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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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田舎から来た娘。其の一

~田舎娘~
01.jpg
母の故郷、福島県の相馬から遠い親戚の娘である十二歳の今井君恵が
始めて我が家にやって来たのは、昭和二十九年七月末のある日、
中学校の夏休みが始まって間もない頃だった。

「訳があってね、田舎の娘を八月一杯預かる事に成ったから、
 年の近いお前が仲良くしてあげるんだよ・・・」
故郷に彼女を迎えに出かけたときの、母の言葉である。

大人の訳などどうでも良いが、姉妹がいない当時十四歳の私には、
(どんな娘なんだろう、可愛いと良いけどな・・・)
初対面の少女の容姿にだけは興味があった。

その日、私は朝からそわそわしていた。
十歳も年の離れた会社員の兄が、
「お前、いやにご機嫌だな、嫁さん迎える花婿みたいだぞ・・・」
と、私をからかうほどだった。

図星に近い心境を言い当てられて、顔から火が出た私は、
其の時公務員の父と一緒に玄関から出て行く兄の背中に向けて、
「田舎もんなんか嫁にしねぇや!」と怒鳴ったのだが、
その「嫁さん」の一言に思春期真っ盛りの心を刺激されてしまった。

私は玄関に鍵を掛けて、二階の兄の部屋に忍び込んだ。
兄が大学生時代に使い、高校生になれば私の物になる机の引き出し、
一番下を開けて、重ねて収めてあるノート類をその状態のまま取り出した。
その下に二冊のエロ雑誌が隠されているのを、半年ほど前から私は知っていた。

それは、大人の雑誌『デカメロン』と『夫婦生活』だった。


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02.jpg
男の自慰、センズリを私が覚えたのは、中学入学前である。
誰に教わった訳でもなく、ごく自然に知ったその刹那の快楽に、
其の頃の私は病み付きになっていた。

畳に膝をついた中腰で、私は半ズボンを下げ「夫婦生活」のページを開く。
アンダーヘアも露わな時代から思えば、どうと言う事もないヌード写真や挿絵だが、
そんな猥褻本が氾濫していない時代。一瞬で私のペニスは勃起してしまう。

私は硬直したペニスに手拭を被せた。小説のエロチックな場面に目を流し、
主人公の男に犯される女性の名を、未だ見ぬ少女君恵の名に変える。
脳裏に私に犯され、狂おしく反応する君恵の裸身が浮かぶ。
途端にペニスが甘美に痺れた。走り抜ける快楽に身を任せ、
私は呻きながら射精した。

ドクンドクンと脈打つペニス。精液が亀頭の先から漏れる度に、
得も言えぬ快美な感覚と、妙に虚ろな倦怠感が全身に広がる。
私はフウと溜め息を漏らし、手拭でペニスを拭い、半ズボンを引き上げた。

引き出しの中身を元通りにして、階段を降りた私は、柱時計を眺めた。
午前九時を少し過ぎている。

母からの電報によると、夜行列車で帰るとあったから上野着は朝。
そろそろ着く頃かも知れない。私は外に出た。

陽射しはもう暑くなっていた。庭と言っても菜園畑だが、
その庭の丈高いトウモロコシの毛や葉もだらけていた。
その手前にあるキュウリを一本もぎり、かじりながら乾いた土の道路を出る。
母たちは上野から山手線で渋谷駅に出て、そこから玉電で三軒茶屋に帰ってくる。
家は世田谷の中里。三軒茶屋まで歩いて七分の距離である。
03.jpg
玉電の専用軌道を見上げるT字路を右に曲がる。路面電車の玉電だが、
三軒茶屋から上馬まで約八百メートルほどは直線の専用軌道になっていた。
その途中にある中里駅は、駅舎もホームの屋根もあるちゃんとした駅だったが、
家からは百歩ほど遠い。

専用軌道に沿った緩やかな登り坂の途中に本屋がある。
朝早くから開店する店頭には「冒険王」や「面白ブック」等の月刊漫画雑誌が
きらびやかに並んでいたが、それらに私が夢中になっていたのは小学校時代。
今は貸本屋に並ぶ、新形式の漫画雑誌「影」や「魔像」を愛読していた。

坂を上り切ると、当時狭かった玉川通り。
前が玉電[二子玉川園行き]の三軒茶屋停留所。
その先の三叉路には「下高井戸行き」の停留所がある。

待つ事暫し、チンチン電車の由来通り、チンチンと警鐘を鳴らして、
窓を巡る黄色の塗装を帯にした濃緑色の車体の玉電が、停留所に入ってきた。

その電車に母たちは乗っていた。大きなボストンバックを片手に、風呂敷包みを
背にして降り立った着物姿の母に、私は駆け寄ったのだが、少々がっかりしていた。

母に手を引かれて降りてきた君恵が、余りにも子供だったからだ。
痩せていて背も低い、田舎の子供は体格が良いもの、と漠然と思っていたのに、
こんな貧弱な四肢では性的対象にならない。

(ひでえ、チビだ・・・)私は落胆した。
だが、「こんにちは・・・」と照れながら挨拶する君恵の顔が、
まあまあ可愛い方かな、と採点できるのが救いだった。
  1. 妻を語る
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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