忘れ得ぬ二人の女。其の三
◇素晴らしき肌
珍しく澄子は酔った。最初にデートした、渋谷のトリスバーだった。
井の頭線下北沢に住む彼女と、東横線祐天寺に自宅がある私は、
勤め帰りに便利なそのバーで飲む事が多かった。
その夜の澄子は何か不機嫌だった。
私や、気心知れたバーテンとの会話も少なく、飲むピッチも早かった。
十時頃、澄子の門限前だが、冗談を交わしていたバーテンが隣の澄子に
顎をしゃくり、首を横に振った。
「変だね、できあがっちゃったよ・・・」
澄子はカウンターに顔を突っ伏していた。確かに変だ。何時もと違う。
私は帰る事にした。酔った澄子を止まり木から下ろし、
抱き支えながらバーの扉を押して、トロリーバスの大通りに出た。
右側は明るく東横デパート、都電のターミナル。左は宮下公園の夜の闇。
抱き支え、密着しているのは、初めて知った澄子のムッチリと温かい柔肌。
私は彼女のふらつく身体を闇に誘った。
「ベンチで、少し休もう・・・」酔眼を覗き込むと、澄子はウンと頷いた。
ベンチに座らせると、澄子の重い身体が、私にもたれ掛かってきた。
街灯の明かりに白い顔。薄手のセーターを盛り上げた、円い胸も大きく波打っている。
私は堪らず、澄子の顔を片手で仰向かせてしまった。
澄子は一度開いた眼を閉じた。赤い唇がキスを誘ってわなないた。唇を重ねた。
澄子は苦しげに喘ぎ、早くも舌をうねらせて、私にしがみついてくる。
赤い口紅は妙に甘ったるく、絡み合う舌にまでその味を移していて、
私を恐ろしく興奮させた。
セーターの乳房に掌を当てた。ムワッと弾む柔らかい膨らみ。興奮は頂点に達した。
乳房を揉まれる澄子も同じなのか、両腕に力を込めて私にしがみついてくる。
狂おしく舌をうねらせ、紅の甘さを私の官能に塗り付けてくる。
勃っていた。私のペニスは痛いほど、ズボンの内で勃起していた。
「澄ちゃんが、欲しいよ・・・」
囁いた私の口の周りは多分、彼女の口紅で真っ赤に染まっていたろう。
その紅が剥げた澄子の唇は、街灯の明かりを受けて艶やかに濡れ光っていた。
連れ込み旅館の値段は、泊まりで四百円。休憩二百円。
下北沢までの電車賃が十円。タクシーなら初乗り料金が六十円だから、
家まで彼女を送れば、凡そ四、五百円はかかるだろう。
泊まってくれよと、と願いながら私は旅館の女中に四百円渡した。
ついでに二十円、コンドームを二つ、手に入れた。
酔いがまだ醒めぬのか、部屋の隅で私に背を向けた澄子は大胆だった。
服は勿論、下着も全て自ら脱ぎ、着替えた宿の浴衣の帯も締めずに、
放埒な姿で夜具に仰向いたのである。
双丘は思ったほど大きくは無かったが、脂光りの肌の艶、厚みのある肉付き。
グラマーな外見通りの裸身だった。
そのくせ、恥毛の茂みはほんの少し。恥丘に刻まれた肉の割れ目も、
紅で化粧したように小さな恥唇も隠せなかった。
その可愛い陰唇を、私は情欲を隠さず弄った。
澄子は乳房に吸い付いた私の頭を抱き締めて、
子供の様に怯えた泣き声を漏らし続け、腰を振るでもなく、
ただただ、不様に股間を広げていただけだった。
それでも陰唇は蜜に濡れた。私は怒張したペニスの亀頭を澄子に押し当てた。
澄子は肌を強ばらせ、顔を両手で覆って息を詰め、裸身をガタガタ震わせ始めた。
ペニスを押し込んだ。同時に肌を重ねて、私は震える澄子を抱き締めた。
澄子の手が顔を離れ、身体の両脇に投げ出された。私は更に深く結合した。
彼女の膣は熱く、私の耳元で喘ぐ息も熱かった。なのに、何故か肌は無反応。
私に突き上げられて、顔や身体を揺らすだけだった。
しかし、澄子の肌の弾力は最高だった。何処もかしこも瑞々しく、
私は未知の異国の女性とセックスしている気分に成った。
実際、後年にフランスで娼婦と交わった時に、そのアルジェリア女性の肌の弾力に、
すぐ澄子の裸身を思い出したものだ。その娼婦の膣も、澄子と初体験した時の様に、
広く緩かったせいもあったのだが・・・。
そう、澄子の膣道も緩かった。情熱的な容姿に相応しく、
その胎内は燃えるように熱いのに、緩かった。
初めて彼女の声が漏れたのは、私が射精の快感にペニスを脈打たせ、
呻きながら腰を震わせた時だった。
ああ、と低い声を漏らした澄子は、微かに肌を振るわせた。
私が顔を覗き込むと、うっすらと眼を開いた。瞳が潤んで光っている。
泣いている訳ではない。微かに笑みを浮かべたのだ。
「ごめんね、つまんなかった・・・?」
私は慌てて首を振った。澄子は自分の肉体の鈍感さを知っていたのだ。
「俺も、経験不足だから・・・」
「そうね、仕方ないのよね・・・まだ私たち、本当の大人じゃないんだから・・・」
澄子が腰をそっと引いた。ペニスがスルリと抜けて、私は彼女の横に添い寝した。
萎えたペニスのコンドームを抜きながら、「泊まれる?」産毛が光る頬に囁いた。
うん、天井を眺めていた澄子が頷いた。何となく、寂しそうな横顔だ、
と思いながら、私は掛け布団を引き上げた。
珍しく澄子は酔った。最初にデートした、渋谷のトリスバーだった。
井の頭線下北沢に住む彼女と、東横線祐天寺に自宅がある私は、
勤め帰りに便利なそのバーで飲む事が多かった。
その夜の澄子は何か不機嫌だった。
私や、気心知れたバーテンとの会話も少なく、飲むピッチも早かった。
十時頃、澄子の門限前だが、冗談を交わしていたバーテンが隣の澄子に
顎をしゃくり、首を横に振った。
「変だね、できあがっちゃったよ・・・」
澄子はカウンターに顔を突っ伏していた。確かに変だ。何時もと違う。
私は帰る事にした。酔った澄子を止まり木から下ろし、
抱き支えながらバーの扉を押して、トロリーバスの大通りに出た。
右側は明るく東横デパート、都電のターミナル。左は宮下公園の夜の闇。
抱き支え、密着しているのは、初めて知った澄子のムッチリと温かい柔肌。
私は彼女のふらつく身体を闇に誘った。
「ベンチで、少し休もう・・・」酔眼を覗き込むと、澄子はウンと頷いた。
ベンチに座らせると、澄子の重い身体が、私にもたれ掛かってきた。
街灯の明かりに白い顔。薄手のセーターを盛り上げた、円い胸も大きく波打っている。
私は堪らず、澄子の顔を片手で仰向かせてしまった。
澄子は一度開いた眼を閉じた。赤い唇がキスを誘ってわなないた。唇を重ねた。
澄子は苦しげに喘ぎ、早くも舌をうねらせて、私にしがみついてくる。
赤い口紅は妙に甘ったるく、絡み合う舌にまでその味を移していて、
私を恐ろしく興奮させた。
セーターの乳房に掌を当てた。ムワッと弾む柔らかい膨らみ。興奮は頂点に達した。
乳房を揉まれる澄子も同じなのか、両腕に力を込めて私にしがみついてくる。
狂おしく舌をうねらせ、紅の甘さを私の官能に塗り付けてくる。
勃っていた。私のペニスは痛いほど、ズボンの内で勃起していた。
「澄ちゃんが、欲しいよ・・・」
囁いた私の口の周りは多分、彼女の口紅で真っ赤に染まっていたろう。
その紅が剥げた澄子の唇は、街灯の明かりを受けて艶やかに濡れ光っていた。
連れ込み旅館の値段は、泊まりで四百円。休憩二百円。
下北沢までの電車賃が十円。タクシーなら初乗り料金が六十円だから、
家まで彼女を送れば、凡そ四、五百円はかかるだろう。
泊まってくれよと、と願いながら私は旅館の女中に四百円渡した。
ついでに二十円、コンドームを二つ、手に入れた。
酔いがまだ醒めぬのか、部屋の隅で私に背を向けた澄子は大胆だった。
服は勿論、下着も全て自ら脱ぎ、着替えた宿の浴衣の帯も締めずに、
放埒な姿で夜具に仰向いたのである。
双丘は思ったほど大きくは無かったが、脂光りの肌の艶、厚みのある肉付き。
グラマーな外見通りの裸身だった。
そのくせ、恥毛の茂みはほんの少し。恥丘に刻まれた肉の割れ目も、
紅で化粧したように小さな恥唇も隠せなかった。
その可愛い陰唇を、私は情欲を隠さず弄った。
澄子は乳房に吸い付いた私の頭を抱き締めて、
子供の様に怯えた泣き声を漏らし続け、腰を振るでもなく、
ただただ、不様に股間を広げていただけだった。
それでも陰唇は蜜に濡れた。私は怒張したペニスの亀頭を澄子に押し当てた。
澄子は肌を強ばらせ、顔を両手で覆って息を詰め、裸身をガタガタ震わせ始めた。
ペニスを押し込んだ。同時に肌を重ねて、私は震える澄子を抱き締めた。
澄子の手が顔を離れ、身体の両脇に投げ出された。私は更に深く結合した。
彼女の膣は熱く、私の耳元で喘ぐ息も熱かった。なのに、何故か肌は無反応。
私に突き上げられて、顔や身体を揺らすだけだった。
しかし、澄子の肌の弾力は最高だった。何処もかしこも瑞々しく、
私は未知の異国の女性とセックスしている気分に成った。
実際、後年にフランスで娼婦と交わった時に、そのアルジェリア女性の肌の弾力に、
すぐ澄子の裸身を思い出したものだ。その娼婦の膣も、澄子と初体験した時の様に、
広く緩かったせいもあったのだが・・・。
そう、澄子の膣道も緩かった。情熱的な容姿に相応しく、
その胎内は燃えるように熱いのに、緩かった。
初めて彼女の声が漏れたのは、私が射精の快感にペニスを脈打たせ、
呻きながら腰を震わせた時だった。
ああ、と低い声を漏らした澄子は、微かに肌を振るわせた。
私が顔を覗き込むと、うっすらと眼を開いた。瞳が潤んで光っている。
泣いている訳ではない。微かに笑みを浮かべたのだ。
「ごめんね、つまんなかった・・・?」
私は慌てて首を振った。澄子は自分の肉体の鈍感さを知っていたのだ。
「俺も、経験不足だから・・・」
「そうね、仕方ないのよね・・・まだ私たち、本当の大人じゃないんだから・・・」
澄子が腰をそっと引いた。ペニスがスルリと抜けて、私は彼女の横に添い寝した。
萎えたペニスのコンドームを抜きながら、「泊まれる?」産毛が光る頬に囁いた。
うん、天井を眺めていた澄子が頷いた。何となく、寂しそうな横顔だ、
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プロフィール
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。
私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。
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