デキちゃつた家出婚。其の一
~夜這いの風習が残りし頃~
昭和37年首都東京はオリンピックを目前に控えた建設ブームとか。
しかし私達の住む青森の街は戦前と全く変わらぬ姿を其の侭残していた。
当時私は、まだ19歳になったばかりで、父親と一緒に林業をしていた。
一度山に入れば、小屋に寝泊りして木を切る仕事が何日も続く。
遊びたい盛りの若い男にとって女っ気のない生活は単調で苛酷だった。
山奥での生活から抜け出して都会へ行きたいと、何時も私は思っていた。
都会へ出て何をしたいと言う訳でもなく、熱病のような憧れだけであった。
父は私が山仕事に嫌気がさしているのを見抜いていたようだ。
そこで、嫁でも待たせれば少しは落ち着くかも知れない、と考えたのか、
突然、一人の女を家に連れて来たのである。
「これから祝言を上げる」
今でこそ馬鹿げた話だが、当時の田舎では父親が選んだ顔も知らない女と、
会った其の日に結婚する事は、少しも不思議なことではなかった。
むしろ恋愛で結婚する方が、ずっと少なかったのである。
「冗談でしょ」
恐らく今の若者なら、そう言って一笑にふすだろう。
しかし、当時の父親の威厳は山よりも高く、海よりも深いものだった。
戦後教育の荒廃が、だらしない父親像を作り出したと言う心算はない。
父が良かれと思って連れて来た女を、断れるほど私に度胸が無かったのも事実である。
そして、私は父に内緒で交際していた女が居た事も告白できずに、
少しばかりの金を持って、その夜のうちに家を出たのであった。
私は恋人の和代の家に行った。和代の家は町でも有数の資産家で、
広大な屋敷の中にどっしりとした瓦葺き屋根の家を構えていた。
もう家人は全て眠ってしまったのか、灯り一つ漏れていない。
私は何度も情を交わした、和代の部屋に忍び寄った。
雨戸をソッと押し開き、縁側に上がった。一番西端の部屋が、和代の部屋である。
息を殺しながら障子に近付いて「和代」と、小さな声で名前を呼ぶ。
すると、何度目かでようやく気づいたのか「入って」と小さな声が返ってきた。
深夜の訪問でうろたえている和代に、私は家出した事情を話し、
一緒に逃げて欲しいと嘆願した。しかし、行く先も勝算もない乱暴な逃避行に、
育ちの良い和代が同意する訳がなかった。
和代は落ち着いたら必ず会いに行くと約束し、泣きながら身を捩るようにして、
私の体に抱き付いて来たのである。
一度別れたら、二度と会えないかも知れない・・・
そんな思いが私たちの情熱を激しく掻きたてた。布団の中で抱き合ったまま、
キスをむさぼった。すぐに和代の体に火が付いたようだ。
浴衣を着た体が熱くなり、ゆったりとくねり始めた。
和代は私の太腿に、ムッチリとした内腿を擦り寄せてきた。
私は浴衣の胸元に手を入れて柔らかな乳房を愛撫しながら、
浴衣の裾を割った。サラリとした陰毛が、指先に絡みついてくる。
それを掻き分けて、クリトリスを軽く転がした。
和代の体はピクピクッと震えた。
シーツの端を掴んで、必死に快感を押し殺そうとしていた。
襖一枚隔てた部屋に眠っている、両親に気づかれない様にと、
喘ぎ声や体動にも神経を使う。
しかし、それはそれで、意地悪いほどの快感を運んでくるようだ。
もしかしたら、両親に気づかれるかも知れないと言う危機感と快感は、
表裏をなし増幅されるのかも知れない。
「ねえ、これ以上は許して・・・」和代は耳朶に唇を近づけて、囁いた。
快感に声が出そうになるのを、恐れているのである。
自ら腰を引いて、私の指から逃れると、そのかわりに私のズボンのベルトを外し、
その中に手をオズオズと滑り込ませてきた。
私は和代にペニスを握らせたまま、パンツとズボンを同時に脱いだ。
そして、何時でも逃げ出せるように、脱いだものを枕元に置いた。
夜這いの風習が、まだ残っている時代である。
その方法は青年団で代々語り継がれ、私も和代の家に忍び込んだ時には、
必ず実行していた遣り方だった。
ペニスは和代の手の中で、ドクンドクンと激しく脈打っていた。
それを和代は大切なモノを扱うかのように恐る恐る弄り始めた。
昭和37年首都東京はオリンピックを目前に控えた建設ブームとか。
しかし私達の住む青森の街は戦前と全く変わらぬ姿を其の侭残していた。
当時私は、まだ19歳になったばかりで、父親と一緒に林業をしていた。
一度山に入れば、小屋に寝泊りして木を切る仕事が何日も続く。
遊びたい盛りの若い男にとって女っ気のない生活は単調で苛酷だった。
山奥での生活から抜け出して都会へ行きたいと、何時も私は思っていた。
都会へ出て何をしたいと言う訳でもなく、熱病のような憧れだけであった。
父は私が山仕事に嫌気がさしているのを見抜いていたようだ。
そこで、嫁でも待たせれば少しは落ち着くかも知れない、と考えたのか、
突然、一人の女を家に連れて来たのである。
「これから祝言を上げる」
今でこそ馬鹿げた話だが、当時の田舎では父親が選んだ顔も知らない女と、
会った其の日に結婚する事は、少しも不思議なことではなかった。
むしろ恋愛で結婚する方が、ずっと少なかったのである。
「冗談でしょ」
恐らく今の若者なら、そう言って一笑にふすだろう。
しかし、当時の父親の威厳は山よりも高く、海よりも深いものだった。
戦後教育の荒廃が、だらしない父親像を作り出したと言う心算はない。
父が良かれと思って連れて来た女を、断れるほど私に度胸が無かったのも事実である。
そして、私は父に内緒で交際していた女が居た事も告白できずに、
少しばかりの金を持って、その夜のうちに家を出たのであった。
私は恋人の和代の家に行った。和代の家は町でも有数の資産家で、
広大な屋敷の中にどっしりとした瓦葺き屋根の家を構えていた。
もう家人は全て眠ってしまったのか、灯り一つ漏れていない。
私は何度も情を交わした、和代の部屋に忍び寄った。
雨戸をソッと押し開き、縁側に上がった。一番西端の部屋が、和代の部屋である。
息を殺しながら障子に近付いて「和代」と、小さな声で名前を呼ぶ。
すると、何度目かでようやく気づいたのか「入って」と小さな声が返ってきた。
深夜の訪問でうろたえている和代に、私は家出した事情を話し、
一緒に逃げて欲しいと嘆願した。しかし、行く先も勝算もない乱暴な逃避行に、
育ちの良い和代が同意する訳がなかった。
和代は落ち着いたら必ず会いに行くと約束し、泣きながら身を捩るようにして、
私の体に抱き付いて来たのである。
一度別れたら、二度と会えないかも知れない・・・
そんな思いが私たちの情熱を激しく掻きたてた。布団の中で抱き合ったまま、
キスをむさぼった。すぐに和代の体に火が付いたようだ。
浴衣を着た体が熱くなり、ゆったりとくねり始めた。
和代は私の太腿に、ムッチリとした内腿を擦り寄せてきた。
私は浴衣の胸元に手を入れて柔らかな乳房を愛撫しながら、
浴衣の裾を割った。サラリとした陰毛が、指先に絡みついてくる。
それを掻き分けて、クリトリスを軽く転がした。
和代の体はピクピクッと震えた。
シーツの端を掴んで、必死に快感を押し殺そうとしていた。
襖一枚隔てた部屋に眠っている、両親に気づかれない様にと、
喘ぎ声や体動にも神経を使う。
しかし、それはそれで、意地悪いほどの快感を運んでくるようだ。
もしかしたら、両親に気づかれるかも知れないと言う危機感と快感は、
表裏をなし増幅されるのかも知れない。
「ねえ、これ以上は許して・・・」和代は耳朶に唇を近づけて、囁いた。
快感に声が出そうになるのを、恐れているのである。
自ら腰を引いて、私の指から逃れると、そのかわりに私のズボンのベルトを外し、
その中に手をオズオズと滑り込ませてきた。
私は和代にペニスを握らせたまま、パンツとズボンを同時に脱いだ。
そして、何時でも逃げ出せるように、脱いだものを枕元に置いた。
夜這いの風習が、まだ残っている時代である。
その方法は青年団で代々語り継がれ、私も和代の家に忍び込んだ時には、
必ず実行していた遣り方だった。
ペニスは和代の手の中で、ドクンドクンと激しく脈打っていた。
それを和代は大切なモノを扱うかのように恐る恐る弄り始めた。
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プロフィール
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。
私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。
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