PV UU 現在の閲覧者数: /にほんブログ村 小説ブログ ロマンス小説へ
2ntブログ

異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

  1. スポンサー広告
  2. [ edit ]

デキちゃつた家出婚。其の三

~赤ちゃんがデキた~
デキちゃった05
その頃和代の身には大変な事が起きていた。私の子供を身篭ったのである。
当時、未婚の女が妊娠でもすれば、周囲の者からどれだけ白眼視されたか分からない。
まして資産家の娘がそうなれば、やっかみ半分で村八分にもされかねなかった。

生理が止まって妊娠を予感した時の、和代の心中は想像に余りある。
実際、後で知った事だが、病院に行って妊娠を確かめる事も出来ず、
まして人に相談する事も出来ず、自殺まで考えるほど思い悩んだそうだ。

しかし、和代の思いとは裏腹に妊娠は肉体的な特徴となって体に現われ始めた。
全体的に体が丸味を帯び、徐々にお腹がせり出してきた。そして肩で呼吸をする
ようになって、その事を初めて母親に指摘され家中が大騒ぎに成ったのだと言う。

父親は和代を烈火のごとく叱り付け、相手の名前を聞き出そうとした。
しかし、和代はガンとして口を割らなかったそうだ。
あの大人しい和代の何処に、そんな強い芯があったのか・・・
恐らくは体の中にもう一つの生命を得た事で、揺るぎない自信を持ったのだろう。
まさに、腹をくくった母は強しである。

和代が私を訪ねて函館に来たのは、それから間もなくの事だった。
和代のお腹を一目見た時の驚きと感動は、今でもはっきりと覚えている。

私は居間で昼寝をしていた老夫婦の所に駆け込み、和代と一緒に住めるように
事情を話した。すると老夫婦は、私と和代の顔を交互に見比べながら、

「オラたちにあんたら二人を反対する理由は、なーんも無ェ。
 そのかわり親御さんには落ち着いたら、必ず知らせておきなよ。
 親ってもんはいつでも子供のことを心配してるもんだから。
 まァ、じきにお前さんたちも人の親になるんだ。分からんでもないっしょ」

と、人の好い笑顔で、これまで通り部屋を使うことを許して呉れたのである。
その夜、私たちは老夫婦を交えて、和代のささやかな歓迎会を開いた。

実質的な私と和代の結婚式でもある。老夫婦が親代わりでもあり仲人代わりでもある。
結婚指輪も無く、列席者もいない真似事でも、私はこれ以上ない幸せを、
心の芯まで噛み締めていた。
 
デキちゃった06
宴が終わった後、私達は自分の部屋に引き上げた。老夫婦が風呂を使い終るのを
待って、和代を風呂に誘った。すると、和代は恥ずかしいのか、それともお腹が目立ち
始めたのを気にしているのか、恐らくその両方なのだろうが、
いくら誘っても其れを頑なに拒んだ。

仕方なく私は一人で先に五右衛門風呂に入った。体を流しながらも、和代の裸体が
目にチラついていた。もっとも、何時もは暗がりの中でばかり交接していたから、
まじまじと裸体を見た事が無かった。今夜は誰にも遠慮しないで、明かりの下で抱ける。
そう思っただけで、ペニスは忽ち天を向いてギンギンに勃起した。

私は急いで体を洗い、部屋に戻った。すでに布団が敷かれていた。
尤も和代が来る事など予期していなかったから、布団は一組だけである。
だが、いつも見慣れている布団が、妙に艶めかしくて眩しく見えた。

和代が風呂に入っている間、私は布団に入って待っていた。
青森での最後の夜から、もう五ヶ月が過ぎている。その間、私はずっと働き続け、
和代の事を想いながらまるで女っ気のない生活を悶々と送っていた。
そして、もう直ぐ和代が風呂から上がってくると思うと、欲望は焔の様に燃え広がった。

和代は、浴衣姿で間もなく部屋に戻って来た。そしい部屋の隅にチョコント正座すると、
私に背を向けて乾ききっていない髪を梳かし始めた。

私の欲望は、妖艶な和代の後ろ姿を見ていると限界に達した。
布団からソッと抜け出すと、和代の背後ににじり寄った。すると、和代は髪を
梳かしていても、神経は張り詰めていたようだ。すぐに気配を感じて、振り返った。

二人の視線が、熱っぽく絡み合った。心臓の鼓動が聞こえるほど、
辺りは静まり返っている。和代は見つめ合う恥ずかしさに耐え切れなくなったのか、
上気した顔をして視線を畳に移した。

「よく来てくれたね」
私は和代の体を背後から、ソッと抱き締めた。
襟足から石鹸の香りがプ~ンと漂っているのを感じた。
「叱られると思った」
和代は微かに体を振るわせた。突然、家出して来た事や、妊娠したこと、
私の邪魔に成るのでは無いかといった事で、和代なりにずっと心を痛めていたのだ。
「叱る?そんな事ある訳無いだろう。
 今日からは、和代は本当にオレの奥さんになるんだ」
「嬉しい。もう絶対に離れないからね」
「今は苦しいけど必ず幸せにする。生まれてくる子供のためにも、約束するよ」

  1. 夫婦の今と昔
  2. / trackback:0
  3. / comment:0
  4. [ edit ]


comment


 管理者にだけ表示を許可する
 

trackback


プロフィール

アヤメ草

Author:アヤメ草
FC2ブログへようこそ!管理人の
アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

カレンダー

04 | 2024/05 | 06
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

フリーエリア

検索フォーム

Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

« 2024 05  »
Su Mo Tu We Th Fr Sa
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -


.