花の銀座で芽生えた恋。其の四
◇激情の迸り
その勃起に気が付いたのか、
舌をうねらせていた典子が低く呻き、顔を仰け反らせて舌を離した。
私は典子の白い喉に口を滑らせ、
さば折りの形で胴を回した腕で絞り、彼女をさらに仰け反らせた。
典子の膝が折れた。
支えた私の腕の力に身を任せて、激しい喘ぎを漏らしつつ、
ずるずると地面に崩れ落ちていく。
私は抱き締めた典子の肌に重なった。無防備に仰向いた典子が、
「だめよ・・・」と小さな声を漏らして身悶えた。
初めて密着した彼女の肉体は柔らかく、そして異様なほど熱かった。
「ノンちゃん!」私はその名を呟き、ワンピースの上から乳房を弄り掴んだ。
柔らかく円い膨らみが、モワッとした感触で弾む。
「だめ、だめよ・・・」典子が乳房を揉む私の腕を押さえる。
「お願い、キスだけ、キスだけにして・・・」
典子が顔を起こした。額でふんわりと双つに割られ、耳を包む位置で
カットされた黒髪の間で、典子の目が潤んで光っていた。
「ごめんね、私は来年結婚する事になったの・・・」
私は愕然とした。まさに青天の霹靂だ。
「結婚?どうしてっ?誰と!」
「仕方なかったのよ。いつまで独身を続けるんだ、と社長に叱られてね、
お見合いを断ったあのメーカーの人と、社長や親と一緒に今日会ってね、
婚約してしまったの・・・」
「そんな・・・!」私は絶句した。
頭の中が真っ白になった。
その痺れた頭の中に、遠い典子の声が染み込んできた。
「でも、わたしはゴウちゃんが好き・・・
結婚するなら、その前にせめてキスだけの思い出は作って置きたかったの」
その哀願的な告白に、私の全身には言いようのない衝撃が起こった。
裏切られた怒り、いやそんな簡単なものではない。爆発的な衝動、
そう、理性を失った暴力性の激情と言うのか・・・。
「嫌だっ!」
私は叫び、典子の頭をかき抱いた。
「ノンちゃんは俺のものだ!誰にも渡さないぞ、絶対に渡さないっ!」
荒々しく唇を奪った。ワンピースの裾を強引に巻き上げ、
膝頭で割った典子の股間に片手を押し込んだ。
その勃起に気が付いたのか、
舌をうねらせていた典子が低く呻き、顔を仰け反らせて舌を離した。
私は典子の白い喉に口を滑らせ、
さば折りの形で胴を回した腕で絞り、彼女をさらに仰け反らせた。
典子の膝が折れた。
支えた私の腕の力に身を任せて、激しい喘ぎを漏らしつつ、
ずるずると地面に崩れ落ちていく。
私は抱き締めた典子の肌に重なった。無防備に仰向いた典子が、
「だめよ・・・」と小さな声を漏らして身悶えた。
初めて密着した彼女の肉体は柔らかく、そして異様なほど熱かった。
「ノンちゃん!」私はその名を呟き、ワンピースの上から乳房を弄り掴んだ。
柔らかく円い膨らみが、モワッとした感触で弾む。
「だめ、だめよ・・・」典子が乳房を揉む私の腕を押さえる。
「お願い、キスだけ、キスだけにして・・・」
典子が顔を起こした。額でふんわりと双つに割られ、耳を包む位置で
カットされた黒髪の間で、典子の目が潤んで光っていた。
「ごめんね、私は来年結婚する事になったの・・・」
私は愕然とした。まさに青天の霹靂だ。
「結婚?どうしてっ?誰と!」
「仕方なかったのよ。いつまで独身を続けるんだ、と社長に叱られてね、
お見合いを断ったあのメーカーの人と、社長や親と一緒に今日会ってね、
婚約してしまったの・・・」
「そんな・・・!」私は絶句した。
頭の中が真っ白になった。
その痺れた頭の中に、遠い典子の声が染み込んできた。
「でも、わたしはゴウちゃんが好き・・・
結婚するなら、その前にせめてキスだけの思い出は作って置きたかったの」
その哀願的な告白に、私の全身には言いようのない衝撃が起こった。
裏切られた怒り、いやそんな簡単なものではない。爆発的な衝動、
そう、理性を失った暴力性の激情と言うのか・・・。
「嫌だっ!」
私は叫び、典子の頭をかき抱いた。
「ノンちゃんは俺のものだ!誰にも渡さないぞ、絶対に渡さないっ!」
荒々しく唇を奪った。ワンピースの裾を強引に巻き上げ、
膝頭で割った典子の股間に片手を押し込んだ。
パンティの感触、柔肉が弾む性器。そこは温かかった。
私の指は、典子の神秘の割れ目に食い込んでいた。
「ああっ、だめ、だめよう・・・」
キスから仰け反り逃れた典子が、泣き声を漏らして身悶える。
肌を重ねてその動きを封じて、私は執拗にパンティの中の柔肉を揉んだ。
そうしながら、きついパンティの縁から指を押し込む。
典子がピクンと大きく震えた。布地の中に潜り込んだ私の指先は、
女体の蕩けた柔肉の狭間に沈んでいった。
「ゴ、ゴウちゃん・・・!」典子が私の頭を掻き抱いた。
ざわつく陰毛、濡れて温かい秘肉。私は典子のその秘肉の奥深くに、
震える指先を押し込んだ。強張り硬直していた典子の体から力が消えた。
同時に、私の頭の中から時間の経過と、すべての物音が消えていった。
いつ典子のパンティを脱がせたのか、いつ私が下半身を剥き出しにしたのか、
まさに無我夢中の間の事だった。
チンチンと鳴る都電の警報機、そして通過音が私の耳に甦った時、
私のペニスは柔らかな典子の胎内に埋まって、
激しく脈打ちつつ快感のすべてを放出していた。
その時の私の腕の中の典子は、
まるで熱病患者のように激しく震えて、大きく仰け反った顔を苦悶に歪め、
開いた唇から覗く白い歯までをカチカチと鳴らしていた。
私は快感の余韻に恍惚とし、再び時間を止めてしまっていた。
やがて、私の背中にしがみついていた典子の両手が地面に落ちて、
その気配で気を取り戻した私は、
弛緩した彼女の肌からゆっくりと上体だけを起こした。
「ノンちゃん、俺と結婚してくれよ・・・」
典子がすすり泣くような吐息を漏らして、目を開いた。
「ありがとう、嬉しいわ・・・」微笑んで、静かに腰を引いた。
萎えていた私のペニスが、その股間から抜けた。
「でも、だめよ・・・二人がもっと年を取った時のことを考えて・・・」
典子は囁く声で言いつつ、身をくねらせて私の下から逃れ出た。
その刹那に見えた典子の太腿は、闇の中でも雪のように白く、
茂る陰毛の黒さを際立たせていた。
典子は地面のパンティを拾って、私に背を向けたのだが、
股間にハンケチを当てるのが判った。私はその動作にうろたえた。
「でも、これで子供が出来たら・・・」
「そんな事は考えないで!」姉が弟を叱る口調だった。
「全部、私の責任なのよ、ゴウちゃんとこうなったこと、
今はとっても嬉しいの、何も気にしないで・・・」
素早い身のこなしでパンティを上げて、典子は向き直った。
「ねえ、少しお喋りしていこうよ」
私達はその堀端で、その後一時間以上も寄り添い、語り合った。
私は典子の家庭の事も何も知らなかった。
父親は戦死し、母親が苦労して彼女と兄を育てた母子家庭だったのである。
その兄も結婚して同居しているし、
「早く家を出なければ、と焦っていたのは本当だったわ」と典子は明るく笑う。
「でもね、いくら好きでも、七つも下のゴウちゃんと結婚したら、
母が、近所や親戚の人から苛められちゃうでしょ?
だから、私はゴウちゃんの歳が嘘だったらいいなって、ずっと思っていたんだから・・・」
そう、私は子供だった。
笑いながら喋る典子のこれまでの屈託に、全く気が付かなかった。
恋が成就した後の生活設計など全然頭の中になかった。
ただ単に、好きだから、恋だから、と有頂天になっていただけなのだ。
子供の私は、こんな大人の典子を諦めるしかなかった。
悄然としている私を、その夜の典子は優しく宥めてくれる。
「ねえ、今度の夏の休暇の時に、二人で思い出作りの旅行をしない?
ゴウちゃんが伊藤君と行ったと言っていた霧積温泉に、
私も一度いきたいなあ、て思っていたのよ」
私の胸は初デートの時のように、燃えるようにときめいた。
信越線横川駅で降りて、群馬県碓氷峠の山裾の上の山道を十一キロ歩いて、
やっと辿り着く、霧積山の麓にあるひなびた霧積温泉の一軒宿。
その先の軽井沢には誰でも行くが、そんな場所に温泉宿があるとは、
当時の観光マップにも記載されていなかった。
私と親友の伊藤が、三年前に軽井沢に遊びに行き、
若さの無謀さで碓氷峠越えに挑戦して道に迷い、偶然たどり着いた宿だった。
私は典子を抱き締めた。そのキスの時には、私達は少しも震える事は無かった。
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プロフィール
Author:アヤメ草
FC2ブログへようこそ!管理人の
アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。
私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。
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