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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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肉欲と嫉妬の三年間。其の一

◇女としての自信◇
肉欲と嫉妬1-1
私は今年50歳になる仲村郁子と申します。
五年前に私がパート勤めを始めたのは、他の奥様方と同じ理由からでした。
三人の子供たちが皆大学・高校へと成長し、子育てが一段落ついたからです。

子供が手を離れると、母親と言うのは大抵虚無感に襲われるようです。
今まで私がしていた事といえば、家事と育児と夫の世話だけ、
やがて、独りポツンと家庭の中へ置き去りにされている事に気付くのです。
何かしなくては、自分も社会復帰しなくてはいけないと、
私も他の奥様方と同様に焦りを覚えていました。

ちょうど人手不足の折、すぐにパートタイムの職を見つける事が出来ました。
仕事は、デパートの地下でお惣菜を売る事でした。
取り立てて手に職のなかった私には、それでも願ってもない仕事だったのです。

勤務時間は、午後二時から閉店の七時まで、簡単な仕事でしたが、
最初の一ヶ月は仕事を覚えるのに必死でした。
それにしても、社会に出ると言う事は何と刺激に満ちて居る事なのでしょうか。

それまでの私は化粧もお酒も忘れた、ただのオバサンでした。
けれどお勤めをするからには当然身だしなみにも気をつけなければなりません。
周りを見回してみると、デパートの従業員たちは一様にキリッとしています。
若い女性は言うに及ばず、中年の男性も若い男性も身だしなみを怠っては居ません。

私もタンスのこやしに成り果てていた、スーッやワンピースを取り出し、
綺麗にお化粧することを思い出しました。人間、心がけ一つで、心身ともに
リフレッシュ出来る物なのです。パートに出るようになってからの私は変わりました。

そればかりか、
(私も、まだまだ捨てたもんじゃないんだわ。そうよ。女の四十五歳は花盛りなのよ)
私は、女としての自信すら取り戻していたのです。
やがて、その自信を裏付ける出来事が起こりました。

仕入れ部の部長の地位にあった吉村真一(仮名・当時39歳)がある日、
私をお酒に誘ってくれたのです。
吉村は取り立ててハンサムと言う訳では有りませんでしたが、
感じのいい渋いタイプの男でした。

夫以外の男性とお酒を飲むなんて、本当に久し振りの事でした。
いいえ、夫とだってここ何年かはろくに会話のない毎日だったのです。

 
肉欲と嫉妬1-2
家には適当に言い訳をして、私は吉村とお酒を共にしました。
デパートの近くのスナックで飲み、カラオケを歌い、
私はすっかり良い気分に成っていました。
「仲村さんのような人に来て貰って、助かったよ。
 よく働いて呉れるし、美人だし・・・」
「まあ、イヤだわ、部長・・・こんなオバサンを?まえて、ご冗談ばかり」
「いや、冗談なんかじゃないよ。中村さんは若く見えるし何より上品だ。
 貴女のような人は、ウチのイメージアップになりますよ」

これまた、久し振りに聞く褒め言葉でした。
男の褒め言葉がどれほど女性を生き返らせるか、
世の亭主族は気付いてはいないでしょう。

私は何時しか吉村のペースに嵌り込んでいました。
年甲斐も忘れてすっかりはしゃいで、
最後には吉村とチークダンスを踊っていた私なのです。

「どこか、二人きりに成る所へ行きたいな。どうですか?」
「ま、まあ、部長ったら・・・私には、私には主人が・・・」
「それを言うなら、僕だって同じ事ですよ」
「そうよ、奥様に悪いわ・・・」
とは言ったものの、チークダンスのせいで私の私の肉体は早くも火照り初めて居たのです。
吉村の体臭、ぴったりと押し付けられた厚い胸板に腰、
そして何時しか口唇までもが私の頬に触れ・・・。
「お互い、家のことは忘れましょう。ね、仲村さん、いや郁子さん!」

吉村にギュッと抱き締められると、私の理性はぐんにゃりと溶けて崩れてゆきました。
結婚して25年、一度たりとも夫を裏切ったことはありません。
「ね、行きましょう。近くにいい所があるんです」
熱い吐息を耳朶に吹きかけられると、腰から力が抜けてゆきました。
一瞬にして、私の頭からは夫のことも子供の事さえも消え去っていたのです。

いまと成っては単なる言い訳に過ぎませんが、当時の私達夫婦はすでに
男と女ではなくなっていました。結婚して25年にもなれば、それが当たり前かも知れません。

けれど、私だって生身の女、女盛りなのです。
家庭から飛び出して、改めてその事実を認識していたのです。
そこへもってきて、吉村に誘惑されては火に油を注ぐようなものでした。
一旦油を注がれた火は、やすやすと消す事など出来ないのです。
  1. 熟年夫婦の色々
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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