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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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故郷岩手の女。其の四

~私を抱いて!~
岩手の女4-1
「だから言ったろう、トットと店を閉めた方が良いって」
「そうね。吉川さんの言う通りだわ。ああっ吉川さん、暖簾を外して来てくれない。
 それから、商い中の看板を引っくり返して、そう、赤提灯の火を消すのも忘れないでね」
「チェッ、人遣いが荒いやっだぜ」
「店、開けといてよ。これじゃ飲みにくいもの」
「いいのよ、今夜は山崎さんと思いっきり飲むんだもの。
 一人だけ邪魔な人が居るけど、いいわ、山崎さんを連れて来て呉れたんだから
 許してあげる。ねぇ早く暖簾をしまって、お客が来たら困るもの」

恵子の声は何となく弾んでいた。手際良く切り分けた刺身を盛り付けると、
エプロンを外しながらカウンターの外に出て来て、私と吉川の間に座った。
「本当にお久し振りですね。たった三人だけど、私達の同窓会をしましょう」
恵子は焼酎のお湯割りが入ったグラスを、
私と吉川のグラスに交互にカチカチと合わせた。

子供の頃の恵子は、色が浅黒く活発な少女だった。何時も近所の子供達を神社の
境内に集めては、男の子勝りの馬飛びなどをして日が暮れるまで遊んでいた。

中学生の二年生頃になると、妙に、可愛いだけの少女から、
女性を感じさせる美しい少女に変貌していた。私の下駄箱の中に、
ラブレターをコッソリ入れたりしたのも、其の頃のことだった。

学校の帰りに、何度かデートした記憶がある。もっとも、それがデートと呼べるのかどうか、
恵子の家の近くまで一緒に歩いて帰るだけで、手にも触れたことが無かったのだ。
子供過ぎて余りにも淡いものだったから・・・。

私達は酒を飲み交わしながら、子供の頃の共通の話題に花を咲かせていた。
その話題が途切れて、私と恵子がバツイチで、お互いが独身で居る事に話が移ったとき、
吉川はユラリと立ち上がると、これで役目は済んだとばかり、
「明日の朝早く漁に出るため、オレは帰って寝る事にするよ。
 後は大人のバツイチ同士、ゆっくり飲(や)ってくれ。うっ、ううーっ、
 それから、山崎、漁師になる覚悟が出来たら、いつでも家に来てくれ、
 エンヤートットで歓迎するぞ」
と言って、サッサと先に帰ってしまったのだ。

 
岩手の女4-2
「なによ、吉川さんったら、柄に似合わずあれで気を利かせたつもりかしら、
 バッカみたいね。いいわ、うんと飲(や)りましょ」
恵子は吉川が出て行ったドァに向かい、アカンベーした。
店の中には、有線放送から古びた演歌が流れていた。

「山崎さん、隣が私の部屋に成ってるの。ここじゃ、お仕事の続きみたい。
 ね、私の部屋でのみましょう。その方がいいもの」恵子はそう言うと、
私の返事を待たずに、グラスを持ってドアで仕切られている隣の部屋に入った。

隣の部屋は六畳一間ほどの広さがあり、
カウンターだけでは足りない時の客間に成っていた。
もっとも常連の中でも、限られた客だけに許されている、と恵子は言う。
普段は恵子の更衣室であり、帰りが遅くなった時の仮眠をとる部屋にも使われていた。

「さあ、座って」
恵子は私を促し、テーブルを挟んで向かい合って座った。
カウンターに座っていた時は照明が落とされていたうえ、
横にいたためにそれほど恵子を意識しなかったが、蛍光灯の灯りの中で
向かい合っていると、私は眩しいほど女を感じ息苦しさを覚え始めていた。

恵子にしても、次第に口数が少なくなり、グラスを口に運ぶピッチが早くなった。
必死に何かを抑え込もうとしているのが、痛いほど私にも伝わってきた。

もしかしたら、二人で人生をやり直せるかも知れない。
むろん酔った上での虫のいい願望だった。

私はテーブルを横に押しやり、二人の間の仕切りを取り払った。
その瞬間、恵子は泣き顔に成り「ああっー」と細い声を上げてにじり寄って来た。
私と恵子は、ぶつかるように互いの体を抱きしめ合った。

「嬉しい」
恵子は白い喉元から、搾り出すような声で言った。
恵子の目は、酒の酔いとは違った欲情に、
しっとりと潤んで妖艶な光を滲ませている。
岩手の女4-3
「もう少し、早く出会いたかった」
私は恵子の唇に自分の唇を重ね合わせていった。
それに応えるように恵子は吸い返し、火照った舌を口の中に滑り込ませてきた。
そして歯茎を左右に掃きながら、私の舌にヌラヌラと舌を絡み付けてきた。

「ああん、恥かしいわ、蛍光灯(あかり)を消して」
恵子は唇を外すと、声を震わせて言った。
「このままでいい、全部を知りたいんだ」
「そんなの嫌だわ。私、もう若くないもの」
「それは、オレも同じさ。でも、恵子ちゃんの体をしっかり目に焼き付けておきたい」
「もう、会えないってこと?」
「定職の無いオレだから何時までも兄貴の世話に成って居られないんだよ。
 明日にでも村を出る積りだ」
「折角会えたのに、そんな寂しいこと・・・二度と言わないで。
 あんた一人ぐらいなら私が食べさせてあげるわよ。
 此処でゆっくり仕事を探せば良いわ。あっ、ああ~ん、抱いて・・・
 初恋のあなたに抱かれたい・・・今夜は私を狂わせて・・・」

恵子は目を閉じると、私にしがみ付き体を激しく摺り寄せてきた。
その体から私は着物の帯を外した。そして胸元を開いた。
ムッとする熟れた女の匂いが、波のように押し寄せてきた。
夜の営みも義務的に受け入れるだけだった。
妻からは絶えて久しかった、男を奮い立たせる、深く、官能的な匂いだ。

私は恵子の耳朶を甘噛みした後、細い首筋に舌を這わせた。
恵子の体をピクピクと震えている。足を私の足に巻きつけてくる。
そのために、襦袢の裾がしどけなく割れて、脂の乗った太腿が露になった。

太腿をゆっくりと撫で擦った。
しっとりと汗の浮いた肌は驚くほど肌理が細やかで、掌に吸いついてくる。

「あっ、ああ~ん」
恵子は喘ぎ、体を畳の上で泳がせている。
襦袢の腰紐を解いた。ハラリと襦袢が乱れ落ちる。
その下には何一つ身につけていなかった。生まれた儘の姿だった。

恵子の肉体は予想していた以上に綺麗で、シミ一つ無かった。
肌には薄い膜でも張った様に脂が乗り、そのヌメっこい色白さも
全く申し分なく、私は思わず生唾をのんだ。
  1. 再出発
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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