波乱の夫婦生活。其の六
◇男を剥き出した夫◇
いざ家族を失いそうに成って、ようやくその大切さに気づいたのでしょうが、
私の腹の虫は納まりませんでした。
「いいえ、あなたの女癖の悪さにはもうウンザリだわっ。私だって、まだ若いのよ。
他の女の尻ばかり追いかけ回している男になんか、さっさと見切りをつけて、
第二の人生を花開かせたいの。子供たちのためにも、そうすべきなのよ!」
「何っ。他の男を探そうってのかっ。そうはさせない!」
私が啖呵を切ると、夫は血相を変えて、私に飛び掛ってきました。
「あの女のことは遊びなんだよ。憂さ晴らしなんだ。判ってくれよ。
オレには、世津子しかいないんだ。おまえが他の男に取られて堪るもんかっ。
力づくでも止めてみせるぞ!」
「いっ、いゃーっ、止めてっ。カラダを使って引き留めるなんて、姑息よ!」
初めは、そんな夫に嫌悪すら催しました。嫉妬に怒った女を性行為で懐柔しょうだなんて、
何てイヤらしい・・・。それに私も自分に対して、そんな浅ましい手段で機嫌を直すような
女ではない、という自負とプライドがありました。
「うるさい、おまえはオレの妻だ、女なんだ。今から、その事を思い出させてやるっ」
「いやっ、いやよ!他の女を抱いた穢れた手で、私に触らないでちょうだいっ」
私は激しく抵抗しましたが、所詮男の腕力に逆らえるはずもありません。
夫は強姦魔のごとき迫力で、逃げ回る私をうつ伏せに組み伏せ、乱暴に及んだのです。
こんな夫は、初めてでした。会社が倒産して荒れてはいたものの、
私に対して暴力的な性交を挑んでくるという暴挙に出た事はありませんでした。
それが、目を血走らせ、ケダモノのように食らい付いてくる夫を目の当たりにして、
私は強烈なショックを覚えていました。
しゃにむに抗ってはいましたが、カラダの奥から訳の判らない興奮が突き上げてくるのを、
どうしょうもありませんでした。
「ええい。四の五の言うな。オレは、おまえの亭主だ。誰が何と言おうとな!」
と、夫はズボンをずり下げると、猛烈に勃え立った股間を無理矢理、
四つん這いに這わせた私の口の中に突き込もうとしたのです。もう、
頭の中が真っ赤に染まりました。
「うぐーっ、むむむむむっ・・・」
侵入を許すまじと歯を喰い縛りましたが、無駄でした。夫は気迫も凄まじく、
ギリギリと勃起を私の口中に捻り込んでしまったのです。
本当に、見知らぬ男に犯されているようでした。狼藉を働く夫を軽蔑しながらもしかし、
肉体の奥底から理性を裏切るようにして、情熱がこみ上げてきました。
何ヶ月も、性愛とは無縁の乾いた肉体でした。そんな砂漠のような状態のところへ、
無理矢理とはいえ勃起を咥えさせられたのですから、性感に火が点かないわけが
ありませんでした。忽ち、私は快楽の渦の中へと飲み込まれていったのです。
「もっと吸えっ、そうだ、その調子だっ。いいぞ。いいぞっ」
頭が朦朧としていました。こんなえげつない懐柔策に屈してはいけないと、
必死で気を奮い立たせれば立たせるほど、反対に快美はいや増すばかりでした。
割れ目がビショビショに濡れそぼり、むず痒いような快さが全身に渦巻いていました。
夫のものも、私の口中で張り裂けそうな勢いでした。
「ううううう、こりゃあ堪らん!世津子、おまえはこんなに達者だったか!」
私の頭を抑え付け、夫は私の口をガンガン犯しまくりました。
口いっぱいに拡がる雄の匂いと硬い感触に、いまにも私は陥落してしまいそうでした。
「ん、もう我慢ならん!いくぞ、世津子。長い事淋しい思いをさせたなっ」
と、夫は勃起を口から引き抜くと、後ろに回って私の尻をひきつけたのです。直後、
「はあああーっ、ふううううーっ」
背後から、凄まじいばかりの衝撃が膣口を快り抜きました。
獣の体位で根元までふかぶかと姦され、私は目から火を噴くような快感を貪っていたのです。
「あははは、はひィ!い、いいっ、くくくくくゥゥ・・・」
その歓喜は、いかんともしがたいものでした。いくら歯を喰いしばっても、
もはや快楽を押し殺すのは不可能だったのです。ついに、私は本音を漏らしてしまいました。
「そうだろう、そうだろうとも!こんなにビッショリのおまえは、初めてだよ」
呻きながら、夫は肉も裂けよという勢いで抽送を繰り広げました。
その鋭利な感覚に、私はいままでの恨みも忘れて啜り泣いていたのです。
「あああああーっ、いいわ、も、もうダメ、し、死にそうよォ」
「よーし、思いっきりイカせてやる。イカせてやるから、オレと別れるなんて考えるなよ」
「わ、判ったわっ、だから、だから早くっ」
こうなるともう、女の意地もへったくれもあったものではありませんでした。
愛憎の果てに強姦まがいの性交で責め立てられ、否応泣く愉悦の極みに押し上げられて
いったのです。あたかも、血管の中に快感が流れているかのような心地でした。
「あひいいいーっ、イ、イク、カラダが、カラダが飛んでくーっ」
熾烈律動に連打され、私はあっという間に大絶頂に登り詰めていきました。
それは、カラダの中で火山が爆発したようなショックでした。
久しぶりに、私は満ち足りていました。肉体の充足は、精神の充足に繋がるようです。
気持ちまでが、寛容になっていました。完全に許すのは難しい事でしたが、
もう一度夫とやり直してみよう、と言う気に成ったのです。
それ以来、夫もあの飲み屋の女とはきっぱり切れてくれました。
一念発起、また会社を立て直す努力をはじめました。
夫は、また以前の夫に戻ってくれたのです。
それから三十年余り、私たちはお互いよき伴侶として、添い遂げ続けて来ました。
その間、小さな波風が立つこともありましたが、あの修羅場を乗り越えて来た事を
思えば、些細ないざこざなど問題ではありませんでした。
二人の娘もまあまあ幸せな結婚をしてくれ、孫にも恵まれ、
夫とも何とか仲良く遣って来れて、私の人生もそれほど
捨てたものではなかったのではないか、としみじみ思う今日この頃です。
過去を回想しているうち、益々亡夫が恋しくなってしまいました。
おかげで、私は死ぬ事が怖くなくなってしまいました。あの世であの人に
再会することこそ、いまの私の一番の望みなのです。
それまで、精一杯生きて行こうと思っています。
END
いざ家族を失いそうに成って、ようやくその大切さに気づいたのでしょうが、
私の腹の虫は納まりませんでした。
「いいえ、あなたの女癖の悪さにはもうウンザリだわっ。私だって、まだ若いのよ。
他の女の尻ばかり追いかけ回している男になんか、さっさと見切りをつけて、
第二の人生を花開かせたいの。子供たちのためにも、そうすべきなのよ!」
「何っ。他の男を探そうってのかっ。そうはさせない!」
私が啖呵を切ると、夫は血相を変えて、私に飛び掛ってきました。
「あの女のことは遊びなんだよ。憂さ晴らしなんだ。判ってくれよ。
オレには、世津子しかいないんだ。おまえが他の男に取られて堪るもんかっ。
力づくでも止めてみせるぞ!」
「いっ、いゃーっ、止めてっ。カラダを使って引き留めるなんて、姑息よ!」
初めは、そんな夫に嫌悪すら催しました。嫉妬に怒った女を性行為で懐柔しょうだなんて、
何てイヤらしい・・・。それに私も自分に対して、そんな浅ましい手段で機嫌を直すような
女ではない、という自負とプライドがありました。
「うるさい、おまえはオレの妻だ、女なんだ。今から、その事を思い出させてやるっ」
「いやっ、いやよ!他の女を抱いた穢れた手で、私に触らないでちょうだいっ」
私は激しく抵抗しましたが、所詮男の腕力に逆らえるはずもありません。
夫は強姦魔のごとき迫力で、逃げ回る私をうつ伏せに組み伏せ、乱暴に及んだのです。
こんな夫は、初めてでした。会社が倒産して荒れてはいたものの、
私に対して暴力的な性交を挑んでくるという暴挙に出た事はありませんでした。
それが、目を血走らせ、ケダモノのように食らい付いてくる夫を目の当たりにして、
私は強烈なショックを覚えていました。
しゃにむに抗ってはいましたが、カラダの奥から訳の判らない興奮が突き上げてくるのを、
どうしょうもありませんでした。
「ええい。四の五の言うな。オレは、おまえの亭主だ。誰が何と言おうとな!」
と、夫はズボンをずり下げると、猛烈に勃え立った股間を無理矢理、
四つん這いに這わせた私の口の中に突き込もうとしたのです。もう、
頭の中が真っ赤に染まりました。
「うぐーっ、むむむむむっ・・・」
侵入を許すまじと歯を喰い縛りましたが、無駄でした。夫は気迫も凄まじく、
ギリギリと勃起を私の口中に捻り込んでしまったのです。
本当に、見知らぬ男に犯されているようでした。狼藉を働く夫を軽蔑しながらもしかし、
肉体の奥底から理性を裏切るようにして、情熱がこみ上げてきました。
何ヶ月も、性愛とは無縁の乾いた肉体でした。そんな砂漠のような状態のところへ、
無理矢理とはいえ勃起を咥えさせられたのですから、性感に火が点かないわけが
ありませんでした。忽ち、私は快楽の渦の中へと飲み込まれていったのです。
「もっと吸えっ、そうだ、その調子だっ。いいぞ。いいぞっ」
頭が朦朧としていました。こんなえげつない懐柔策に屈してはいけないと、
必死で気を奮い立たせれば立たせるほど、反対に快美はいや増すばかりでした。
割れ目がビショビショに濡れそぼり、むず痒いような快さが全身に渦巻いていました。
夫のものも、私の口中で張り裂けそうな勢いでした。
「ううううう、こりゃあ堪らん!世津子、おまえはこんなに達者だったか!」
私の頭を抑え付け、夫は私の口をガンガン犯しまくりました。
口いっぱいに拡がる雄の匂いと硬い感触に、いまにも私は陥落してしまいそうでした。
「ん、もう我慢ならん!いくぞ、世津子。長い事淋しい思いをさせたなっ」
と、夫は勃起を口から引き抜くと、後ろに回って私の尻をひきつけたのです。直後、
「はあああーっ、ふううううーっ」
背後から、凄まじいばかりの衝撃が膣口を快り抜きました。
獣の体位で根元までふかぶかと姦され、私は目から火を噴くような快感を貪っていたのです。
「あははは、はひィ!い、いいっ、くくくくくゥゥ・・・」
その歓喜は、いかんともしがたいものでした。いくら歯を喰いしばっても、
もはや快楽を押し殺すのは不可能だったのです。ついに、私は本音を漏らしてしまいました。
「そうだろう、そうだろうとも!こんなにビッショリのおまえは、初めてだよ」
呻きながら、夫は肉も裂けよという勢いで抽送を繰り広げました。
その鋭利な感覚に、私はいままでの恨みも忘れて啜り泣いていたのです。
「あああああーっ、いいわ、も、もうダメ、し、死にそうよォ」
「よーし、思いっきりイカせてやる。イカせてやるから、オレと別れるなんて考えるなよ」
「わ、判ったわっ、だから、だから早くっ」
こうなるともう、女の意地もへったくれもあったものではありませんでした。
愛憎の果てに強姦まがいの性交で責め立てられ、否応泣く愉悦の極みに押し上げられて
いったのです。あたかも、血管の中に快感が流れているかのような心地でした。
「あひいいいーっ、イ、イク、カラダが、カラダが飛んでくーっ」
熾烈律動に連打され、私はあっという間に大絶頂に登り詰めていきました。
それは、カラダの中で火山が爆発したようなショックでした。
久しぶりに、私は満ち足りていました。肉体の充足は、精神の充足に繋がるようです。
気持ちまでが、寛容になっていました。完全に許すのは難しい事でしたが、
もう一度夫とやり直してみよう、と言う気に成ったのです。
それ以来、夫もあの飲み屋の女とはきっぱり切れてくれました。
一念発起、また会社を立て直す努力をはじめました。
夫は、また以前の夫に戻ってくれたのです。
それから三十年余り、私たちはお互いよき伴侶として、添い遂げ続けて来ました。
その間、小さな波風が立つこともありましたが、あの修羅場を乗り越えて来た事を
思えば、些細ないざこざなど問題ではありませんでした。
二人の娘もまあまあ幸せな結婚をしてくれ、孫にも恵まれ、
夫とも何とか仲良く遣って来れて、私の人生もそれほど
捨てたものではなかったのではないか、としみじみ思う今日この頃です。
過去を回想しているうち、益々亡夫が恋しくなってしまいました。
おかげで、私は死ぬ事が怖くなくなってしまいました。あの世であの人に
再会することこそ、いまの私の一番の望みなのです。
それまで、精一杯生きて行こうと思っています。
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- 夫婦愛
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プロフィール
Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。
私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。
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