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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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株式投資をする三夫人。其の五

~口止め料~
三夫人5-1
夏の終わりの大型台風の影響か?曇り空に慌ただしく雲が流れるている日だった。
鈴木幸恵夫人から電話が有った。
あの時に渡して置いた名刺が役に立ったのかもしれなかった。
外国の株式の事で相談したい事が有るので自宅に来て欲しいとの連絡で有った。

彼女の夫は香港にある日本商社勤務のはずであるから、わざわざ午後三時ごろ
自宅に来て欲しいと言うのは、本当は別の目的が有るのかも知れないと
不純な気持ちで、家を出る。鈴木幸恵の家は市の南部、金沢区にあり
東京湾が望める小高い丘の中腹に、大手不動産会社が開発分譲した
新興住宅地にある瀟洒な二階建ての住宅だった。

私は玄関のベルを押した。
「はーい。どうぞ」
声と共にドアが開けられて、フワフワのキッドモヘアのスェーターに黒地にピンクの
花模様の入ったフレアースカートの鈴木幸恵が顔をだした。
「お邪魔します」
夫の長期不在の奥様だけの一人暮らしの家に老人とはいえ男性を呼び寄せると
言うのは魚を置いた部屋に猫を入れる様なものである。
でも先方は猫ではなく兎位に思って居るのかも知れなかった。

広い居間に招き入れられて私はソファに座った。鈴木幸恵は台所で何やら飲み物の
準備をしている間に私は部屋の中を見回していた。

火が焚かれていないマントルピースの上にコンドームの箱がさりげなく置かれていた。
すでに何個か使用した形跡がある。私の胸は高鳴った。
夫の長期不在の鈴木幸恵は誰とのセックスの際に使用したのだろうか。
それとも今日、私をさりげなく誘惑するためにわざと置いてあるのかも知れないと思った。

鈴木幸恵は澄ました顔で紅茶とカステラを運んできた。そして私の横に座った。

「外国株というのは、アメリカ株のことですか?」
「いぃえ、実は香港株のヤオハンホンコンの事をしりたいのです」
「それだったらご主人の方が詳しい情報をお持ちじゃないですか」
私は一応礼儀として言ってみた。
「いいえ、主人は株のカの字も感心がないのです。
 それに主人には内緒で証券会社に勧められて買ったものの、
 情報はないままどんどんさがってゆくでしょう」

私は知りえる情報の限りヤオハン関連からは手を引くべきだと、
早期にヤオハン関連株の売却を勧めた。
結果的にはそれがヤオハンの破綻で大損する所だったのを
未然に防ぐのに役立ったのだ。

ひとしきり株の話をしていると俄かに雨風が激しく成ってきた。

 
三夫人5-2
「私、二階の雨戸を締めて来ますのでちょっと失礼します」
鈴木幸恵はソファから立ち上がると、花柄のフレアースカートを翻して部屋を出て行った。

私は手持ち無沙汰に台風情報でも聞こうかと思って応接間に置かれているテレビに
目を止めた。それはテレビにビデオの機能をも合わせ持たせた複合商品である。
私はリモコンを見付けた。スイッチをポンと入れると、これは何とした事か、
ブラウン管には洋モノの裏ビデオのセックスシーンが映ったではないか。
私がリモコンの操作を誤って電源と再生を押したらしいのである。

なんだこりゃ。きっと鈴木幸恵は一人で裏ビデオを観賞していて、途中で止めてテープを
セットしたままにしていたのであろう。それにしてもこんな凄いのを一人で見ていとは相当に
欲求不満が昂じているに違いないと思った。

鈴木幸恵が二階の戸締りをしている音がしている間は安全だと思って
裏ビデオの音量を小さく絞って観ていた。もしかしたら他にもまだ怪しげな
ビデオテープがあるかも知れないと思って、テレビの横のテープ格納棚を見ると、
奥にはビッシリとアダルトビデオテープが隠すように置かれていた。

やがて階段を降りて来る足音がしたので、私はビデオを消した。
そしてリモコンを元、置かれていた場所に戻した。

鈴木幸恵が部屋に入ってきた。
「ねえ、台風どうなっているかテレビ付けてみましょうよ」
外は雨も降り出し風も強くなって来た様である。テレビのスイッチを入れると、
どうやら台風は九州を直撃するらしい。

「ねえ、私、台風が恐いの、今夜、お泊りに成って頂けませんか・・・」
ほうらおいでなすった、と私は思った。私はマントルピースの上の使いかけの
コンドームの箱を思い浮かべた。
「用心棒としてだったらお断りですよ」
「えっ、それどう言う意味ですの」
私は黙って視線をマントルピースの上に向けた。
「あら、何かしら・・・」
鈴木幸恵は立ち上がってそれを見た。
もしかしたらそれは計算された演技かも知れなかった。
三夫人5-3
「まあ、恥かしいわ。しまい忘れたのね」
「奥さん、私にもそれを使わせてください」
私はここぞと強くプッシュした。
「いいわ。白状するけど私一ヶ月もセックスしないと気分がいらいらするの。
 今夜は存分に遊んでいってね」
「奥さん、ほんとにいいんですか」
「コンドームを見られたんですもの。口止め料がわりですよ」
鈴木幸恵は口止め料だなんて自己の行為を正当化した口を利いてるけれど、
ほんとは最初から情事をする目的で罠にはめたのかも知れなかった。

話が決まればあとは実行あるのみである。
台風で雨風が強くなる時に来客などあるはずがない。
もしかすると台風の日を狙って電話してきたのも
鈴木幸恵の作戦だったかもしれなかった。

「すぐにお風呂と夕食を用意しますから、ゆっくりしててね」
外は一段と雨が強く成って来た様である、時折り雷鳴も聞こえる。
鈴木幸恵は電話を何ヶ所かの寿司屋にかけてまだ営業している店を見付けた。

やがてフード付きのレインコートを着た寿司屋が風雨の中をバイクで
丸い寿司桶を運んできた。
「雨の中・・・、ご苦労様」
鈴木幸恵は玄関の内側にしばらく佇みバイクの音が遠ざかるのを待って、
玄関に施錠した。そして寿司桶を運んできた。握り寿司である。
桶の表面に張られたラップの上には雨粒がついていた。

「さあ、戴きましょうね」
鈴木幸恵は台所から小皿とお茶道具を持って居間に入って来た。
私は赤いトロを指差しながら、
「奥さんのアソコと、このトロ、どっちが綺麗かな」
「あらヤダァ、私のアソコはまだあまり使っていないからピンク色で綺麗なものよ」
「どれ、ほんとうかな。今見せてくれないかな」
「エッチ、ほんとうに困った人ね。ああ、いいことがあるわ」
「えっ、なんだい」
「どうせ、後で総て見せ合うんだから、二人とも裸に成って食事しましょうよ」
それは素晴らしい提案だった。女性と寿司を食べた経験は数多くあるけれど、
昼間から真っ裸で寿司を食べるのは初めてだった。
  1. 人妻の性欲
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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