色ごのみ。其の四
◇淫乱にさせた男たち
一度、関係が出来てしまうとより燃え上がるのは女。と言う俗説は本当かもしれません。
その証拠にひがな一日、私の頭の中は小山のことで一杯だったのです。
毎日のように、恋文をしたためました。主人の目を盗んでは、
コソコソと小山との情事を楽しむ日々が続きました。
そのとき私はまるで初恋を知った少女のようでした。
思えば、初恋など経験しないままに嫁いだ私です。
三十路を迎えて知った身も心も蕩けるような恋に、
夢中にならなかった方が不思議というものでしょう。
私は、盲目でした。小山も、私と同じ気持ちを抱き続けていてくれている・・・。
そう信じて疑いもしなかったのです。
けれど、いつしか小山はのぼせ上がった私に嫌気がさし、
また恐ろしくもなっていたのでしょう。次第に、私を遠ざけるようになっていたのです。
そして、ついに私はある噂を耳に挟んだのです。
小山が同級生の女子学生と付き合っている。そんな噂を・・・。
たちまち、私は嫉妬の権化となりました。
私が恨みつらみを並べた手紙を出しますと早速、小山から返信がありました。
ーーその件に関しては、あなたもご存じてある友人の大場が詳しく説明致します。
つきましては×月〇日午後三時に、大場の下宿までおいで頂きたく・・・--
どうして自分で釈明してくれないのだろう、小山に対する恨みが一層募りました。
けれど、小山がそう言って来たなら仕方ありません。
指定の日時に、私は小山の友人である大場良雄(仮名)の下宿へ訪ねて行きました。
大場とは何度か面識もあり、小山ともたいそう親しくしていた人でしたので、
何となく安心感がありました。
「やあ、奥様、ご足労願って申し訳ありません」
大場は、本郷の下宿屋を住まいとしていました。其の時間は、他の下宿人たちは
居ないと言う事で、ゆっくり話が聞けそうでした。けれど・・・。
「イ、イヤッ!何なさるの、大場さん!」
部屋へ通されるや否や突然、大場が私に襲い掛かって来たのです。
思わぬ成り行きに、私はただ慌てふためくばかりでした。
「おとなしくして下さいよ。奥様。僕は、小山から奥様を譲り受けたのですから」
「な、何をおっしゃってるの!?」
大場の言葉が、にわかには信じられませんでした。あんなに愛し合った仲なのに、
友人に私を品物の様に譲り渡すなんて・・・
「簡単な事ですよ。小山は、あなたに飽きたんです。しつこすぎて、困っているらしい。
やっぱり、同世代の女の方が肌が合うとも言ってましたよ」
私を押し倒しながら、大場はバカにしたように笑いました。
「奥様、ご自分の立場をわきまえないといけませんね。
何しろ人妻なのですから、火遊びは程々にしないと・・・」
「ああっ、や。やめてっ・・・」
上着が脱がされ、下着も脱がされていきます。必死に抵抗してはみましたが、
余りのショックに肉体に力が入りません。
「まあ、これからは精々僕がお相手しますよ。僕、そっちの方には自信があるんです」
乳房を揉みしだかれるうち、徐々に肉体が萎えていきました。
短く、そして残酷な初恋の結末に私は打ちひしがれていたのです。
「奥様は虫も殺さないような顔をして、なかなか色ごのみだそうですね。
小山がこぼしてましたよ、奥様を満足させるのは大変だって・・・」
大場が何を言おうと、私はすでに反応を示さなくなっていました。
小山の心がはっきり判ったいま、もう全てがどうでも良い事の様におもわれたのです。
「しかし、奥様はいいカラダをしてますねえ。肌の白さといい、肉感的なところといい・・・、
確かに、徳永先生には勿体無いですよ」
大場の手が、私の肌と言う肌を撫で回していのした。しかし、私は何も感じませんでした。
煮て食われようが焼いて食われようがどうなっても構わない、捨て鉢の心境だったのです。
「ああ、たまらない、素晴らしい感触だ。吸い込まれてしまいそうだ・・・」
大場の指が、クチャクチャと私の下腹を弄んでいました。
そうされても何やら虫が這いずり回っている感じだけしかせず、一向に兆してはきません。
一方、大場はいよいよ昂った様子で、私の太腿を押し広げました。
ああ、私は犯されるんだわ・・・。
そう頭のどこかで判っては居るものの、何の感情も湧いてはきません。
「うッ、ううう・・・」
深く腰を突き入れると、大場は一人快さそうな呻きを漏らしました。
嫌らしく腰を回しながら、さかんに私に囁きかけます。
「どうですか、奥様、新しい男の味は?僕って悪くないでしよう?
小山より上手いでしょう?もっともっと快くしてあげますからね。ううう・・・」
緩急をつけ、大場はさまざまな形で私を責めつづけました。
けれど、私の肉体の奥底には冷たいような哀しみが沈んでおり、
情事に没頭できる状態ではありませんでした。
「ああっ、ああっ、いい!奥様の道具はすごい!男殺しだ。
僕、僕、あんまり保ちそうにありません・・・」
大場は、自分勝手によがりまくっていました。
ゼーゼーと鼻息を荒げながら、腰の速度をあげていきます。
「うっ、うおッ・・・ダ、ダメだ!出る、出しますよ、奥様!」
大場が果ててしまったあと、横たわった私の目尻からひと筋、光るものが流れ出ました。
一度、関係が出来てしまうとより燃え上がるのは女。と言う俗説は本当かもしれません。
その証拠にひがな一日、私の頭の中は小山のことで一杯だったのです。
毎日のように、恋文をしたためました。主人の目を盗んでは、
コソコソと小山との情事を楽しむ日々が続きました。
そのとき私はまるで初恋を知った少女のようでした。
思えば、初恋など経験しないままに嫁いだ私です。
三十路を迎えて知った身も心も蕩けるような恋に、
夢中にならなかった方が不思議というものでしょう。
私は、盲目でした。小山も、私と同じ気持ちを抱き続けていてくれている・・・。
そう信じて疑いもしなかったのです。
けれど、いつしか小山はのぼせ上がった私に嫌気がさし、
また恐ろしくもなっていたのでしょう。次第に、私を遠ざけるようになっていたのです。
そして、ついに私はある噂を耳に挟んだのです。
小山が同級生の女子学生と付き合っている。そんな噂を・・・。
たちまち、私は嫉妬の権化となりました。
私が恨みつらみを並べた手紙を出しますと早速、小山から返信がありました。
ーーその件に関しては、あなたもご存じてある友人の大場が詳しく説明致します。
つきましては×月〇日午後三時に、大場の下宿までおいで頂きたく・・・--
どうして自分で釈明してくれないのだろう、小山に対する恨みが一層募りました。
けれど、小山がそう言って来たなら仕方ありません。
指定の日時に、私は小山の友人である大場良雄(仮名)の下宿へ訪ねて行きました。
大場とは何度か面識もあり、小山ともたいそう親しくしていた人でしたので、
何となく安心感がありました。
「やあ、奥様、ご足労願って申し訳ありません」
大場は、本郷の下宿屋を住まいとしていました。其の時間は、他の下宿人たちは
居ないと言う事で、ゆっくり話が聞けそうでした。けれど・・・。
「イ、イヤッ!何なさるの、大場さん!」
部屋へ通されるや否や突然、大場が私に襲い掛かって来たのです。
思わぬ成り行きに、私はただ慌てふためくばかりでした。
「おとなしくして下さいよ。奥様。僕は、小山から奥様を譲り受けたのですから」
「な、何をおっしゃってるの!?」
大場の言葉が、にわかには信じられませんでした。あんなに愛し合った仲なのに、
友人に私を品物の様に譲り渡すなんて・・・
「簡単な事ですよ。小山は、あなたに飽きたんです。しつこすぎて、困っているらしい。
やっぱり、同世代の女の方が肌が合うとも言ってましたよ」
私を押し倒しながら、大場はバカにしたように笑いました。
「奥様、ご自分の立場をわきまえないといけませんね。
何しろ人妻なのですから、火遊びは程々にしないと・・・」
「ああっ、や。やめてっ・・・」
上着が脱がされ、下着も脱がされていきます。必死に抵抗してはみましたが、
余りのショックに肉体に力が入りません。
「まあ、これからは精々僕がお相手しますよ。僕、そっちの方には自信があるんです」
乳房を揉みしだかれるうち、徐々に肉体が萎えていきました。
短く、そして残酷な初恋の結末に私は打ちひしがれていたのです。
「奥様は虫も殺さないような顔をして、なかなか色ごのみだそうですね。
小山がこぼしてましたよ、奥様を満足させるのは大変だって・・・」
大場が何を言おうと、私はすでに反応を示さなくなっていました。
小山の心がはっきり判ったいま、もう全てがどうでも良い事の様におもわれたのです。
「しかし、奥様はいいカラダをしてますねえ。肌の白さといい、肉感的なところといい・・・、
確かに、徳永先生には勿体無いですよ」
大場の手が、私の肌と言う肌を撫で回していのした。しかし、私は何も感じませんでした。
煮て食われようが焼いて食われようがどうなっても構わない、捨て鉢の心境だったのです。
「ああ、たまらない、素晴らしい感触だ。吸い込まれてしまいそうだ・・・」
大場の指が、クチャクチャと私の下腹を弄んでいました。
そうされても何やら虫が這いずり回っている感じだけしかせず、一向に兆してはきません。
一方、大場はいよいよ昂った様子で、私の太腿を押し広げました。
ああ、私は犯されるんだわ・・・。
そう頭のどこかで判っては居るものの、何の感情も湧いてはきません。
「うッ、ううう・・・」
深く腰を突き入れると、大場は一人快さそうな呻きを漏らしました。
嫌らしく腰を回しながら、さかんに私に囁きかけます。
「どうですか、奥様、新しい男の味は?僕って悪くないでしよう?
小山より上手いでしょう?もっともっと快くしてあげますからね。ううう・・・」
緩急をつけ、大場はさまざまな形で私を責めつづけました。
けれど、私の肉体の奥底には冷たいような哀しみが沈んでおり、
情事に没頭できる状態ではありませんでした。
「ああっ、ああっ、いい!奥様の道具はすごい!男殺しだ。
僕、僕、あんまり保ちそうにありません・・・」
大場は、自分勝手によがりまくっていました。
ゼーゼーと鼻息を荒げながら、腰の速度をあげていきます。
「うっ、うおッ・・・ダ、ダメだ!出る、出しますよ、奥様!」
大場が果ててしまったあと、横たわった私の目尻からひと筋、光るものが流れ出ました。
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プロフィール
Author:アヤメ草
FC2ブログへようこそ!管理人の
アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。
私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。
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