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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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初夜で判った新妻の性的魅力。其の二

◇酒と女が生きがいに
p1010910

大鼾をかいている者がいた。マッチを擦ってストーブに火を入れた。
炊き口の炎が男を照らし出した。男は本間だった。他の男達の姿は無かった。
酔い潰れてしまった私達を残したまま、夫々の家に帰ってしまったのだろう。
ひどく頭が痺れていた。

私は本間を漁師小屋に置いたまま、自宅に月明かりを頼りに帰った。
ストーブには石炭を目一杯入れて置いたから、おそらく朝までは燃え続けて、
本間が風邪をひくことはないだろうと思った。

翌朝、私はまだ暗いうちに港へ行った。頭はまだ重く痺れていたが、
気分は爽快だった。男たちは出漁の前の準備で、忙しく立ち働いていた。
その中には、本間もいる。口から白い息を吐きながら、
陣頭に立って小気味いいほどの指揮をとっていた。

「船頭さん、夕べは・・・」
と言いかけた私に、本間の怒声が返ってきた。
「今頃ノコノコと来やがって、お前の事は吉崎に全て任せてある。
 吉崎の指示に従え」
「・・・!?」
「何をグズグスしてる。オオーイ、吉崎」

本間は吉崎を呼びつけると、私と引き合わせた。
それは私が漁師に成った、瞬間だった。

吉崎は私より五つ年上で、乗組員の中では一番年若だった。
祖父の代からの漁師で、幾度となく死の淵を覗いたせいか、
目は異様なほどギラつき、無口で何を考えているのか判らない所が有った。

しかし、この生粋の若い漁師からは、学ぶことが多い。
その日から、吉崎の一挙手一投足を見つめ、
無口な彼から漁師としての腕を盗むことに腐心した。

漁師の朝は早い。三時には港に行って漁の準備をする。
漁場の奥尻島の沖合に着くころに、ようやく白々と夜が明けはじめる。
網を投入して、一時間ほど船を走らせる。
今の様に魚群探知機などはないから、鴎の鳥山を見つけるか、
船頭の経験に裏打ちされた勘が頼りだ。

二十トンほどの小船に十人の漁師が乗り込み、
船端から網をワッセイ、ワッセイと手繰り上げる。
仮に空網でもかなりの重量があって、大漁ともなれば腰を使って
引き上げるだが、全身の骨という骨が悲鳴を上げるほど重く、
寒風が吹き荒ぶ中でも、厚手の服を通して体から湯気が出た。

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choship1331
鰊漁は当時も「海のダイヤ」と呼ばれ、漁の花形だった。
網元の多くは豪壮な鰊御殿を建て、夜毎、美酒を飲み、
美女に囲まれて大袈裟ではなくまさに元禄の殿様の様に暮らす者もいた。

当然のごとく漁師たちも豪勢に遊んだ。
宵越しの金など、残そうともしない。
漁に出れば、日銭が面白いほど入って来るのである。

そうした一方で鰊相場で家を失ったり、自殺する者が続出した。
船を持たない者が、一網の権利を買っては大博打に出るのだが、
漁は海任せだ。何日も不漁が続けば、たちまち破産してしまうのである。
それでも都会が戦後の復興に血道をあげている中で、鰊の獲れる港町は、
そこだけが別世界のような賑わいぶりを見せていた。

漁は二時頃に終わる。女衆が鰊を陸に運び上げている間に、
漁師たちは破れた漁網を浜に並べて繕う。
その後はすねこともないから、三三五五、町に繰り出す。
懐にはその日の取り分が、たんまりと入っているのだ。

海が荒れて危険な目に遭った日は、特に女の肌が欲しくなる。
生きている喜びを、女を抱くことで確かめたいと思う本能が、
そう仕向けるのかもしれない。
町には当時、娼家が何軒もあった。女性のほとんどは札幌や函館、
あるいは仙台、東京から生きるために流れて来た者ばかりだった。
優にその数、五十人は軽く超えていただろう。

そんな中に、小雪という女がいた。私と年は同じで、細面の・・・
名前の様に色の白い女だった。私はそれまで特定の相方を選ばない主義で、
右から左にいつも違う女を抱いていた。
恋愛感情もなく、金で済む排泄欲だけを満足させれば良かったからだ。

女たちのほとんどは、無機質だった。
襦袢姿で布団の上に人形の様にゴロリと横になる。
生きる為に股座を貸しているという思いが強いので、キスを許すこともない。
その上、男を出来るだけ早く終わらせる為、感じている振りを装い、
大袈裟なヨガリ声を上げる。経験の少ないうちは、それでも充分満足出来たが、
次第に空しさを感じる様に成り初めていたのだった。
  1. 妻を語る
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プロフィール

アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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