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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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亭主奪還計画。其の五

~夫奪還作戦~
亭主奪還計画12
丁度その頃テレビで流行っていた美容体操を毎日、欠かさず行い、
肌の手入れも徹底させました。洋服にも気を使うように成りました。一ヶ月ほどで
自分でも見違えるように成りましたが、何かが足りない気がして成りませんでした。

(私には、性的魅力が残っているのかしら。これで、あの女に勝てるのかしら?)
周りの人たちも私の変化を褒めて呉れましたが、それでもまだ自信と不安が
入り交じった心境でした。見た目だけでは完璧でない。
きっと、あの女はセックスもすごいに違いない。
あの女に勝つ為には、床上手になって、夫を歓ばせなければなりません。

完璧を期すために、私は清水の舞台から飛び降りた気持ちで春画や春本などを
買い漁り、セックスの研究にも励みました。セックスでも、あの女に勝利したい。
その一念でした。
(もうすぐよ。もうすぐ、あの女の家に乗り込んで、夫を返してもらうんだ!」

私は、執念の塊でした。夫を女の手から奪い返すためには、
どんな事でもする積りでした。けれど、自信はまだ完璧ではありませんでした。
(もし拒絶されたらどうしょう?そうなったら、生きていけないわ)

女の家に乗り込む勇気をなかなか奮い立たせる事が出来ませんでした。
いつ実行するか、そのタイミングを測りかねていたのです。何時までも手を
こまねいている訳にいかなかったのに、いざとなるとからきし意気地のない私でした。

しかし、そんなある日、私に自信をつけさせてくれる出来事が起きました。
子供を母に預け、久ぶりに銀座のデパートに買い物に出掛けた時の事です。

町を歩く私に、何人かの男性が声を掛けて来たのです。

 
亭主奪還計画13
食事やお茶に誘う男性、中には直接的にホテルへ行こうと迫ってくる人もいました。
(こんなこと、初めて!こんなにモテるなんて、生まれて初めてよ)

いまで言うところのナンパですが、以前の私にナンパなど考えられない事でした。
自慢ではありませんが、今迄私は男性に言い寄られた事すらなかったのです。

(自信を持っても良いのかもしれない。薫さんは、きっと帰って来てくれる!)
それに加えて、帰りの満員電車の中では痴漢にも遭いました。
私の後ろに立った中年男が露骨に尻を触ってきたとき、思わず私は息を呑みました。

ナンパばかりか、痴漢に遭うことすら初体験でした。
男がハァハァと耳元で熱い息を吐きながら尻をまさぐるのを、
私はただ呆然と受け容れていました。

長いことセックスとご無沙汰のカラダに、痴漢の行為が効かない筈は有りませんでした。
正直、嫌悪感より快感の方が勝っていました。恥ずかしながら、私はしばし陶然と
男の愛撫を堪能してしまったのです。カラダの奥から、生温かなものが溢れてきました。

「奥さん、これからオレと一発やりに行かないか?」
男がくぐもった声で囁くと、さすがに私は我に返りました。いくら肉体が飢えているとは言え、
私には夫以外の男性とセックスする積りは有りませんでした。

私は慌てて次の駅で降りると、ようやく夫を連れ戻しに行く決心をしました。
ナンパや痴漢を経験して確固たる自信が生まれ、妙にカラダも興奮していました。

その勢いで、女の家に乗り込もうと思い立ったわけです。
もう、私は迷っては居ませんでした。私は、意気揚々とタクシーに乗り込みました。
亭主奪還計画14
明かりが灯った窓は、開け放たれていました。暑い、夏の夜のことでした。
胸が、ドキドキ高鳴りました。女の家の前に降り立つと、私は一つ深呼吸をしてから、
ドアをノックしました。玄関先に現れたのは、夫でした。

「花江?花江か?」
夫は、前触れもなく訪れた私に目を見張りました。
これが、あのヒステリックで疲れ果てていた妻なのか、と言う目でした。

黄色のひまわりのようなようなサンドレスを着て微笑む私を、
夫はしばし口をあんぐり開けて眺めていました。

「ええ、そうよ。迎えに来たのよ、あなた。彼女は?彼女と話がしたいわ」
「店に出ているよ。しばらく戻らない。帰りは、午前さまだ。ま、まあ、入ってくれ」

女の家は、雑然としていました。間取りは2DKくらいだったでしょうか、掃除など
ほとんどしていない様子でした。夫は、私を居間らしき部屋に通して呉れました。

テーブルの上には、食べ残しの食器やグラスが散乱していました。
襖の向こうに、セミダブルサイズのベッドが見えました。
ベッドも当然、乱れていて、私の嫉妬心を掻き乱しました。
けれど、私は平静を失いませんでした。

「暫らく会わないうちに、ずいぶんと変わったな。まるで、別人見たいじゃないか」
夫は気を使って麦茶を出してくれましたが、薄汚れたグラスに口をつける気には
慣れませんでした。私は、ドギマギしている夫にちかづきました。

「私、反省したの。心を入れ替えたのよ。
 あなた好みの女になるよう、努力したつもりよ」
念入りにお化粧した私の顔を、夫はマジマジと見つめました。

「もう一度やり直しましょう、あなた。家に帰って来て。
 美保も、待ってるわ。パパに会いたがってる」
夫は、押し黙っていました。
  1. 夫婦愛
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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