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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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淪落主婦。其の一

◇失って知る家庭の有り難さ◇
淪落主婦1-1
今でこそ北関東の地方都市でスナックの雇われママをして居る私ですが、
その昔は普通の主婦として、ごく平凡な生活を送っていた時期もありました。
短かったけれど三人の子供と真面目な夫に囲まれてそれなりに幸せな一時期でした。

その事を知って居るのは、いまでは私の回りには一人として居ません。
今と成っては、そんな時代も風化した過去と成りつつあります。
おそらく、別れた夫と三人の子供の中にある私の記憶も、
殆ど残っていない事でしょう。

寂しい事です。けれど、六十を過ぎて水草稼業に身をやつしているのも、
夫子供と離れて暮らさなければ成らないのも、もとを正せばみんな自分の
せいなのです。

その昔もう25年前近くに成るでしょうか。
悔やんでも悔やみきれない過ちを犯してしまいました。
それは、夫や子供に対するひどい裏切りでした。

己の身から出た錆で、夫や子供から一生、
恨まれても仕方がないとは重々承知しています。
その上で、還暦をも通り越した今、私は彼らが恋しくて成らないのです。

すべては、年のせいなのでしょう。幸せだった過去が、
懐かしくて堪らない昨今なのです。出来る事なら、あの暖かい家庭に
もう一度、戻りたい・・・

そう願う事が、どれ程虫のいいことか痛いほど判っているつもりです。
自分の手で壊しておきながら、心休まる家庭が欲しいと望むなど、
決して叶えられる事ではないでしょう。
しかし、失ってみて初めて判る家庭のありがたさなのです。

毎日毎日、酔客の相手をして自分も深酒し、身を削るようにして生きている
老いた我が身が哀れでならなくなるときがあります。そんな時、
(もし、ずっと家庭に納まっていたままでいたら・・・)
こんな苦労をしなくても済んだだろうに、夫や子供や孫に囲まれて、
それなりの暮らしが出来ていただろうに、
と詮無い事を如何しても考えてしまうのです。

 
淪落主婦1-2
(いま頃、あの人や子供達はどうしているだろうか)
別れた夫は私より三っ年上だから、もう六十七歳、長男は40歳、長女は37歳、
末の息子は33歳に成っているはずでした。
真面目な夫に育てられた娘と息子達ですから、私の事は恨んでいるでしょうが、
きっと父親想いのいい大人に成長しているに違いありません。

私と夫は昭和44年に華燭の典を上げました。見合い結婚でした。
固い役所勤めの見合い相手を、私の両親はとても気に入りました。
勤め先も倒産の心配はないし、人柄は誠実で生真面目。
夫として、これほど最適な男はいない、と諸手を上げて私の結婚を勧めたのです。
一方、当の私の思いは消極的でした。

(まるで、平々凡々を絵に描いたような人だわ。何か、男としての魅力を感じない。
 でも、私もとっくに適齢期だし・・・ああ、いったいどうしたらいいのかしら!)
二十歳を幾つかやり過ごしていた私ですが、
それまでロクに男性と交際した経験もありませんでした。

しかし当時の適齢期年齢は早く、そろそろ結婚しなければ、と言う焦りもありました。
そして、強く両親がこの縁談を押し進めた事もあり、
(そうね。お父さんやお母さんのいう通りかもしれないわ。
 結婚相手には、こういう人が一番いいのよ。
 一緒に暮らしていくうちに芽生えるものなのよ、愛情って)
私は、すぐに結婚を決意いたしました。
皆に祝福され、私は夫と共に新しい生活を営む事となったのです。
確かに、その生活は安定していました。

結婚して一姫二太郎に恵まれ、平穏に十年の月日が流れてゆきました。
家事に子育てに必死の十年でした。
その間、夫は優しく思いやり深く私と子供たちを見守ってくれていました。
刺激は無かったものの、心穏やかな日々でした。

しかし子育ても一段落すると、私はそんな生活に、というより真面目以外には
何の取り得も無い面白みも無い夫にうんざりするようになりました。
女として成熟期に入っていた私にとって、
とくに夫の淡白な性生活には我慢ならないものを禁じ得なかったのです。
  1. 熟年夫婦の色々
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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