ぐうたら息子を改心させた母と妻の謀。其の二
◇初めて女とやる前に
中学を卒業すると私は老舗の料亭に修行に出された。私は嫌だったが、
高校に行って勉強する気にもなれず、
「お願いだから、早く一人前の板前になって、この店を継いで欲しい」
と、母にさめざめと泣かれてしまっては、そうするしか他に方法はなかった。
しかし、その当時の私は、古い伝統としきたりと言う奴には、どうしも馴染めなかった。
明けても暮れても食器洗いばかりだし、先輩への口答えはいっさい許されなかった。
ある時、私は大根を洗わされていたのだが、洗う前には大根一本一本に、
洗わせて下さいと頭を下げろなどと言われた事があった。
それに耐えられなかった私は、遂に家へ逃げ戻ってしまったのだった。
母は呆れて、ガッカリしたようだが、別に私を怒ったりはしなかった。ところが今度は、
また別の店に私を頼み込んだのだが、私はまたしても逃げ帰ってしまった。
そんな風にして四軒の料亭を次々と黙ってやめてしまったら、
さすがに母も私を料理人にする夢は諦めたようであった。
私は別に何もすることがなくて、毎日をブラブラして過ごしていた。
母は心配そうに見守ってくれていたが、其の頃の私は何となく虚無的に生きていたせいか、
成るように成るさ、といった気持ちだった。
恵美子と出会ったのはそれから暫く経ってからだった。
彼女は私が良く行く喫茶店でウェイトレスをやっていたが、髪は黒く、目鼻だちの整った、
一目で混血のハーフと分かる美少女だった。私は一目惚れしてそれから毎日の様に
通いつめ、ついにデートに誘う事に成功した。
母から小遣いをせびり、恵美子が鎌倉の方を歩きたいと言うので古都の佇まいを
見て回り和食の店へ入って食事をした。
夕暮れが迫って来たので「そろそろ帰ろうか?」と私が言うと、
彼女は「疲れたから、少し休んでいきたい」と、
手を握ってきて、ブラウンの瞳でジッと私を見つめた。
私は急に胸がドキドキしてきて、うろたえてしまった。
私たちが手を握ったのは初めてのことだし、彼女の言っている意味が、
何となく分かるような気がしたからだった。だが、私はまだ女性とはキスの経験も無く、
もちろん童貞だった。
「どっか静かなとこ・・・」
私は心臓がパクパクしてきた。そして、ほとんどうわの空といった状態になって、頷いていた。
彼女が突然私の腕に両手を回し、ぶら下がるような格好ですがり付いてきた。
私たちはそのまま二十分ぐらい、ほとんど言葉も交わさず歩いて、
やっと一軒の連れ込み旅館を探し当てた。今考えると、とても汚い木造の旅館で、
中年の女性が一階の部屋に案内してくれたのだが、私は恥ずかしいので、
俯いて顔を合わせないようにしていた。
その女は恵美子に向かって、廊下を右に出て突き当たった所が風呂で、
「今は空いているのでどうぞ」と言い、
「それではごゆっくり」と、私の方をチラッて見て出ていった。
恵美子は、「ねえ、一緒にお風呂に入る?」と、訊いてきたが、
私が「いや・・・」と言うと笑って、「じゃあ、先に行ってくるわ」と、部屋を出て行った。
私はもう、どうしょうもないほど興奮していた。
何しろ女の人と一緒に居る事さえ初めてなのだ。
はたしてセックスが巧くできるかどうか、不安でもあった。
その時、私は一人の遊び仲間の言葉を思い出した。
彼は私より二つ年上で、すでにかなりの女性経験があった。
その彼が、初めての時は興奮し過ぎて、交接を果すなり、すぐに射精してしまったので、
初めて女とやる直前に、一回自分の手で抜いておいた方が良いとアドバイスしてくれたのだ。
私は恵美子が風呂に行っている間に、トイレに入り、ズボンからペニスを引っ張り出した。
ペニスは半勃起状態だったが、握るとすぐに完全勃起した。
私は眼を瞑って数回扱いてみたが、恵美子の裸も何も思い浮かべはしなかった。
そんな余裕は無かったし、女体を思い描かなくても萎える事はなかった。
和式便所だったので、発射しそうになると、大をする時の様に便器を跨いでしゃがみ、
なお擦りたてた。精液が便器の外に飛ばないよう注意したのだが、
しゃがんだのと殆ど同時に射精してしまった。
中学を卒業すると私は老舗の料亭に修行に出された。私は嫌だったが、
高校に行って勉強する気にもなれず、
「お願いだから、早く一人前の板前になって、この店を継いで欲しい」
と、母にさめざめと泣かれてしまっては、そうするしか他に方法はなかった。
しかし、その当時の私は、古い伝統としきたりと言う奴には、どうしも馴染めなかった。
明けても暮れても食器洗いばかりだし、先輩への口答えはいっさい許されなかった。
ある時、私は大根を洗わされていたのだが、洗う前には大根一本一本に、
洗わせて下さいと頭を下げろなどと言われた事があった。
それに耐えられなかった私は、遂に家へ逃げ戻ってしまったのだった。
母は呆れて、ガッカリしたようだが、別に私を怒ったりはしなかった。ところが今度は、
また別の店に私を頼み込んだのだが、私はまたしても逃げ帰ってしまった。
そんな風にして四軒の料亭を次々と黙ってやめてしまったら、
さすがに母も私を料理人にする夢は諦めたようであった。
私は別に何もすることがなくて、毎日をブラブラして過ごしていた。
母は心配そうに見守ってくれていたが、其の頃の私は何となく虚無的に生きていたせいか、
成るように成るさ、といった気持ちだった。
恵美子と出会ったのはそれから暫く経ってからだった。
彼女は私が良く行く喫茶店でウェイトレスをやっていたが、髪は黒く、目鼻だちの整った、
一目で混血のハーフと分かる美少女だった。私は一目惚れしてそれから毎日の様に
通いつめ、ついにデートに誘う事に成功した。
母から小遣いをせびり、恵美子が鎌倉の方を歩きたいと言うので古都の佇まいを
見て回り和食の店へ入って食事をした。
夕暮れが迫って来たので「そろそろ帰ろうか?」と私が言うと、
彼女は「疲れたから、少し休んでいきたい」と、
手を握ってきて、ブラウンの瞳でジッと私を見つめた。
私は急に胸がドキドキしてきて、うろたえてしまった。
私たちが手を握ったのは初めてのことだし、彼女の言っている意味が、
何となく分かるような気がしたからだった。だが、私はまだ女性とはキスの経験も無く、
もちろん童貞だった。
「どっか静かなとこ・・・」
私は心臓がパクパクしてきた。そして、ほとんどうわの空といった状態になって、頷いていた。
彼女が突然私の腕に両手を回し、ぶら下がるような格好ですがり付いてきた。
私たちはそのまま二十分ぐらい、ほとんど言葉も交わさず歩いて、
やっと一軒の連れ込み旅館を探し当てた。今考えると、とても汚い木造の旅館で、
中年の女性が一階の部屋に案内してくれたのだが、私は恥ずかしいので、
俯いて顔を合わせないようにしていた。
その女は恵美子に向かって、廊下を右に出て突き当たった所が風呂で、
「今は空いているのでどうぞ」と言い、
「それではごゆっくり」と、私の方をチラッて見て出ていった。
恵美子は、「ねえ、一緒にお風呂に入る?」と、訊いてきたが、
私が「いや・・・」と言うと笑って、「じゃあ、先に行ってくるわ」と、部屋を出て行った。
私はもう、どうしょうもないほど興奮していた。
何しろ女の人と一緒に居る事さえ初めてなのだ。
はたしてセックスが巧くできるかどうか、不安でもあった。
その時、私は一人の遊び仲間の言葉を思い出した。
彼は私より二つ年上で、すでにかなりの女性経験があった。
その彼が、初めての時は興奮し過ぎて、交接を果すなり、すぐに射精してしまったので、
初めて女とやる直前に、一回自分の手で抜いておいた方が良いとアドバイスしてくれたのだ。
私は恵美子が風呂に行っている間に、トイレに入り、ズボンからペニスを引っ張り出した。
ペニスは半勃起状態だったが、握るとすぐに完全勃起した。
私は眼を瞑って数回扱いてみたが、恵美子の裸も何も思い浮かべはしなかった。
そんな余裕は無かったし、女体を思い描かなくても萎える事はなかった。
和式便所だったので、発射しそうになると、大をする時の様に便器を跨いでしゃがみ、
なお擦りたてた。精液が便器の外に飛ばないよう注意したのだが、
しゃがんだのと殆ど同時に射精してしまった。
- 夫婦愛
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プロフィール
Author:アヤメ草
FC2ブログへようこそ!管理人の
アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。
私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。
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