙は薄し桜島山”
その桜島をはるか海上に望み、昼間は噴煙がたなびいてかすみ
時には中天高く溶岩を噴き上げて鼓動し爆発する様がうかがわれる。

薄墨の闇の中に浮かぶ対岸の灯・・・鹿児島湾一面に遠く近く
幾百千ときらめく漁り火は、大空の暗黒に瞬く星座の様にチカチカと点滅して
夢の国の風景と情緒をかもしだしている。

姉の初七日の法事も済み、親族達も引き上げて人心地ついた志津子は、
冷えた身体を数奇を凝らした岩風呂にとっぷりと沈めた。

豊かに溢れる出湯が乳白色の湯気をたなびかせて、ほの暗い明かりの中で
三十の坂を越えた女とは見えない脂の乗り切った張りの有る人魚の様な桜色をした
肉体のくねりが澄み切った湯の中に妖しく揺らいで居る。

乙女の様に豊かな乳の線、腰から尻に伸びる美しい曲線、
総てが艶かしく女盛りのたえなる匂いさえ伴うよ様な気さえ起こってくる。

近くを流れる小川のせせらぎが迫る外、落葉の音が、はらはらと聞こえる様は、
静けさの中で志津子の胸が怪しく乱れて、娘時代から人妻の頃の思い出が鮮やかに蘇って、
淫らなうずきが悩ましく、胸を突いて湯の中にうごめく己の身体を愛しく見守ると、
乳首がジーンと固く成って一層切なく、志津子は湯の流れにも揺れる豊かな乳房を、
ひしと抱きしめて悩ましく身悶えた。

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昭和のメルヘン・ゆびさきの詩(うた)。其のニ

◇土地の風習(夜這い)Ⅰ
指先の詩02
昭和四十年前頃まで夜這いはこの地方の風習として青年の特権であった。
夜這いとは、宵闇の中の他人の家でも歩きもならず、
這って女の許に近寄る事から生まれた言葉である。
現在の様に不法侵入だとか、婦女暴行とかで兎や角の問題は起こらない。
娘持つ親達も身に覚えのある事なので文句の付けようが無いのだ。

夜這いも隣り部落への遠征ともなるとあらかじめその部落の
青年団幹部に酒の一、二升も届けて筋を通しておかないと、
時たま青年団対抗の乱闘事件となる。
乱闘と言っても切ったの刺したの殺したのと言う殺伐なものではなく、
口角泡を飛ばしての言論戦から始まり、最悪の事態に立ち入った時でも、
タンコブの一つ二つ出来るか、目の下に黒いあざをつくる程度の
犠牲者を出して物別れになる。

十六歳の春、村の中学校を卒業すると、男子は部落の青年団に、女は処女会に入る。
部落には青年宿が有って気の合った者達がグループを作って宿泊し、
見よう見まねによる性教育が施されて、その達人達を生み出すのである。

初歩の手始めは陰毛の長さ比べに始まり。
反り具合、太さ、長さが品評され、リンリンといきり立つ男根の障子の穴ほがしに始まり。
男根の根元に紐を掛けて、火鉢をつる重量揚げに至る室内競技の練習が行われて
其の成果に依って外征時の順位が定められる。

夏、スイカのシーズンともなると青年達はスイカ畑の番小屋に移動する。
夜中、十二時頃ともなるとスイカの番人の活躍時と成る。
他部落の青年が素裸で前進攻撃して来る。
こ奴等は、細い竹の先を削いだ筆の軸の様な物を持っており、
其の先をスイカに突き立て、かき回して中の甘い汁だけを
チュウチュウと吸い取って満腹すると、
愈々夜這いの本業に取り掛かるのである。
油断した青年達を尻目に村の娘達の穴を掘りまわして
風の様に引き上げてゆく。

翌日の夜半、やられた村の青年達に依って復讐攻撃が開始されるのである。
夜中の十二時頃、六人の青年が素裸になり越中ふんどしの前を外して、
チンポを夜風に吹かせて、無言でタッタッタッと駆け出す。
ふんどしは夜目にも白くハタハタとはためき源氏の旗印宜しく風になびいて居る。

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昭和のメルヘン・ゆびさきの詩(うた)。其の三

◇土地の風習(夜這い)Ⅱ
指先の詩03
指先を、割れ目にスーッと差し入れると、あっけなく飲み込むので、
二本の指に力を込めて膣の中をかき混ぜた。
処女だと信じていただけに小首をかしげ、少しがっかりしながらも、
最早堪り兼ねて、女の上へ這い上がり、マラに反りをくれて、
割れ目に押し当てぐーっと腰を落とした。

女は待っていましたとばかりに、
「フウーム」と尻を持ち上げて、くるりと廻す。
亀頭の先がコリコリした子宮口をつるりと撫でる。
「ウウーム・・・ハァーン」

女の喜悦が声に成って漏れ、巧みに持ち上げ、ゆすり、呻き、
のたうち、擦り付けては、ヨガリ泣く。
卓越した女の性技と溢れ出る淫水に茂男の官能は有頂天に成って、
口を吸い乳首を吸う大奮闘となった。だが其れはとんだ間違いで、
娘を狙って母親を授かったのである。

お春は昼間の仕事で疲れて夢うつつの中に受け入れたものの
今夜の親父のチンポは何と威勢の良いことかとその怒りかたの
物凄さに一人鼻を鳴らして狂喜し、仰け反って呻き持ち上げて
揺さぶったが、何時もの親父との調子とは違っているのに
ハッと驚き気が付いたが、今更止むに止まれぬ盛り上がりに
毒を喰らわば・・の例えの通り、四十女のふてぶてしさも手伝って、
むしろスリルを伴った喜悦をたのしみつつ益々盛んに情炎を燃やした。

女房を寝取られた被害者の親父さんは、至極のんびりした顔で
隣の室でグウグウスウスウと白河夜船の最中で、夢にお咲さんを
口説いていても、まさか女房の不貞はご存知あるまい。

被害者と言えば久方ぶりに母親と寝床を共にした志津子こそ
最大の被害者であったかも知れぬ。

傍に寝ている母親の異様な呻き声に目を覚まして、
うなされているものと思い声をかけようとして、痺れるようなムードが
漂っているのに気付いた志津子はハッと耳をそばだてた。

彼女の好奇心が動物的な母親の痴態を・・・
荒々しい熱気をはらんだ男と、女の息遣い、悩ましい呻きを
全神経を集めて聞いていた。

おぼろげにしか知らなかった男女の交わりを、母親によって
つぶさに見せ付けられて志津子の頭はカーッと火照り、
五色の火花が散り、あまりにも手近であまりにも強烈な刺激に、
瞬間呆然となって乳を抱いた。

目に見えない雰囲気の激しい感覚は志津子の肉体にも反応して、
体中が汗ばみ恥部に血の走るのを感じてムズムズ痒くなって来た。
一瞬の驚きが去り好奇心だけが残っている。

志津子は暗闇であるのを幸いに少しづつ落ち着きを取り戻し、
大胆になって、闇に動きを探ろうと一心こめて透かして見るが、
僅かに布団がむくむくと動いているだけである。

押し殺そうとする男女の荒々しい呼吸と悩ましい呻き・・・
バサバサと衣擦れの音に混ざって、クチャクチャと性器の触れ合う音が
志津子の聞き耳に流れ込み、異様な臭いが微かに鼻を突く。

生臭い熱気の様な雰囲気に志津子の胸は妖しく乱れて
炎のような吐息が漏れそうになる。粘っこい、つばが喉に掛かって、
咳払いが飛び出しそうになる。

必死に堪える志津子の頭はもうろうと霞んで性の疼きと未知の
交合の世界の片鱗を覗き、憧れと好奇心がはやり立って大胆になり、
片足をそっと母親の布団に差し入れて、そろりそろりと近付けた。
足先を通して、布団の律動が胸に迫って只やるせない。

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昭和のメルヘン・ゆびさきの詩(うた)。其の四

◇指の生命(Ⅰ)
画像 Z0001
母親に似て小柄な志津子も十八歳の春を迎えると身体全体が
女らしく膨らみ一寸したしぐさにも娘々した色気がにじみ出て、
女に成る日の遠くない事を忍ばせている。

白くふくよかな顔の端に、潤む眼差しに、風情を添えて、
時折り若い青年を見る目がキラリキラリと悩ましく媚態を囁いている様だ。
形良く整った可愛い受唇は匂い、男心を誘うように咲いている。

母親が性交に悶え、狂喜して、のた打ち回って痴態を晒した、
あの夜を境にして、女性の性の疼きを知った志津子は、
折お見て度々オナニーを楽しみ、もはや大人の世界に踏み入って
オルガスムの喜悦を、わきまえていた。

たまに都会から来た宿泊客の酔いに紛れた放言悪戯に、
また村の若い男達の口説きにも胸躍らせる年頃に成っていた。

八月の暑い昼下がり、鹿児島の辰雄兄さんが訪ねて来た。
彼は、母親の縁先に当たり、大学時代には野球部で捕手をしていた
今年二十三歳の逞しい好青年で、その男らしさは、
小娘の志津子の想いを募らせて密かに恋焦がれて居た。

それでも去年までは、兄さん兄さんと甘えて、縋り付けた志津子であるが
今の彼女には、眩しいような、恥ずかしさが先に立って、彼と向い合っても、
「お兄さんいらっしゃい」
小さく言って頬を染めた。
「志津ちゃんか、見違えるように綺麗に成ったな」

辰雄の視線は眩しそうに瞬いて志津子の胸の膨らみや腰の揺るやかな
スロープに食いついて離れない。
志津子は身体全体に視線を感じて、心の奥底からの温もりに
モヂモヂと恥じらいを見せて目を伏せた。

「全く驚いたなぁ。ニ、三年前までは、僕の背に負われたりして遊んだのに、
 こんなに可愛い美人に成るとは・・・」
「いやーん・・・そんなに、からかわないで・・・意地悪・・・イイーだ」
打つ仕草と言葉遣いは昔の様な無邪気さを見せたが、
真っ赤に頬を染めて、堪らぬように逃げ出した。

恋知り初める頃の娘らしい志津子の仕草は辰雄の心の琴線に触れ、
彼は温かい愛情を感じて、かねてから志津子を憎からず思う自分の中に
恋心の住んで居る事に気付いて、温かい微笑を送るのだった。

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昭和のメルヘン・ゆびさきの詩(うた)。其の五

◇指の生命(Ⅱ)
名称未設定 1396
辰雄は力を込めてその肩を抱きしめたが、
怒ったように只黙りこくって歩を進めるだけだった。

今にも辰雄が、がっちりとした其の腕で力強く抱いて唇を吸って呉れるのでは無いかと、
期待して志津子は恐ろしくも有るが、又恥ずかしくも有ったが、自分は其れを、
どう受け止めたら良いかと思案しながらも密かに心弾ませて、俯いて歩いていた。

楽しい夜道は短く、何事も起こらぬ侭に家の前に着いて
淡い志津子の期待は裏切られた。

辰雄の手の中からスルリと抜けた志津子は恨みを含んだ眼差しで
チラッと辰雄を見上げて家の中に駆け込んだ。

「ただいま」
明るい声で呼んだが何の応答もない。お父さん達、もう休んだのかしら。
「お母さん、お母さん」
家の中に志津子の声だけが反響して何の気配も感じられない。
「ホホ・・・、帰ってないんだわ・・・きっと藤山さんとこよ、
 あそこに寄ったら長くなるわ、泊まって来る事だって有るんですもの」

「お兄さん暑かったでしょう。汗を流しません事」
初々しく湯浴みの準備をする志津子に辰雄は新妻のような錯覚を起こして、
「あーそうするか」と湯殿に去った。

其の後へ客用の浴衣を持った志津子が続いたが、流石に混浴は仕切らず、
男女別の浴室で盆踊りの汚れと興奮を流した。

温泉で温めた身体に、南国特有の大きなやぶ蚊が飛んでくる。
湯上りの二人は二階のテラスで向かい合って涼んで居た。

踊りのゴミと共に洗い流した筈の興奮が二人の心に
埋火の様に残っていて息苦しい差し向かいである。

「叔父さん達、おそいなぁ」
辰雄の声は興奮の為にひからびてかすれている。
「久し振りにのんびりと、又飲んでるのでしょう」
志津子の答えも何となくぎごちない。
「あっ、痛い、この辺の蚊は大きいな、
 さあ、もう寝ようか、志津ちゃんもおやすみ」
この場の空気から逃れる為に辰雄は立ち上がった。

「ええ、ではおやすみなさい」
もう少し辰雄の傍で、たとえ言葉だけでも良い、
と未練を残して志津子が寂しそうに降りて行く。

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昭和のメルヘン・ゆびさきの詩(うた)。其の六

◇指の生命(Ⅲ)
名称未設定 1363
志津子も、今宵初めて触れた肩と肩の感触に女心を燃やして、
男の積極的な愛情を心待ちし興奮状態で有る、
抱かれたいと思う心の疼きが志津子の心の何処かでくすぶっている。

女の性へ目覚めた肉体が求める欲望は幼く未知で有っても
官能の燃え上がりに変わりは無く、男の持つ男独特の体臭が嫌が上にも
志津子を煽って何時も泊り客に寄って見せ付けられていた。
痴態を思い浮べて彼女の身体は熱く成って居た。

目眩む様な想いに呼吸を弾ませて、
ものも言わず辰雄の膝に縋りつき顔を擦り付けた。
雛鳥の震えにも似た志津子の戦慄が辰雄の膝にデリケートな感覚を伝えて、
同じ想いの極に達した陰と陽は口説きも口説かれもせず、相寄った。

「志津ちゃん、顔をあげてご覧・・・ほら・・・」
辰雄の手が可愛い志津子の頬に掛かって、
持ち上げると志津子は目を瞑って仰向く。

荒々しい男の手が乙女の頬を、挟みつける様にかき抱いて
激しく口を合わせ志津子も自然に男の身体に自分を密着させて、
其の手が男の首に巻き付き、映画のヒロインの様に甘い切ない接吻をかわした。

男と女の交わりを未だ其の身に知らないだけに、接吻の感触だけで、
ひたむきな陶酔の中に浸りこんで、精魂を傾けて、縋りつき、
吾が船を男の中に渡したい衝動に駆られ、胸は疼き、心が慄くのだった。

クネクネと半身を擦り付けると、体の中に火照りが襲い掛かって来て、
むずがゆく官能が痺れて、ヌラヌラと濡れて行く。

純愛より発して一途に思い詰めるひた向きな志津子の欲求に
辰雄の理性の枠が一つ一つ崩れ去り、今はもう動物的欲望だけが
蠢いているが、「王者の貫禄」が名残を止め、
志津子の後頭部と腰だけを抱いて静かに横に成った。

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昭和のメルヘン・ゆびさきの詩(うた)。其の七

◇指の生命(Ⅳ)
名称未設定 1415
微かに擦れ合う衣擦れの音が悩ましい雰囲気を
醸し出して、これまで、押えに押えて来た辰雄の
男根が猛り立ってドキンドキンと脈打ち。
男根に疼きを覚えて、辰雄は最早これまでと、
志津子の両股を開き、震える女陰にそそり立つ
男根を宛がい、片手で持ち添えて、入り口を
ヌルヌルと撫で回し充分に濡らして、
しずかに男根を差し入れた。

身体の中心に激しい痛さが走って志津子は
「ウゥゥッ・・・」と微かに呻いて仰け反った。
「痛い?・・・我慢してね、志津ちゃん」
初割の極意にしたがって、辰雄は、
静かに腰を押して興を極めようとする。
「ウゥツ・・・」
志津子が尻を引いた瞬間を捉えて辰雄が大きく
追い討ちをかけて尻を押すと、ヅヅツと言う様な
感触が男根を包んで根元まで入り込んだ。
「ハアッ・・・イタイ・・・」
「うぅぅ・・・うぅぅ・・・」
未通の秘肉を割って滑り込む快感に彼は
喜悦の声を出した。

静かに静かに腰を動かして六・七回も抜き挿しすると、
辰雄の情感は直ぐに極達して、志津子の身体を強く抱き締めて
その体内深く、思い切り射精してしまった。
志津子は彼が射精した瞬間、子宮の熱いシーメンにピチッ、ピチッと
心地良い感触を微かに覚えたにすぎなかった。

志津子が恐々ながら期待した欲情も興奮も一向に盛り上がるものが無く、
指の魅惑に比べれば誠に呆気ないものであった。

初夜にして性交による完全な性感の盛り上がりを望んだ
彼女の願いこそ無理であると何時の日にか志津子が、
女体の神秘を知り尽くして思い知る事が出来るであろう。

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昭和のメルヘン・ゆびさきの詩(うた)。其の八

◇性の行脚(Ⅰ)
指先の詩01
昭和39年、40年当時は「東京オリンピック」の開催を引き金に
日本は好景気に沸いていた。
霧島地方の主だった観光地にも大資本が導入されて、
軒並み改築工事が行われた。

すすけた木賃宿が堂々と旅館の看板を掲げる者が有ると思うと、
ちっちゃな商人宿が設備の行き届いたホテルに装いを新たにして、
名も無い湯の街がたくましい宣伝によって、一躍スターダムにのし上がって来た。

志津子の家では、母親の春子が、時代の波に置いてきぼりを喰って
日毎に衰退して行き、其れに加えて、お人良しの父親の保障被りで
益々行き詰まっていた。

幸か不幸か、南九州のの「林業王」と自他共に許す伊集院翁が、
近くに有る持ち山視察にこの村に来て居たのだった。

伊集院は好色と云う程の事も無いが、美しい物は総て自分の物に
したいと言う「独占欲」の強い老人で、訪れたこの村で志津子の
艶姿を見初めて、持ち前の独占欲が頭を持ち上げてきた。

今までの様に書画骨董の類であれば金に糸目をつけずに、
難なく入手出来るが、相手が人の子であるので、その訳にもゆかず、
志津子ゆえに伊集院は此の村で一番きたない旅館の客となった。
その経緯は志津子の母親、春子が若い頃「伊集院家」に行儀見習いとして、
伊集院の屋敷に奉公していたことが切っ掛けとなっていた。

伊集院と、どんな約束が出来たのか定かでは無いが、
伊集院は惜し気も無く、す寂れた旅館の改築に金をつぎ込んで、
日一日と大工事が進み一流の旅館に生まれ変わって行った。

落成披露を後数日後に控えた或る日、
志津子の姉、佐智子が実家に帰って来た。
佐智子には坂崎と言う恋人が居た。同じ福岡のデパートに勤める
サラリーマンで中々の好青年である。優しい坂崎は公私に渡り
佐智子の理解者で何時も佐智子を庇って呉れるのだ、
彼女は結婚の許しを得る為に勇んで帰って来たのだが、
家で彼女を待って居たのは辰雄との祝言の話だった。

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昭和のメルヘン・ゆびさきの詩(うた)。其の九

◇性の行脚(Ⅱ)
ゆびさきの詩2-1
だが志津子は更に哀れである。
最愛の人を姉にゆずって六十の坂を越した伊集院には
志津子には父にも匹敵する息子がいる。
彼等は、それぞれに独立して別の事業を経営していて家には居ないが、
何時の日にか会った時、彼らは何と挨拶するだろうか。

ともかく姉妹夫々に哀愁を胸に秘めて、その運命に従った。

金の力ゆえとは言いながら、総てを観念して自分の許に来た志津子を、
伊集院は目に入れても痛くない程に愛おしくなった。
月に一度か二度の務めを果たしさえしてくれれば、
彼女がどんな我が侭を言っても自由にさせて咎める事は無かった。

いきおい金にあかせて旅行することが多かった。
今度の志津子は東京の従姉妹を訪ねて、一月あまり帰って来ないので
ボツボツ伊集院の身体が、志津子を求めていたので、
毎日街の郵便局へ便りの有無を問い合わせているが
なしのつぶてで何の音沙汰も無かった。

その頃志津子は寝台特急はやぶさの壱等車で(現グリーン車)、
今度の旅行が殊更に退屈に日々を過ごしたので憂鬱だった。
鹿児島で待っているだろう年老いた夫の顔を想い出すと
更に気が滅入って、暗い顔を車窓におしつけていた。

春だと言うのに箱根の山は、雪を頂いて冬を思わせるように寒い。
名古屋へ着く頃には一段と寒気が増して、乗客はコートを羽織っているが、
ヒーターが壊れているのか暖房の効きが良くない。

列車が名古屋に着いた時、志津子の前の客席に、壱等車には不似合いの
三十二、三の男が乗り込んで来た。様相も優れてはいないが、
目元に愛嬌があって口から鼻の感じが何処と無く辰雄に似たところが有って、
志津子は、目を見張って男を見つめた。
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昭和のメルヘン・ゆびさきの詩(うた)。其の十

◇性の行脚(Ⅲ)
指先の詩09
時間の経過に比例してときめきが溜まって来てそ知らぬ振りに、
過ごせないまでになると、志津子は高田の足をコートの下で
キュッとつねってトイレに立った。

今のつねりは、悪戯をとがめてか、
それとも着いて来い云うのか判断に苦しんだが善意に判断した高田は、
志津子の後を追ってトイレに行った。

トイレの中で彼女は、
「いやな人」と睨んだが、怒っては居なかった。
「誰か人が来るわ」と言おうとすると高田は強引に、
志津子を抱きすくめて唇を吸った。

香水の香りと甘い芳しいヌメヌメとした感触が高田の
欲情を一層掻き立てる。高田は誰も来ない深夜の
トイレで志津子の片脚を高く抱え上げ、ひきった膣に
反り返った男根を差し入れた。

この所浮気する機会に恵まれず、一月余り男日照りを
過ごして居た、志津子の肉体はもう完全に燃えて居た。
唾もつけていない高田の大物を何の苦も無く飲み込んで、
「ハァー・・・」悩ましげな声を出した。

カタコトと列車が奏でる振動が巨大な男根に伝わって、
子宮の内、外にジーンと伝わって、時折レールの継ぎ目で
突き上げるショツクが加わると、志津子は高田の首に
しがみ付いて尻を左右に振って力んだ。

高田の男根が固く子宮を突き上げて痛いほど子宮が
膣の方に競り合って男根に絡みつくので、男も女も
共々心地良く、高田が無理な体位で、
十四、五回も抜き差しすると、
「いいわ・・・・とてもいいい・・・」
「うぅぅーん、アハァアハァ・・・ン」
「いきそうよ・・・・アーン・・・イク・・・イク・・・」
「僕もいい・・・イキマスよ・・・」
と二人同時に呆気なく精を遣ってしまった。

志津子は列車の振動を局所に感じるのか、
たまらぬ程、快感をそそるので、何時までもこの体位で、
この侭居たかったが、深夜とは言え何時、
人が来るか判らず、その方に気を取られて、
「此の儘では私未だ満足出来ないわ、
 私、京都で途中下車するから貴方も付き合って」
と高田の同意を求めた。

早々に高田の腕に持ち上げられた脚を外して、
ハンカチで高田の男根と陰毛に粘りついた淫水を
拭ってやり、自分の陰部はパンティで拭いて便器に捨てると、
恥ずかしそうに席に戻った。

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昭和のメルヘン・ゆびさきの詩(うた)。其の十一

◇性の行脚(Ⅳ)
画像番外 0394
先程の仲居が手持ち無沙汰に立って待っていた。
茶碗に漬けた黒い輪は大きく膨らんで、中ほどの穴が
五円玉程に成っている。
丹波の山奥の野生のコンニャクで作った性具リングである。
野生のコンニャクは畑のコンニャクの十倍以上のひきが有り、
如何に精製してもアクが強く、エグミが抜けず、
食用には使用出来ないと言う。
此処の一風変わった仲居は得々として説明を続ける。

志津子はそ知らぬ振りで鏡台に向かって居るが・・・
鏡の中の其の顔は好奇心に輝いて居るようだ。

仲居の話しは更に続いた。

中央の穴を指で開いてカリ首とサオの境目に首輪の様に
嵌めると亀頭の首を締め付けて、その圧力で少々
しなびれ掛けた一物でも「カッ」と充血して怒張する。
是を嵌めて女性の膣に差し入れる。

性交を行っている中に、滲み出た淫水でリングは
益々ふやけて膨らみ、エグミが性器を刺激して
かゆみを覚える。
大きく膨れ上がったリングであちこちと撫で回されると、
如何なる女性でも半狂乱と成って、
其の快感にのたうち、よがり泣く。

普通の性具と異なって使用している男根も
エグミの作用が性感を刺激し、
得も言われぬ快感に満足する。

是はインポテンッの人に良く効くので有名である。
この様な内容のことを説明し終わって仲居が、
「旦那様、私がはめて進ぜますから、チョツト出してお見せやす」
と、膨れたコンニャクを持って差し出した。

高田は慌てて前を押えて、
「いゃ、ありがとう、貴女の説明で良く
 判りましたから、もう結構です」
その過剰すぎる親切に辟易して断った。
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昭和のメルヘン・ゆびさきの詩(うた)。其の十二

◇性の行脚(Ⅴ)
画像 2085
志津子も、二度や三度のオルガスムスで有ったなら、
疲れの色も見せなかったろうが、
男のカリ首に嵌められたリングから浸み出る汁の刺激と、
膨れ上がったリングが、男根の様に膣の天井をグイグイと、
小突くので、何時もの様に思って、
余韻の喜びに浸って腰をうごかして居ると、
其れが次ぎの盛り上がりに繋がってしまうのだ。

今はもうどうする事も出来ない淫魔地獄に陥って、
男が其の男根を外さぬ限り何時までも続くのか判らない。
男の性感を損なわない事が特徴だと、
仲居が力説していたが・・・
アルカリの作用で血の巡りを良くして、
勃起に著しい効果があると言うが、
肝心の射精の時の通路を余りに強く締め付けるので
精液が吐き出されず精嚢に逆戻りする感じで、
男根は勃起し続けるが射精感が無いのだ。

高田はリングを外して、自然に勃起するのを待って、
志津子の中に挿入した。
「フゥフゥ・・・ハァハァ・・・」
吐息も荒く、スカスカ、ピチヤピチヤ、狂気した様に
腰を使って突きたて攻め立て、嵐の様に荒い息を
志津子の首筋に吐き掛けてドクドクドク・・・
と射精して動かなくなった。

夜も明けて、仲居達が忙しく、掃除を始めた頃
彼と彼女は、大きく取り乱したまま深い眠りに
さ迷いこんでいた。

旅は道連れとか、旅の恥はかき捨て、とか言うが。
ふとした巡り合わせで燃え上がった恋は、
旅の徒然にしては、刺激が強すぎた。
志津子は辰雄の指の思い出を高田にかぶせ、
伊集院家の妻で有ることを忘れ、性の快楽に溺れた。
京都に二日も滞在し、昼と無く夜と無く、二人は
求め合い、貪りあった。

三日目に福岡に移動し、伊集院翁と滞在した事の有る
Sホテルに宿泊した。

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昭和のメルヘン・ゆびさきの詩(うた)。其の十三

◇女のなやみ(Ⅰ)
ゆびさきの詩4-1
鹿児島湾を抱き込んでいる薩摩半島の南端に指宿がある
指宿を指呼の間に臨む山川港は枕崎と並んで、
かつお漁の根拠地として栄えている港だが、
沖縄密輸の盛んな頃には此処から帰って来る密輸船が可也見受けられた。

ホロと呼ばれる一本釣りのいさり船は標高920mの開聞岳を目標にして帰って来る。
*開聞岳の標高は正式には924mである*

南の突端に柳樹や蘇鉄に囲まれたブロックの近代建築が
開聞岳を背景にしてショウシャな姿を見せている。

宵闇せまる頃にはハマユウの花咲く海辺から磯の香りが漂ってくる
異国情緒に富んだ平和な夢の園こそ志津子の別荘である。
その辺り一帯に大小の温泉郡を持ちながら、俗悪な環境のない地を選んで
三年前に亡き伊集院翁が若き妻の歓心を求めて建てて呉れた。

数奇を極め、贅を極めた調度品が各部屋に満ち、
浴室には特に意を凝らして、温泉ホテルにも匹敵する
豪華な作りに成っている。
こんこんと湧き出る豊かな湯が絶えず浴槽に溢れ出て居る。
大きな一枚ガラスの向こに潮騒を聞き、
湾口を隔てた対岸の大隅半島が横たわって見える。

夜になると、その先端に位置する佐田岬の灯台が、
漁り火の中に一際よくピカピカと光を放っている。
無数の漁り火がプラネタリウムの様に、煌く様が、
浴室の中から手に取るようにうかがわれる。

十八歳の秋、四十余り年上の亡き「林業王」伊集院友隆に
惹かれ、泣く泣くその愛を受入れて鹿児島に出て来たのだ。
亡夫友隆の舐めるような愛情の中で成長してきた志津子である。

落葉の音にさえ涙するような乙女の感傷を擁く年頃に、
初恋の人と裂かれた傷跡を大きく残して来ただけに、
愛されれば愛されるほど総てが、疎ましく金に飽かして
旅行を楽しんだ。

旅先で、行きずりの男と情を交わすのが、せめてもの
レジスタンスで有った。

この数々の乱行を、気付いて居ながら、
決して怒った事のない友隆は、
大きな愛情で志津子を包み込んで居た。

男としての機能が役立たなく成ると、起死回生を頼って、
志津子の身体のあらゆる部分を舐め廻し、吸い尽くし、
指先は絶えず乳房をもてあそんで、最後に臨む陰部の臭いが鼻をついた
瞬間だけ精気を取り戻した様な気に成るのが嬉しかった。

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プロフィール

アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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