色ごのみ。其の一
◇衝撃の初夜
今年71歳になる私は処女のまま最初の夫に嫁ぎました。
今時の娘さん達には信じられない事かも知れませんが、当時は処女で嫁に行くのが
当然であり、結婚するまでは純潔を守るのが女の嗜みだったのです。
私は布団の中で震えながら、夫をまっていました。
これから起こるだろうことに対する不安と羞恥に、身を竦む思いで一杯でした。
初夜という行為については、予め聞いて知っていました。母は私に春本を見せながら、
「いいかい。明日の晩は、花婿さんがおまえに、こういうことをするんだよ。
恐ろしいかもしれないが、初夜を済ませない事には本当の夫婦にはなれないんだ。
おまえは、ただジッとしていれば良いんだからね。
ぜんぶ、お婿さんに任せて、横になっていればいいんだよ。
そのうちに終わるから、心配しなくて良いんだよ」
こう諭したのでした。けれど、私の耳にはロクすっぽ母の言葉など入っていなかったのです。
(まあッ!何てイヤらしい・・・)
私はただただ春本に描かれているグロテスクな絵柄に見入ってしまいました。
そこには、巨大なキノコのような男性器と、ハマグリのような女性器の交わりが、
極彩色で描かれていたのです。
まったく、こんなことをしなくてはならないなんて、処女の私には穢らわしいばかりでした。
お嫁入りは嬉しいけど、夫婦の営みはいや・・・。
結婚式前夜にして初めて、私は結婚の意味を知ったのです。
式が無事済んで、初夜は新婚旅行先の熱海の旅館で迎える事になりました。
私は先に温泉に浸り、肉体の隅々をよく洗いました。
肉体の至る所を清めておかなければならない、と母に言い含められていたのです。
「おい、寝てしまったのか、君?」
やがて、真っ暗な部屋に風呂から揚がった夫が戻って来ました。
さあ、いよいよです。
「い、いいえ、起きてます」
私は、蚊の鳴くような声で答えました。夫が布団にもぐり込む気配がします。
(ああ、恥ずかしい!穴があったら入ってしまいたい・・・)
本当にそう思った私です。昔の処女とは、みんなこうしたものだったのでしょう。
「君、恐がらなくてもいいんだよ」
夫の手が、私の浴衣の紐にかかりましいた。私の心臓は、
いまにも破裂してしまうかと思うほど、激しく鼓動していました。
「ああ・・・ああ、あなた!雄造さん!」
何が何やら判らなくなって、私は必死に夫にしがみついていました。
夫は私の浴衣をはだけさせ、ズロースを引き下ろそうとしています。
もう、心臓も止まる思いでした。肉体の最も恥ずかしい部分に、
夫の手が伸びていきます。
「可愛い!可愛いよ、嘉代!」
夫がギュッと私を抱き締めました。血が逆流するように、
私の体内に滾っていきました。
処女を失うとは、女になるとは、夫婦になるとは、どんなものなのだろう。
きっと痛いに違いない。あんな狭い場所に、大きなモノが入って行くのだから・・・。
私の頭は、混乱を極めていました。夫のモノが大事な所にあてがわれたことに
気づかなかったほど緊張していました。
「あッあーッ・・・」
ハッと気づいたときには、夫はもう半ばほどまで侵入を果たしていたのです。
その痛かったことといったら、いままでに類をみないものでした。
何の前戯もない交合でした。いま思えば、
夫は余り女性を知らなかったにちがいありません。
「い、痛いわ!痛いんです、あなたア!」
前触れもなくいきなり挿入し、やみくもに動くばかりの夫でした。
これでは痛いだけで、何の感慨も湧きません。
「我慢しろ。もう少しすれば、よくなるよ。我慢だ、嘉代!」
夫はひとり快さそうに、律動を続けていました。
フンフンと鼻息も荒く、実に心地よさそうでした。
片や、私には苦痛だけが寄り添っていたのです。
どうして、こんなことが気持ちいいものですか。
ああ、もう死んでしまいたい・・・。男と女のことなんか大嫌い!
恨めしく思いつつも、母に言われたように人形さながら耐えていた私でした。
涙さえ浮かんでいました。苦痛は、どんどん増すばかりでした。
その一方、夫はますます気持ちよさそうに腰を動かしていました。
もうダメだ、気が遠くなる・・・。
そう思った矢先に、夫の動きが止んだのです。
「ううッ・・・うううッ、か嘉代・・・」
大きな声を放ったかと思うや否や、夫はぐったりと私に覆いかぶさってきたのです。
私は、ホッとしました。
夫が高鼾で寝入ってしまったあと、私はソッと股間の様子を探って見ました。
浴衣のお尻の辺りに、うっすらと血の染みがついていました。
それより驚いたのは、股間を汚している精液でした。
それは白く濁って、青臭い匂いを発していました。
(何だろう、これ・・・。気持ち悪いわ)
私はチリ紙で懸命に股間を擦り回しました。
それが精液であることを知ったのは、結婚してだいぶ経ってからのことだったのです。
今年71歳になる私は処女のまま最初の夫に嫁ぎました。
今時の娘さん達には信じられない事かも知れませんが、当時は処女で嫁に行くのが
当然であり、結婚するまでは純潔を守るのが女の嗜みだったのです。
私は布団の中で震えながら、夫をまっていました。
これから起こるだろうことに対する不安と羞恥に、身を竦む思いで一杯でした。
初夜という行為については、予め聞いて知っていました。母は私に春本を見せながら、
「いいかい。明日の晩は、花婿さんがおまえに、こういうことをするんだよ。
恐ろしいかもしれないが、初夜を済ませない事には本当の夫婦にはなれないんだ。
おまえは、ただジッとしていれば良いんだからね。
ぜんぶ、お婿さんに任せて、横になっていればいいんだよ。
そのうちに終わるから、心配しなくて良いんだよ」
こう諭したのでした。けれど、私の耳にはロクすっぽ母の言葉など入っていなかったのです。
(まあッ!何てイヤらしい・・・)
私はただただ春本に描かれているグロテスクな絵柄に見入ってしまいました。
そこには、巨大なキノコのような男性器と、ハマグリのような女性器の交わりが、
極彩色で描かれていたのです。
まったく、こんなことをしなくてはならないなんて、処女の私には穢らわしいばかりでした。
お嫁入りは嬉しいけど、夫婦の営みはいや・・・。
結婚式前夜にして初めて、私は結婚の意味を知ったのです。
式が無事済んで、初夜は新婚旅行先の熱海の旅館で迎える事になりました。
私は先に温泉に浸り、肉体の隅々をよく洗いました。
肉体の至る所を清めておかなければならない、と母に言い含められていたのです。
「おい、寝てしまったのか、君?」
やがて、真っ暗な部屋に風呂から揚がった夫が戻って来ました。
さあ、いよいよです。
「い、いいえ、起きてます」
私は、蚊の鳴くような声で答えました。夫が布団にもぐり込む気配がします。
(ああ、恥ずかしい!穴があったら入ってしまいたい・・・)
本当にそう思った私です。昔の処女とは、みんなこうしたものだったのでしょう。
「君、恐がらなくてもいいんだよ」
夫の手が、私の浴衣の紐にかかりましいた。私の心臓は、
いまにも破裂してしまうかと思うほど、激しく鼓動していました。
「ああ・・・ああ、あなた!雄造さん!」
何が何やら判らなくなって、私は必死に夫にしがみついていました。
夫は私の浴衣をはだけさせ、ズロースを引き下ろそうとしています。
もう、心臓も止まる思いでした。肉体の最も恥ずかしい部分に、
夫の手が伸びていきます。
「可愛い!可愛いよ、嘉代!」
夫がギュッと私を抱き締めました。血が逆流するように、
私の体内に滾っていきました。
処女を失うとは、女になるとは、夫婦になるとは、どんなものなのだろう。
きっと痛いに違いない。あんな狭い場所に、大きなモノが入って行くのだから・・・。
私の頭は、混乱を極めていました。夫のモノが大事な所にあてがわれたことに
気づかなかったほど緊張していました。
「あッあーッ・・・」
ハッと気づいたときには、夫はもう半ばほどまで侵入を果たしていたのです。
その痛かったことといったら、いままでに類をみないものでした。
何の前戯もない交合でした。いま思えば、
夫は余り女性を知らなかったにちがいありません。
「い、痛いわ!痛いんです、あなたア!」
前触れもなくいきなり挿入し、やみくもに動くばかりの夫でした。
これでは痛いだけで、何の感慨も湧きません。
「我慢しろ。もう少しすれば、よくなるよ。我慢だ、嘉代!」
夫はひとり快さそうに、律動を続けていました。
フンフンと鼻息も荒く、実に心地よさそうでした。
片や、私には苦痛だけが寄り添っていたのです。
どうして、こんなことが気持ちいいものですか。
ああ、もう死んでしまいたい・・・。男と女のことなんか大嫌い!
恨めしく思いつつも、母に言われたように人形さながら耐えていた私でした。
涙さえ浮かんでいました。苦痛は、どんどん増すばかりでした。
その一方、夫はますます気持ちよさそうに腰を動かしていました。
もうダメだ、気が遠くなる・・・。
そう思った矢先に、夫の動きが止んだのです。
「ううッ・・・うううッ、か嘉代・・・」
大きな声を放ったかと思うや否や、夫はぐったりと私に覆いかぶさってきたのです。
私は、ホッとしました。
夫が高鼾で寝入ってしまったあと、私はソッと股間の様子を探って見ました。
浴衣のお尻の辺りに、うっすらと血の染みがついていました。
それより驚いたのは、股間を汚している精液でした。
それは白く濁って、青臭い匂いを発していました。
(何だろう、これ・・・。気持ち悪いわ)
私はチリ紙で懸命に股間を擦り回しました。
それが精液であることを知ったのは、結婚してだいぶ経ってからのことだったのです。
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Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。
私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。
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