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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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或る娼婦の思い出。其の三

◇ポン引きのアルバイト◇
或る娼婦の思い出07
女は清江さんと言って16歳で吉原に売られ、売春防止法施行までは吉原で働いていた。
私が会った時が36歳だったから、売防法以後、トルコ風呂街(今のソープランド)として
生まれ変わった吉原では年がいきすぎていて生き残れなかったと言う事だった。

売防法で自由の身になったものの、働き口も無く、ニコヨンの下働きなどしていたが、
結局は池袋に流れ、街娼を遣っているところをK組の幹部に声を掛けられ、
結局は売春アパートで暮らす事に成ったのだと言っていた。

そんな清江さんだが、赤線の中では由緒ある吉原に居た事が自慢だった。
「このアパートには6人の女がいるけどさ、床上手なのはあたしが一番さ」
その後、私は清江さんの所に屡出入するようになり、自慢げに何度も同じ言葉を聞かされた。

他の女たちとも口を利くようになり、私はいつしかその売春アパートのマスコット的な
存在になっていた。そのうち、清江さんがK組に話を通してくれ、
私は清江さんに限ってポン引きする権利も得た。

何時までも学生服のポン引きじゃ、お上の目に止まったらまずい事に成ると言って、
K組の幹部の川西さんと言う人が、私に背広をあつらえてくれた。
もちろん家に着て帰るわけにもいかないので、私は学校を終え、
池袋で途中下車すると真っ直ぐ清江さんの部屋へ行き、背広に着替えて街に立った。

「お兄さん、いい子がいるんですけどね、年はちょっといってるんですが、
 これがまた床上手。咥えて引っ張って離さないっていう極上のお道具を持ってるんですよ」
なんて滑らかな口調で客をそそり、何人もの男を清江さんの元に送り込んだ。

今にして思えば、清江さんは童貞の私に筆下ろしをしてくれた人だ。
女が初体験の男を忘れられないように、私の清江さんに対する感情は、どこか似ていた。
清江さんが客を取っている間、居た堪れない気持ちで、ドラムと言うジャズ喫茶に行き、
ロックンロールのリズムに身を任せて、気を紛らわせていた。

 
或る娼婦の思い出08
清江さんの営業時間は、昼日中から深夜12時まで。泊り客がある時は、時には朝まで
眠る間も惜しんで何発も挑みかかる男などもいて大変な重労働になっていたようだった。

もし泊り客がない時は、着替えに戻った私に清江さんが挑みかかったりもした。
「あああ、今日も六人ものお客取っちゃった・・・ね、口直しに慎ちゃんのオチンポ舐めさせて」
なんて言って清江さんは私が学生服に着替え様としている処に迫ってきて、
股間のモノをスッポリと咥え込んできたりした。

清江さんと私の間には何時しか夫婦にも似た感情が芽生えていて、
送り込んだ客が私の前で清江さんの乳房を揉んだり、
アソコに手をやったりするのを見せ付けられたりすると、ひどく嫉妬したものだ。

清江さんは、学生服に着替えて家に帰ろうとする私を、いつも潤んだ目で見、
「慎ちゃんは別の世界の人になっちゃうんだ・・・」
そう言って私の背中に顔を押し当て、何時も泣いた。
私は、後ろ髪引かれる思いでいつも清江さんの部屋を後にして家に戻った。

この頃は、父も母も、私の行動に対して何も口を挟む事は無かった。
とにかく夜遊びはしているが、学校はサボタージュしていないし、
家に厄介な問題を持ち込むこともなかったし、第一小遣いをせびる事が無かったから、
町工場の職人で安月給の父としては文句の付け様が無かったのだろう。

深夜過ぎての帰りを一度咎められた事があったが、
「俺だって参考書とか色々買いたい物があるんだ。
 アルバイトしてるんだよ、アルバイト。文句があるなら、五千円呉れるか?」
と父親に喰って掛かったら、父親は黙ってしまつた。
  1. 年上の女
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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