PV UU 現在の閲覧者数: /にほんブログ村 小説ブログ ロマンス小説へ
2ntブログ

異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

  1. スポンサー広告
  2. [ edit ]

惨めな初体験。其の一

◇夢に現れた願望◇
lowson2.jpg
コンビニエンス・ストアを出た私は、広い通りを横断して、
数十メートル先にある大きな公園に向かった。
風は冷たいが陽気は良い。見上げる三月中句の空は青く、
高い位置のうろこ雲の下を白い飛行機雲が一筋、
西に向かって描かれていた。

昼時を過ぎていたが、樹木の陰には憩う人の姿も多い。
幼児と若い母親、パジャマ姿の男達も居た。公園裏には市立大学病院がある。
退院間近の入院患者だろう、と勝手に想像しながら、私は広場の中央に向かう。

噴水があり、四隅を木製のベンチに囲まれた割り丸太のテーブルがあった。
目映い陽射しのせいか、無人だった。
テーブルを挟んで噴水と向き合う位置のベンチに座る。
眼前に噴き上がる水柱の頂点が、風に散らされて涼しげに、
キラキラ光る霧に成って居る。その飛沫で和やかに濡れた草地に、
鳩や雀達がひょいひょいと飛び歩いている。

良い場所だ。私は独り満足して、
コンビニの袋からサンドイッチと烏龍茶のミニ・ボトルを取り出した。
最近は好きだった釣りも億劫になり、友とのゴルフも腰を痛めてから敬遠しているから、
陽光の温かみ風を心穏やかに浴びるのは久ぶりだった。

「私もお休みの日には、時々あの公園で子供とお弁当を食べるんですよ。
 何かちょっとしたピクニック気分に成れるんでよ・・・」
そう言って、サンドイッチを買った私に、公園の利用価値を教えてくれたコンビニの
パート店員、下山しのぶ(仮名)の笑顔に夢中で納得して、烏龍茶の栓を開け、
サンドイッチの帯封を解いた。其の気配を察したのか、横の草地を歩いていた
鳩の一羽が首を傾けて、私を真ん丸な片目で見上げた。

私は思わず独り笑った。其の鳩の姿に、下山しのぶの容姿が重なったのだ。
二人の子持ちで二十七、八の主婦である彼女は、身長が百五十センチそこそこと、
小柄な上に、ムチムチとした固太りの肢体。当然のように、いつも身に着けている
コンビニエプロンの胸元も厚く、典型的な鳩胸タイプの熟女だった。

もちろん首回りも太めで、時には覗き見える首下の肌には鎖骨の翳りもない。
ムッチリとした二の腕や太腿も短く、要するに、やや肥えた子供のような体型なのだ。
むろん悪口ではない。
気軽にひょい、と抱き締めたくなるような、愛らしい肉付きをしているのである。
 
鳩鳩と雀
その身体に似合う、ふっくらと小さな丸顔も少女ぽい。二重瞼で切れ長の眼を
彩る瞼の青いアイ・シャドーだけは、働く主婦らしい化粧だが、薄い紅ののみの
小さな唇から覗く白い歯も健康的で、てきぱきと受け答えする言動も明るく、
鈍重としか思えぬ近頃の女子高生よりも若々しいし、その快活さに相応しい、
ボーイッシュに短めの黒髪も、熟女の茶髪や金髪を苦々しく思っている私には、
すこぶる好ましい女性だった。

そう、こうして熱中して語ったとおり、私は彼女に惚れていた。
孫ほども年が違う、他人の妻への老いらくの恋、
それも、明らかに肉欲を籠らせた、淫らな心で・・・。

ほとんど毎日のように、しのぶに逢いたいが為に店に通う私は、
レジで打つ彼女の太めで小さな指を見る度に、巨樹の幹を這う、
白い芋虫を連想してしまうのである。

巨樹は怒張したペニス。それを弄る、しのぶの芋虫のような五本の白い指。
亭主とセックスするしのぶ。
私の妄想は厭らしく、いつも妖美に広がり続けてしまう。

「しのぶ、おいで・・・」小さな声で言い、
私はちょこちょこ寄って来た鳩に、サンドイッチの端を千切って投げ与えた。
鳩が羽根をふわっと広げそして閉じ、喉を鳴らしてパン屑を啄み始めたとたんに、
ざっ、ばささ、と周囲の空気が騒いだ。他の草地の鳩たちが舞い上がったのだ。

次々に飛来し、餌を啄ばむ鳩の周囲に群がってきた。
仕方が無い。私は千切ったパン屑を草地に放った。
トラック野朗04
それが悪かった。草地に羽ばたく鳩の渦潮が生まれ、
遠くから飛来した鳩も加わり、巨大な鳩の集団になってしまった。

テーブルにも数羽が降り立ち、クックと喉を鳴らしながら、頭を傾けて片目で私を見つめ、
ちょこちょこと走り回る。宙に羽ばたき、手に残ったサンドイッチを狙う奴もいる。
可愛い、人懐っこいと言えば言えるが、まさに傍若無人、これは鳩の襲撃だ。

私はサンドイッチを細かく千切り、テーブルに散らして、ベンチから逃げ出した。
こんな鳩が、下山しのぶに似てるなんて、冗談じゃないと苦笑しながら・・・。

その晩、私は鳥に襲われる夢を見た。
どこかのゴルフ・コースらしい場所で、私は頭上から襲いかかってくる無数の
黒い鳥をゴルフ・クラブで追い払っている。だがそれでは手に負えない。
もっと武器になる得物を・・・と焦った時、無意識に夢をコントロールしたのか、
その手にしたクラブが何時の間にか長い釣竿になり、それが重く撓って、
釣り糸の先に鳩が釣れていた。

海釣りに行くと、船の回りを飛び交う海鳥が釣り上げた小魚を狙って飛んできて、
逆に針先に掛かる事が稀にある。私にもその経験が有るから、可哀相だ、
と竿先の鳩を引き寄せて針を外そうとした・・・
とたん、鳩がコンビニのエプロン姿の下山しのぶに変わり、
唐突に夢そのものが変わった。
夢は願望を現す、と言う。
私は、しのぶを腕の中に抱いていた。

  1. 銀座の恋の物語
  2. / trackback:1
  3. / comment:0
  4. [ edit ]


comment


 管理者にだけ表示を許可する
 

trackback

まとめteみた【思い出される昭和のあの日あの頃】

  1. 2012/03/17(土) 19:10:17 |
  2. まとめwoネタ速suru
◇夢に現れた願望◇コンビニエンス・ストアを出た私は、広い通りを横断して、数十メートル先にある大きな公園に向かった。風は冷たいが陽気は良い。見上げる三月中句の空は青く、高い位置のうろこ雲の下を白い飛行機雲が一筋、西に向かって描かれていた。昼時を過ぎていた...

プロフィール

アヤメ草

Author:アヤメ草
FC2ブログへようこそ!管理人の
アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

カレンダー

04 | 2024/05 | 06
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

フリーエリア

検索フォーム

Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

« 2024 05  »
Su Mo Tu We Th Fr Sa
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -


.