15年ぶりに味わった涙と性の宴。其の五
◇天にも昇る気持ち
私はどんなに早く射精しても、妻は不満気な顔をしたことがありませんでした。
オーガズムに達しないこともしばしばあったでしょうが、素直に何時も、
「よかったわ」と言ってくれるのです。
行為の後、妻は台所に立ち洗面器に水をたっぷり満たして持ってきます。
タオルに水を浸して、ペニスを綺麗に拭いてくれるのです。拭きながらよく、
「ここ不潔にしていたら、女の子が嫌がるもんね」と、そんなことを言っていました。
妻はまだ私の気持ちを理解していなかったのです。
結婚したいと言う気持ちを・・・。「尚子と暮らしたい」 と言う気持ちがあることをです。
三月の終わり、そろそろ春の気配が感じられるように成ってきた頃、
私は妻にプロポーズをしました。しかし、妻は、
「おばあちゃんをからかうもんやないの」と真剣に受け取ってくれませんでした。
「冗談なんかやない、本気なんや」
「あほなこと言うんやないの!」
いつになく強い口調で私をたしなめた妻。
13歳も歳が離れていて、しかも離婚経験があって、子持ち女とわざわざ結婚する
必要なんてどこにもないと突っぱねます。もちろん、私はそんなことを百も承知です。
そういうことをひっくるめて結婚しようと言っているのです。
私はしつこく求婚し続けました。すると、妻はすっと立ち上がり、
「考えさせてくれる」
と言ったまま部屋に引っ込んでしまったのです。
後になって聞いたところによると、妻は部屋で泣いていたそうです。
うれしくてうれしくて、涙が次から次と溢れ出て止まらなかったそうです。
プロポーズをした翌日、私は貯金を下ろして、百貨店へ行き婚約指輪を買い求めました。
婚約指輪にしたらとても安いものです。見映えもよくありません。
しかし、そこには私の妻への愛が凝縮されていたのです。
私はそれを持って妻の部屋を訪れました。プロポーズをして一週間目のことです。
「今日は、絶対にオーケーしてもらうから」
そう言って、私は妻に指輪を差し出しました。妻は唇を噛み締めています。
そして私をじっと見つめると、
「こんなおばあちゃんでええの?章くんが30歳になったら、私43よ。
57歳の時には私、70歳なんよ。それでもええの?
その時になって後悔しても遅いんよ」
「年齢なんか関係あらへん。おれはおまえと一緒になりたいんや!」
「章くん・・・」
妻の目から涙がこぼれ落ちたとき、ベビーベッドで眠っていた和恵が泣き出しました。
妻が抱かかえあやしています。
「和恵ちゃん、パパがほちいでちゅか?」
和恵に話しかけています。
「ママよりも13歳も年下でちゅよ」
私は妻の手から和恵を抱き取り、和恵に言いました。
「和恵ちゃんもパパが欲しいでちゅね。このぼくが新しいパパでちゅよ」
和恵が笑いました。
「パパ、パパ」と、紅葉のような手で私の顔を触ろうとします。
「ぼくがパパでちゅよ!」
顔を近づけると和美が鼻をつまみました。
妻が私の手を握り、
「おばあちゃんになっても、離れんといて」
それが妻の、私へのプロポーズの答えでした。それから三ヶ月、私達は夫婦になりました。
私の両親は猛反対でしたが、最後は私の熱意に負けて渋々ながら承諾したのですが、
ついぞ妻には会わずじまいでした。結婚式はしていません。妻が再婚だからと遠慮したのです。
結婚生活はとても楽しいものでした。
このまま一生、妻と暮らして行くことに何の疑いを持つこともなく、和恵も私のことを
「お父ちゃん」と呼んでくれ、スクスク育ち周りからは幸せな家族とよく言われていました。
しかし、私と言う男はどうしょうもない男です。会社に若い女子社員がやって来ると、
目移りをするようになったのです。そして私の方から彼女を誘い、肉体関係を結んでしまい、
あとは坂道を転がる石のように、若くてピチピチした肉体に溺れていったのでした。
今から思うと何と浅はかなことだったことでしょうか。
妻は私が浮気をしていることを知っていたようで、何度か私に、
「浮気もほどほどにしなさいね」
とたしなめたりもしましたが、当時の私は、そんな妻の態度を姉さん気取りと受け取り、
憎々しげにおもっていたのです。本当に私は大バカ者でした。
やがて、私は家に帰らなくなり、若い愛人のもとへ走ってしまったのです。
◇ ◇
15年ぶりの妻とのセックス。どこか気恥ずかしくもあり、新婚時代のような新鮮さもあり、
そんな中、私達はまごつきながら愛し合いました。私は妻のすっかり萎れた乳房を持ち上げ、
シワの目立つ乳首を吸いながら、指で股間を探って見ると、そこはカラカラで、
ほとんど濡れていないのです。
「閉経したから・・・でも、入れて、大丈夫やから。章ちゃんのチンチン入れて」
ペニスを入れると妻の顔が痛みに歪みましたが、妻は、「大丈夫やから」を繰り返しています。
そして、重なり合っているうちに、私達は新婚時代のように燃え上がったのです。
15年間の空白を埋めるかのように。
「章ちゃん!ああ、章ちゃん!」
叫びながら妻が泣いています。涙を流して悶えています。
私も泣けてきました。涙を流して腰を振っていました。
夫婦生活の第二幕が開き、今年でもう五年たちました。
妻の15年に比べれば、まだ三分の一です。たった五年で15年の空白が埋まったとは
言えません。焦らずにゆっくりと空白の時間を埋めていこうと思っています。
そして、これからの私の人生、それはすべて妻のために費やしていこうと思っています。
END
私はどんなに早く射精しても、妻は不満気な顔をしたことがありませんでした。
オーガズムに達しないこともしばしばあったでしょうが、素直に何時も、
「よかったわ」と言ってくれるのです。
行為の後、妻は台所に立ち洗面器に水をたっぷり満たして持ってきます。
タオルに水を浸して、ペニスを綺麗に拭いてくれるのです。拭きながらよく、
「ここ不潔にしていたら、女の子が嫌がるもんね」と、そんなことを言っていました。
妻はまだ私の気持ちを理解していなかったのです。
結婚したいと言う気持ちを・・・。「尚子と暮らしたい」 と言う気持ちがあることをです。
三月の終わり、そろそろ春の気配が感じられるように成ってきた頃、
私は妻にプロポーズをしました。しかし、妻は、
「おばあちゃんをからかうもんやないの」と真剣に受け取ってくれませんでした。
「冗談なんかやない、本気なんや」
「あほなこと言うんやないの!」
いつになく強い口調で私をたしなめた妻。
13歳も歳が離れていて、しかも離婚経験があって、子持ち女とわざわざ結婚する
必要なんてどこにもないと突っぱねます。もちろん、私はそんなことを百も承知です。
そういうことをひっくるめて結婚しようと言っているのです。
私はしつこく求婚し続けました。すると、妻はすっと立ち上がり、
「考えさせてくれる」
と言ったまま部屋に引っ込んでしまったのです。
後になって聞いたところによると、妻は部屋で泣いていたそうです。
うれしくてうれしくて、涙が次から次と溢れ出て止まらなかったそうです。
プロポーズをした翌日、私は貯金を下ろして、百貨店へ行き婚約指輪を買い求めました。
婚約指輪にしたらとても安いものです。見映えもよくありません。
しかし、そこには私の妻への愛が凝縮されていたのです。
私はそれを持って妻の部屋を訪れました。プロポーズをして一週間目のことです。
「今日は、絶対にオーケーしてもらうから」
そう言って、私は妻に指輪を差し出しました。妻は唇を噛み締めています。
そして私をじっと見つめると、
「こんなおばあちゃんでええの?章くんが30歳になったら、私43よ。
57歳の時には私、70歳なんよ。それでもええの?
その時になって後悔しても遅いんよ」
「年齢なんか関係あらへん。おれはおまえと一緒になりたいんや!」
「章くん・・・」
妻の目から涙がこぼれ落ちたとき、ベビーベッドで眠っていた和恵が泣き出しました。
妻が抱かかえあやしています。
「和恵ちゃん、パパがほちいでちゅか?」
和恵に話しかけています。
「ママよりも13歳も年下でちゅよ」
私は妻の手から和恵を抱き取り、和恵に言いました。
「和恵ちゃんもパパが欲しいでちゅね。このぼくが新しいパパでちゅよ」
和恵が笑いました。
「パパ、パパ」と、紅葉のような手で私の顔を触ろうとします。
「ぼくがパパでちゅよ!」
顔を近づけると和美が鼻をつまみました。
妻が私の手を握り、
「おばあちゃんになっても、離れんといて」
それが妻の、私へのプロポーズの答えでした。それから三ヶ月、私達は夫婦になりました。
私の両親は猛反対でしたが、最後は私の熱意に負けて渋々ながら承諾したのですが、
ついぞ妻には会わずじまいでした。結婚式はしていません。妻が再婚だからと遠慮したのです。
結婚生活はとても楽しいものでした。
このまま一生、妻と暮らして行くことに何の疑いを持つこともなく、和恵も私のことを
「お父ちゃん」と呼んでくれ、スクスク育ち周りからは幸せな家族とよく言われていました。
しかし、私と言う男はどうしょうもない男です。会社に若い女子社員がやって来ると、
目移りをするようになったのです。そして私の方から彼女を誘い、肉体関係を結んでしまい、
あとは坂道を転がる石のように、若くてピチピチした肉体に溺れていったのでした。
今から思うと何と浅はかなことだったことでしょうか。
妻は私が浮気をしていることを知っていたようで、何度か私に、
「浮気もほどほどにしなさいね」
とたしなめたりもしましたが、当時の私は、そんな妻の態度を姉さん気取りと受け取り、
憎々しげにおもっていたのです。本当に私は大バカ者でした。
やがて、私は家に帰らなくなり、若い愛人のもとへ走ってしまったのです。
◇ ◇
15年ぶりの妻とのセックス。どこか気恥ずかしくもあり、新婚時代のような新鮮さもあり、
そんな中、私達はまごつきながら愛し合いました。私は妻のすっかり萎れた乳房を持ち上げ、
シワの目立つ乳首を吸いながら、指で股間を探って見ると、そこはカラカラで、
ほとんど濡れていないのです。
「閉経したから・・・でも、入れて、大丈夫やから。章ちゃんのチンチン入れて」
ペニスを入れると妻の顔が痛みに歪みましたが、妻は、「大丈夫やから」を繰り返しています。
そして、重なり合っているうちに、私達は新婚時代のように燃え上がったのです。
15年間の空白を埋めるかのように。
「章ちゃん!ああ、章ちゃん!」
叫びながら妻が泣いています。涙を流して悶えています。
私も泣けてきました。涙を流して腰を振っていました。
夫婦生活の第二幕が開き、今年でもう五年たちました。
妻の15年に比べれば、まだ三分の一です。たった五年で15年の空白が埋まったとは
言えません。焦らずにゆっくりと空白の時間を埋めていこうと思っています。
そして、これからの私の人生、それはすべて妻のために費やしていこうと思っています。
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プロフィール
Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。
私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。
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