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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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湖底に消えた初恋の思い出。其の四

~二人だけのじゃれ合い~
湖底に5-1
私と誠子は土手に並んで座った。まだ、あちこちに、蕗の葦がボケて残っている。

私は二人でいることに、性的な息苦しさを感じ、誠子から離れると堰の上に立った。
すると間もなく誠子も堰に下りて来て私と肩を並べた。

「キミは恋人が本当にいないの?」
誠子は流れを見ながら、ポッリと言った。

本当は好きな女の子がいた。同じクラスにいる中尾緑という女の子だった。
しかし、その子には好きと告白したわけでもなく、私の一方的な片思いだったが、
卒業間際には感動的な告白をする計画でいた。

その事を誠子に言うのは気が引けたし、彼女がいないと言うのは実際に嘘ではなく、
そして無難なことの様に思えた。
「いません、彼女なんて・・・」
「そう、じゃ私がなってあげてもいいわ。それとも年上の女は嫌い?」
「・・・」
「ビックリした?」
「少し、でも誠子さんには恋人いるんでしょ」
「そう見える?」
「とっても綺麗だし・・・」
「まっ、オマセさんね」

誠子は言い終わった瞬間、私の頬に突然、唇を押し当ててきた。
それは、ほんの一瞬だったが、はっきりととした唇の柔らさを私の頬に残した。
私の頭の中は、何も考えられないほど、真っ白に成り、顔は燃えている様に上気して、
ボーッと熱くなるのを感じた。
 
湖底に5-2
「番小屋に入った事って有る?」
誠子の声が秘密めいて聞こえ、これから何かが起きそうな予感を伝えて来た。
「ずっと前に友達と・・・」
「そう、私も見て見たい。案内してくれる?」

誠子は私のてを、ソッと握ると番小屋へ向かった。
誠子の手は、とても柔らかで温かく感じられた。
番小屋の前で一度立ち止まり、辺りに人影がないことを確かめてから、
鍵の掛かっていない木戸を開け、その中に私は誠子の体を押し込んだ。

その後で、私は土手の上に自転車を放置したままだった事に気付き、
急いでそれを竹薮の中に隠しに行った。

番小屋に戻ると、誠子は土間から一段高くなった板敷きの筵(むしろ)の上に
腰を下ろしていた。時には川守り人が見廻りに来て掃除をしているらしく、
殺風景で何もない番小屋は思ったより綺麗になっている。

私は誠子の脇に、体を並べて座った。すると、川のせせらぎの音が外にいた時よりも、
はっきりと聞こえる事に気付いた。川に面して作られた監視用の小窓から入った音が、
小屋の中で反響し合っている。そんな感じだった。

「私を抱きたい?」
「・・・?」
「抱きたかったら好きにしてもいいのよ」
誠子は私の肩に頭をもたせかけて言った。私をからかっているという感じは全くない。
しかし、初めて親しく成りかけているのに、突然そんなことを言うものだろうか。
それとも遊ぶには、ちょうどいい相手だとも思っているのだろうか。

誠子という女が分からなくなったが、面倒なことを考えるより先に、
私のペニスは正直に反応していた。

「本当にいい・・・?」
言い終わる前に誠子は私の肩を抱くと唇を唇で塞いできた。
だが、キスを初めて体験する私は、如何すればいいのか分からない侭、
体を誠子に預けて強ばらせていた。
湖底に5-3
誠子は唇を強く吸う。それに応えるように私も強く吸い返す。
二人とも吸っていればいいと思っているだけの、幼いキスだ。

それでも唇は痺れたようになり、気持ち良さだけ運んできた。誠子も気持ちが良いようだ。
フンフンと言う甘ったるい鼻声を漏らし始め、私の首に腕を絡み付けたまま、
ゆっくりと体を後ろに倒したために、私も引きずられる様にして、誠子の脇に体を横にした。

私の腕が胸の膨らみに触れた。其れは自転車にのっていた時に、
背中で感じていた膨らみと同じ弾力を持っていた。

誠子はようやく唇を離した。私の目の前に細面の美しい顔がある。
誠子はそれまで閉じていた目を開けて、眩しそうに私の目を見つめていた。

誠子の少し茶色を含んだ瞳は、泣いた後の様に潤み、目の縁は刷毛で掃いたように
桜色に染まっていた。そして、何も言えず目と目を見つめ合っていると、
誠子は突然、私の鼻先に噛み付いてきた。それほど痛くはなかったが、
大袈裟に悲鳴を上げて、私は鼻を押えて痛がって見せた。

すると誠子は本当にビックリしたようだ。心配気に私の顔を覗き込んできた。
その様子を薄目を開けて見ながら、誠子の鼻に噛りつく。

「キャーッ、騙したわね」
誠子は私の胸を叩こうとした。その腕を掴み誠子の胸元に押さえつける。
私達は恥かしさを隠すため、じゃれ合うように絡み合った。
と、その時、私の手ははっきりと誠子の胸元を捕らえていた。

「ご、ごめん・・・」
「い、いいの、謝る事なんてないわ。オッパイ、そのまま触っても良いわ」
誠子は顔を真っ赤に染めて目を閉じた。
私は右手でブラウスの上から、乳房の膨らみにソッと触れた。

乳房は右手の中に収まる形で盛り上がり、
早鐘のように打っている心臓の鼓動さえ伝えてきそうだった。
  1. 純愛ポルノ
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プロフィール

アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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