思い出される昭和のあの日あの頃

「なあんだボボの事か、そんならそうと、
　難しい言葉を使わずにボボと言ってくれれば良いのに」
梅軽は事も無げに言った。どっと笑いが起こった。

野茂女医が黒板を使って女性性器の図解をした時に、
「先生、その絵は違います。そのビラビラはピンク色ではなく黒色で
　鶏のトサカの様にもっと長く伸びています」
と馬マラの梅軽が言った。

「そこの大きな坊やは良く知って居るわね。一体、誰のを見たの？」
「駄菓子屋の小母ちゃんのです」
婦人達はどっと笑った。梅軽が言った駄菓子屋の小母ちゃんは
男であれば常に相手してくれる淫奔で有名な人である。

「女性の体は夫々個人差が有りますから、皆が皆駄菓子屋の小母ちゃんと
　同じでは有りません。アソコの色もいろいろです」
男女の性器の構造、性交時の心理や生理とか堅い講義が終った。

「ホト親の皆さんは今から桜の間で馬場先生から、
　細かい打ち合わせ指導の分科会を受けて下さい。
　そのあとはプログラムにお書きして居ますように午後六時から夕食、
　午後八時から入浴をして夫々その個室に戻られたらお布団を敷いて、
　午後九時からの個人実技の準備をしておいて下さい」

四時からは、男子青年団員と婦人会員による性技の模範演技付きの
「体位について」の講義である。
演壇の傍にベッドが用意されていた。

今度は講師が替わった。誰かと思えば受付に居た元ホト親で長老格である
吉田未亡人が先生である。

具体的な性交技術についての学習となると、
ベテランのホト親達はニヤニヤ笑って居るが、童貞が殆どの若衆入り志願の
少年達にとっては、今まで教えて貰えなかった禁断の知識であった。

「今年、若衆入りをされます十名のお方、本当におめでとう御座います。
　では皆様お待ちかねの時間と成りました」
どっと拍手が起きた。

「待ってました。吉田先生！俺を実験台に使って下さい」
またもや梅軽が声をあげた。
「おっ、梅軽坊やはとても元気が良いわね。
　でも実験台はちゃんと上手な人をこちらで用意しているのよ」
吉田先生は軽く梅軽をあしらいながら、入口の方に向かって手をポンポンと叩いて、
「では、模範演技をして戴く川上くんと佐久間さん、部屋に入ってください」と言った。

廊下に待機していたらしい男女の演技者が浴衣姿で入室してきた。
私は二人とも知っていた。女性はホト親の選抜には漏れた
釣具店の五十歳に成る佐久間未亡人であり、
男性は漁業組合の三十歳に成る川上という独身青年で有る。
吉田先生は十人の少年達にガリ版印刷の
性交体位四十八手と記した印刷物を配布した。

「では男性と女性の性の営みで一番基本的な事から始めます。
　まず男性のヘノコを固く立てなければ成りません。
　先ず立てる方法の色々を川上君と佐久間さんに実演してもらいましょう」

吉田先生の言葉に川上青年と佐久間未亡人は浴衣をパッと脱ぎ捨てると、
何と下は真っ裸であった。ベッドの上に川上青年が筋骨逞しい浅黒いに肉体で
仰向けに寝そべった。性的に円熟したホト親達にとっては一度は寝てみたいと思う
セクシーな男らしさに溢れた好青年であった。

「まずヘノコを男性一人で立てる遣り方をやって貰います。
　川上君、始めて下さい」
だらりと股の間に垂れていたのが、次第に力を得てぐんぐんと
大きくなるのを目の前で見せ付けられると後家さんである
吉田先生に取っては魚を前にした猫に違い無かった。

「次に女性がヘノコを手で立てる遣り方の他に口を使って立てる
　特殊な遣り方が有り、日本では（尺八）と呼ばれ、
　英語では（フェラチオ）と呼ばれます。
　佐久間さん、尺八の模範演技をお願い致します」
皆に見える様に佐久間未亡人は自分の体を向こう側に置きペニスをしゃぶり始めた。