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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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夢枕に立ったおさげ髪。其の二

~意固地だった私~
夢枕に・・・03
「親衛隊」の口から用件を聞く。元書記長の私に応援演説を頼みたいのだと言う。
照れながら引き受けた。結果、彼女はダントツの得票数で当選した。
彼女の魅力によるものだったのか、わたしの応援演説が効を奏したのか?
多分百パーセント前者によるものだったと思うのだが。以来、私と彼女の交際ははじまった。

彼女は列車通学をしていたが、下校時には毎日の様に駅までの道程をデートした。
が、当時は昨今の様に高校生どおしの交際は未だ市民権を得てはいなかった。
連れ立って歩くと奇異な目で見られたことも有る。
「あの二人はいずれ結婚する。妊娠して堕ろしたこともあるらしい」などと、
校内でまことしやかに噂された事もある。だが私達の交際は周囲の居に反して
純愛そのものだった。互いに交換日記を綴り、若さならではの苦悩をお互いに
ぶつけ合っていただけである。

別離は一年後にやって来た。私は北大の入試に失敗し、
「早稲田を出て弁護士になる。そのためにも東京の予備校に行く」と、
勝手に上京を決めてしまったのである。両親の猛反対に遭った。
しがないサラリーマンだった父からは、「仕送りなど出来ない」と諌められた。

「学費も生活費もアルバイトで稼ぎ出す」と押し切った。今思えば実に無謀で軽率な
判断だったと反省するのだが、卒業式を終えて旅立つ前日、
下校時にいつもの様に私の家に立ち寄った康子に、私は切り出した。
共稼ぎだった両親は不在だった。

「俺、明日、北海道を発つ」
「そうね。もう会えないの?」
「わかんねぇ」
答える私はさすがに高ぶっていた。彼女の手を握って引き寄せた。
ちょつと躊躇ってから彼女が体を預けてくる。キスを交わした。
後にも先にもたった一度のキスだった。

彼女の唇は信じられないほど柔らかく、
黒髪から漂ってくる甘い香りに私は一気に昂ぶった。
勢いに任せて手をセーラー服のスカートの中にくぐらせる。
あっ、と彼女が叫んだような気がした。が、私は躊躇しなかった。
最後の日ぐらい何をしても許されるという思いがあったのかも知れない。
手を一気に股間まで進めて下腹部をまさぐろうとした。
 
夢枕に・・・04
「だめ、だめよ!」彼女は激しく抗った。
「なんでだよ!俺のことが好きなんだろう?だったらいいじゃねぇか!」
怒鳴りながら下穿きの上から秘密の部分を揉みつける。
柔らかく膨らんだ淫肉の感触が薄布の奥からはっきりと伝わってきた。

「だめ。お願いだからだめ。あたしたち、こんなことしちゃいけない!」
「なんでだよ!俺たち、お互いに好きなんだろう?だったらいいじゃないか!」
「好きだからだめなの。だってこんな事したら、あたし達、もう終わっちゃう様な気がするの。
 あたし、ずっとずっと好きでいたい。いつか宗ちゃんが北海道に帰って来た時、
 思いっきり抱いてもらいたい。あたし、それまで待ってる。だから、だから・・・」

彼女が唇を噛み締めて首を横に何度も振る。声に涙が混じっていた。
彼女の切ないまでの乙女心は後に成って知る事になるのだが、
せっかくのチャンスをフイにした私は、正直な所不愉快で、
ふて腐れた様にスカートの中から手を引いていた。

「ごめん。あたしのこと、嫌いになっちゃつた?でも、あたし、好きよ。
 宗ちゃんの事、誰よりも一番好きよ」彼女の愛くるしい顔が泣きそうに歪んでいた。

私が旅立つ日、彼女はひとり駅のホームに見送りに来てくれた。
「どうしても行っちゃうの?」と、彼女が哀願するようにつぶやいた。
だが私の意思は固く、彼女を振り切るようにして列車に乗り込んだのである。
彼女は唇を噛み締めたまま、何度も何度も手を振って見送ってくれた。
そしてそれが最後の逢瀬となったのである。

その後数年たって、OLになった彼女から二度、手紙を貰った。
私の両親から居所を聞き付けたらしい。
一度目の手紙には、あの日、なぜ私を拒否したのかが切々と綴られていた。
「貴方のことが好きだから、中途半端な変な関係になりたくなかった。今でも好き。
 直ぐにでも会いたい。もし会えるなら、貴方の無の中で思い切り甘えてみたい」
と言った趣旨の事が書かれていた。

だが、私は無視した。すでに交際していた女性がいたのである。二十三歳の時だった。
それから数年経って二度目の手紙が来た。
「両親の勧めでお見合いする事に成りました。相手は三十一歳の銀行員です。
 もしかしたら結婚するかもしれません」といった内容だった。これも無視した。
一度目の手紙の時に付き合っていた女とは別の女性と同棲中だったのである。

  1. 忘れ得ぬ人
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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