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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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見境もなく燃え上がる女の淫情。其の四

◇邪まな淫欲◇
真野響子01
忍ぶ恋というものは、本当に辛いものです。秘密を持つのは心苦しく、
そして後ろめたさを禁じ得ないことなのです。
けれどもその反面で、私はまた一種倒錯した悦びをも味わっていました。
心苦しさや後ろめたさと言うものは、歪んだ快楽を与えて呉れるもののようです。

いけない、私は悪い事をしているのだと自分を責めれば責めるほどに、
恋心は昂まってゆくばかりでした。
しかし、私の恋心はそれほど頻繁に満たされる事は無かったのです。

「来週のレッスンに出て来れるの?」
「うーむ、ちょっと分からんな。仕事の方が立て込んでいて、
 時間が取れないかもしれない。君に会いたいのは山々なんだが・・・」
淋しいわ、と言う言葉を何回、呑み込んだことでしょう。
しかし、私は分別のある年齢の女です。
そうそう、多忙な近藤を困らせる訳にもいきません。

近藤とは、滅多に会うことが出来ませんでした。
よくて月に一回、ひどいときなど三ヶ月も間が開いてしまうこともありました。
会いたくて会いたくて、そして抱かれたくてたまらない・・・。
ひと目だけでも彼の姿を見たくて、近藤の勤める銀行に預金をする振りをして、
足を運んだ事も一度や二度ではありませんでした。

会いたいのに会えないと言うのは、
恋する女にとってまったく地獄の責め苦にも等しい苦しみでした。
恋愛する歓びは、いつも苦しみと背中合わせに有るものかも知れません。
近藤を愛する気持ちと正比例するようにして、淋しさも募ってゆく一方でした。

「ねぇ、お母さん、私妊娠したみたいなの」
そんな時、明るい知らせが私の許に入りました。
長女の益美が妊娠を報告してくれたのです。
「そう、それはおめでとう・・・で、予定日はいつなの?」
「来年の四月よ。つわりが始まって大変なの」
「身体を大事にするのよ、益美」

初孫が生まれるという朗報は、暗く沈みかけた私の心に光を投げかけてくれました。
近藤も大喜びしている。という娘の言葉に少し胸がざわめきたちはじめましたが・・・。
「お義父さま、いよいよ頭取に就任することが決まったみたいなの。
 目が回るほどお忙しいらしいわ」
「そうでしょうね。それは、おめでたいことだこと」

 
momiji025001.jpg
何も知らない娘は興奮した口調で私に告げました。
けれど、私にとって近藤の出世は決して喜びではありませんでした。
あの人が偉くなれば、それだけ私から遠い存在になる。
私とあの人は、益々逢えなく成ってしまうのだわ・・・。
そう思うと、彼の出世を恨む気持ちさえ湧き上がって来るのでした。

「ねぇ、お母さん。申し訳ないんだけど・・・」
いよいよ、益美の出産が近づいて来ました。
「私の産前産後、ウチに来てもらえないかしら。
 赤ちゃんが生まれたら、とても私一人じゃ家の事も出来ないし、
 私の入院中も久司さんの事が心配なの。あの人、ご飯もロクに炊けないのよ」

娘に頼まれるまでもなく、益美の産後の面倒は私が看るつもりでした。けれど、
娘の入院中も娘夫婦のマンションに泊まり込みになるとは思っても居ませんでした。

「本当にご面倒おかけします、お義母さん」
「いいえ、何を水臭いこと言ってるの、久司さん。
 あなたは、もう私の息子なのよ。遠慮なんかしないでちょうだい」

しかし娘婿の顔を見ると、私の胸はキュッと締め付けられるようになりました。
何と言っても、娘婿は私の愛しい男の息子なのです。
久司さんは、日に日に近藤に似て来るようでした。

「うっうっうっ、お、お腹が痛い」
「陣痛のようね、病院に電話しましょう」
私が娘夫婦の家に行ったその夜、益美の陣痛が始まりました。
そして、その翌朝には三千グラムちょうどの男の子が生まれたのです。
娘夫婦は勿論のこと、両家の親たちが大喜びしたのは言うまでもありません。

「入院は一週間。お母さん、久司さんの事よろしく頼むわね」
「分かってますよ。任せてちょうだい」
それから、私と娘婿二人だけの生活が始まりました。
いくら義息子とはいえ、血が繋がっていない者同士の生活は、
何となく気づまりなものでした。
かたもみ

それに、何より久司さんが近藤の息子かと思うと、
私の胸は自然と息苦しくなるのでした。
気がつくと、しばしば私は恋人を見るような熱い眼差しで、
久司さんを見つめている事もありました。
そんな私を、久司さんがおかしく思わない筈がありませんでした。

「お義母さん、どこか具合でも悪いんですか?」
娘が入院して三日目の晩のこと、夕食を摂りながら、
久司さんが心配そうに訊ねました。私は慌てて首を振り、
「い、いいえ、健康そのものよ。ごめんなさいね、ボーッとしてしまって」
ボンヤリ久司さんを見つめていたことの言い訳をしました。

久司さんも益美も、夢にも私と近藤が不倫関係にあるなどと考えも
及ばないことでしょう。それは決して、決して誰にも悟られてはならない事でした。
「私も更年期かしらね。最近、よくボンヤリしちゃうのよ。
 さあ、気にしないで沢山召し上がってね」

しかし娘婿と暮らすようになってから、私の目には近藤と久司さんがダブって
映るようになっていました。近藤をうんと若返らせたら、久司さんそのままに
なるんじゃないだろうか。何だか、近藤と一緒に暮らしているような気がするのです。

近藤イコール久司さん・・・。近藤に思うように会えない淋しさが、
私にひどい錯覚を起こさせました。
四日目ともなると、私の自制心も限界に近くなっていました。
今一緒に暮らしている男は近藤なんだ、近藤としか思えない・・・・。
近藤に会えない苦しさが私をとうとう壊してしまったのです。

あれは五日目の夜の事でした。夕食後、入浴を済ませた久司さんは
疲れたと言って、さかんに首筋の辺りを叩いていました。
「じゃあ、私が揉んであげましょう。こう見えても私、マッサージには自信があるのよ」
と、私は遠慮する久司さんをベッドに座らせ、肩を揉み始めました。
Tシャッ一枚の彼は、意外と筋骨逞しい体つきをしていました。
  1. 人妻の性欲
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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