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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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淪落主婦。其の四

◇愛欲に溺れた日(1)◇
淪落主婦4-1
当然、岸との関係は一夜のアバンチュールのみでは終わりませんでした。
その翌日、東京から家に戻ったものの、私の頭の中は岸の事で一杯でした。
何も手につかない有様でした。
寝ても覚めても、思うのはたった一夜を共にした年上の男のことばかり、
夫はもちろん、子供たちさえも私の目には入りませんでした。

(岸さんに会いたい。また東京へ行きたい。でも・・・)
不倫相手への思いは募るばかりでしたが、しかし主婦の身の上の私がそうそう
東京へ出かけるわけにはいきません。心は東京へ飛んでいましたが、
(夫や子供たちに、何て言い訳して行けばいいの?ああ、だけどどうしても私・・・)

ジレンマでした。どうしていいのか判りませんでした。夫や子供たちには申し訳も
立ちませんでしたが、どうしても岸への気持ちを抑えることが出来なかったのです。
「実はあなた、埼玉に住んでいる伯母さんの具合が悪いのでお見舞いに行きたいの」
嘘をつくしかありませんでした。

夫は全く疑うことなく、私を旅立たせてくれました。
心の中で夫や子供たちに手を合わせながら、私はまたしても東京へ向かったのです。
(私って、何て悪い母親なんだろう、妻なんだろう。だけど、だけど私は・・・)
妻や母親であるまえに、一人の女でした。どうしょうもなく、女だったのです。
それは、如何に理性で否定しようにも否定しきれない現実でした。

その一方で、家族に対して心苦しくてなりませんでした。
嘘をつき家族を欺いて、男の元へ走る自分が許せませんでした。
女と母と妻の間で、私はもがき苦しみました。

けれど東京旅行から帰って一週間で、私はまた東京へ舞い戻ってしまったのです。
あのめくるめく絶頂が忘れられなくて、ときめく気持ちが抑えきれなくて、
浮気相手の懐に飛び込んでしまったのです。この気持ちは、紛れもなく恋愛でした。

思えば、私には恋愛に対する免疫が余りにも無さ過ぎました。
夫と結婚するまで恋愛らしい恋愛など、ひとつも経験した事がありませんでした。
夫と知り合ったのも見合いがきっかけで、恋愛感情の果てに結婚したわけではありません。
となれば、岸に対するこの思いこそが私の初恋と言うことになるかもしれません。

とにかく、その時の私は盲目でした。何も手につかず、只ひたすら岸に恋焦がれていたのです。
伯母の見舞いに行くと偽って家族を騙し、私は岸に教えられた住所を尋ねました。
罪悪感に苛まれつつも、私の心は昂ぶっていました。

 
淪落主婦4-2

逃避行

作詞  万屋 太郎
作曲  阿波 昭夫 
編曲  Andy A.
歌唱  柳都 あきら

歌が聴けます。

時計の針が    零時を回り
ホームに人影   絶えて無く
東京行きの    最終列車
もつれる様に   乗り込む二人
男のコートに   身を隠す
和服の女は    泣いていた

車窓に映る    ネオンも消えて
遠くの外灯    かすれ飛ぶ
ひたすら走る   最終列車
訳有りそうな   男と女
まわした腕に   もたれつつ
うつろな瞳で   外を見る

何処まで行くのか 二人の旅路
県境越えて    川越えて
東京行きの    最終列車
無言の侭の    男の脇に
寄り添う女の   乱れ髪
繕う手元が    やつれてた

淪落主婦4-3
岸の住まいは、下町の長屋のような処にありました。
岸のような伊達男には似合わない住まいでしたが、盲目の私にはどうでも良い事でした。
胸をドキドキさせ、私は声を掛けてから建て付けの悪いドアを開けました。

「おや、淑子さん、本当に来たんだね。意外と勇気があるんだ」
突然、訪れた私に岸は目を丸くしました。
如何にもおとなしそうな地方の主婦の女にしては、予想外の行動に思えたに違いありません。
しかし自分のこんな行為に一番驚いているのは、実は私自身に他なりませんでした。

今までの私は、いつも誰かの言いなりでした。独身時代は両親の、そして結婚してからは夫の。
そんな私が、初めて自分の意思で行動したのです。
しかも、自分でも信じられないくらい大胆な行為に打って出ようとしていたのです。

「会いたかった!死ぬほどあいたかったのよォ!」
岸の顔を見るなり、抑えていたものが一気に噴き出しました。
怺えきれず、私は玄関先で岸に飛びついていました。
岸も、激情に駆られた私をしっかりと受けとめ、
「僕だって、どんなに会いたかったことか。あなたに焦がれていたんだよ」
と、私の口唇を貪ったのです。私も夢中に成って岸の舌を吸っていました。
岸に再会できた喜びと接吻のみで、私の肉体は異様なほどの火照りを湛えていました。

膿むような疼きが、さかんに子宮を突き上げてきたのです。
もう、我慢なりませんでした。私は靴を脱ぐのももどかしく、岸の口唇を貪ったまま、
玄関のあがりかまちのところに彼を押し倒していました。

自分がこれほど激しい感情を秘めているなど、私としても新鮮な発見でした。
恋は、人をこうも変えてしまうものなのでしょうか。
万事が消極的で引っ込み思案だった自分が、大胆に男を欲することができねなんて、
まったく別人の仕業としか思えませんでした。

私は、玄関先で岸を裸に剥いていました。岸のズボンを剥き、
「お願い、はしたない女と思わないでっ、もう堪らないの!」
思わず男の中心部に顔を埋めていたのです。
生まれて初めて、積極的に卑猥な行為に出た自分に、
私はうっとりと歪んだ愉悦を感じていました。
  1. 熟年夫婦の色々
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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