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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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色ごのみ。其の七

◇暗闇の中の光明
色好み7-1
男に肉体を金で提供した後の私は、さながら蜘蛛の糸に絡め取られた羽虫も同然でした。
売春の持つ不思議な魔力に、身も心もどっぷりと浸かってしまったのです。
フランス映画に『昼顔』と言うのがありましたが、私はあのヒロインを地で行き始めたのです。
夜は家庭で貞淑そのものの妻を演じ、昼は肉体を切り売りする街の女へと変身しました。

私はそんな二面性を呪いつつも、吸い寄せられるようにして街をうろつき、
客を取り続けて来たのでした。けれど、やはり悪い事は出来ないものです。

ある昼下がりの事、私は何時ものように濃い化粧をして街をブラついていました。
と、ほどなく一人の中年男性が私に声を掛けてきたのです。
「君、五千円でどうだね?」
「一時間ならいいわよ」

直ぐに商談が成立し、私と中年男は近くの旅館へと場所を決めました。
部屋に入ると、その中年男はやけにジロジロと私を見つめていたのです。
「ふーむ、君はどこかで・・・」
咄嗟に私はイヤな予感に襲われました。
いつも、顔見知りに当たりはしないかと、そればかり恐れていた私です。

「そんな、気、きのせいでしょ、お客さん。それより早くはじめましょうよ」
顔を俯け、洋服を脱ぎはじめましたが、中年男はついに私の正体を見破ったのです。

「そうだ!君は確か、T大の徳永先生の奥さんじゃないか!」
「ち、ちがいます!人ちがいですわ!」
「いいや!あんな美女は、ざらには居ないよ。しかし、驚いたねぇ・・・」
「私、帰ります。お金も、お返ししますわ」
「待って下さいよ、奥さん!僕の事をお忘れですか?僕ですよ、川西です。
 以前、T大で講師をしてました。そのとき一度、お会いしていますよ」

万事、休すでした。よくよく見ると、なるほど以前に会ったことのある顔です。
「お、お願い、離して!このことは、このことはどうか内密に!」
「判ってますよ。だから、一発やらせて下さい。僕、奥さんみたいな女性が好みなんだ。
 貴女のような美人を、一回でいいから抱いてみたいと思ったんですよ」
アッと言う間に、私は川西に押し倒されていました。
いずれにせよ、ここは彼に身を任せるしかありません。
 
色好み7-2
(ああ、夫を知っている人に当たってしまうなんて・・・)
もう終わりだ。川西は、きっとこの事を喋ってしまうに違いない。
T大の助教授夫人が、売春婦の真似事をしている・・・。
こんな面白い話題を人に洩らさないはずはありません。

「ああ、夢みたいだ。奥さんを抱けるなんて・・・いい匂いだ!」
川西は、私の乳房といわず下腹といわずあらゆる所に頬擦りして、匂いを嗅ぎまくりました。
「素晴らしい!しかし、どうしてこんな事をしているんですか?貴女ほどの女性が・・・」
「言わないで、言わないでェ・・・」

少し前まで気が動転していたはずなのに、川西に愛撫されるや否や浅ましく
感じはじめていた私でした。本当に、私という女はどこまで堕落してしまったのでしょう。
「そんなことより、して!私を苛めてェ!」
私は、救いを求めるように川西にむしゃぶりついていきました。
肉体が火照って、どうにもなりません。

「驚いたな。奥さんが、こんなに激しい女だったなんて信じられない!」
「ああああっ・・・私って、私って悪い女なの!夫を裏切って、
 アレが大好きで・・・もともと娼婦になる運命の女だったのよ!」
誰に言うともなく告白しながら、私は川西の肩に爪を立てていました。
赤裸々に自らの淫らさを告白することによって、私はさらなる快美を貪ることが出来るのです。

「早くゥ!早く、あなたの大きな物で犯して!・・・」
「おお、いいとも!願ったり叶ったりだ!」
叫ぶより早く、川西は私を串刺しに抉っていました。
川西と私の粘膜は一分の隙もないほど密着し、抜き差しするたびに
ピチャピチャとイヤらしい音が響き渡ります。

「素敵ッ!何ていいの!もう私、狂ってしまいそう!」
その実、私はもう狂っていたに違いありません。肉の歓びに魂を奪われ、
すっかり自分という物をなくしていたのです。
「奥さんのもいいよ、素晴らしい名器だ!巾着ボボだ」
私と川西は、やがて、絶頂の世界へ共に旅立ったのです。
色好み7-3
イヤな予感は、やはり的中しました。川西と遭ってまもなく、私の悪行はすべて
夫の知るところとなったのです。その結果、当然の如く私は離縁されました。
夫とも子供とも離れ、実家にも見放された私は、本職の娼婦へと転落せざるを得ませんでした。
それを本業とするようになると、不思議な物で売春に対する面白味が段々に薄れていったのです。
普通の主婦に戻りたい、もう、こんな事は止めにしよう。と毎日涙の日々でした。
そんな折に、私は現在の夫、柴田治夫(69歳)と出会ったのです。
もちろん、娼婦の客として・・・。

私は夫と別れて東京を去りました。顔見知りに遭うのが怖かったのです。
私は横浜でタチンボをしておりました。偶々通りかかったライトバンが信号待ちで停車したのです。
私は小走りに走りよりドアを叩くと柴田は何事かとガラス戸を下げて話を聴いてくれました。
「お兄さん、今晩私と遊ばない。泊まりでも良いわよ、安くして置くからさぁ」
柴田は怪訝な顔をしましたが、直ぐに笑顔で、
「今日は随分と綺麗なお姉さんと出会ったもんだ、良いから乗りな」
とドアロックを外して呉れました。

「泊まりと言っても、ここら辺りは薄汚い連れ込み旅館ばかりだ、
 海の見えるラブホテルまで行かないか?時間はタップリ有るし・・・」
「良いわね、でも前金で貰えるかしら・・・三万円なんだけど・・・」
「良いよ、お姉さんみたいな美人がお相手なら三万円は高くないな」
未だ幼さの残った若者にしては随分金回りが良いな、と思いました。

国道一号線を下って茅ヶ崎まで行こうと言うことに成りました。
彼は一時間ほどの間に色々な事を話してくれました。歳は私より二つ下の29歳だと言いました。
青森からの集団就職組みで大田区の電気部品の工場で働きながら、定時制の高校に通い
卒業後は、大学の夜間で学んだそうです。途中二年程留年して25歳で大学を卒業したの
だそうです。

先年青森の父親が亡くなり、遺産相続で得たお金は全て貯金しているそうで、
家の一軒ぐらいは今にでも建てられるそうだとか。大学を卒業したのを機に独立して
今は自宅(借家)兼作業場で図面を書いたり、制御盤の組み立てをしたりで、
何時も忙しく働いて居るそうです。

如何にも地方出身者らしく真面目で努力家の彼に好感を持ちました。
今までに出会った男達とは何処か違うほのぼのとした暖かさを感じる人でした。
  1. 夫婦の今と昔
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Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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