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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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義姉は初恋の同級生。其の一

◇帰郷出来ぬ夜◇
義姉は初恋の人1-1
「義姉(おねえ)さん・・・」
私は、窓辺に寄りかかって空から舞い落ちる無数の雪をぼんやり眺めている
彼女の横顔に向かって、声をかけた。
別に何か話したいことがあった訳ではない。独りでに声が喉をすべり出ていたのだ。

ホテルの九階だった。部屋の中はよく暖房が利いていた。しきりと雪の降る窓の外は、
全く音の消えた別世界だった。
それを背景にして、美しい横顔が浮かび上がっていた。わずかに伏せた長い睫毛が
どことなく淋しそうで、思わず声をかけてしまったのかもしれない。

「なあーにっ・・・?」
彼女が首だけをよじって私を見た。
「あ、いや・・・何を考えているのかなと思って・・・」
思いがけず強い視線だったものだから、私はドギマギしてしまった。

「何も考えてなんかいないわ。それより、もういい加減に“義姉(おねえ)さん”と呼ぶのは
 やめてくれないかしら。私たちは同い年なんだから・・・」
彼女がソファに座っている私の前にやって来た。
私は二つのグラスにビールを注いで、一つを彼女の手に持たせた。

「義姉さんが、その方がいいのなら・・・」
「ほら、また言っている」
彼女が微笑んだ。どこか懐かしさを含んだような微笑だった。

私が、“義姉さん”と呼んでいる彼女は、中学時代は同級生だったのだ。
旧姓、浅野紀子。当時、彼女は活発な少女で、ソフトボール部に所属していた。
それが、私が東京の大学に行っている時、四つ年上の兄といつの間にか
付き合っていて結婚をしたのだ。

その時から、同級生は兄嫁となってしまった。私は大学を卒業後も田舎に帰らず、
埼玉に暮らすようになったが、帰省のたびに彼女の幸せそうな笑顔に接していた。
ところが、兄は十年前に他界して、彼女は未亡人となってしまった。
葬儀の時、私は盛んに彼女を元気付けたが、それから三年後、
今度は私の方が妻を亡くしてしまった。

 
義姉は初恋の人1-2
去年の二月、私は亡き妻の七回忌法要を営み彼女も上京してくれた訳だが、
生憎と関東地方は例年にない大雪となり、各航空会社は早々とフライトを取り止め、
彼女は帰れなくなってしまった。

空港近くにホテルは取れたのだが、女一人では心細いと言うので、
私も一緒に泊まる事にしたのだった。もちろん、部屋は別々に取ったのだが・・・。
「悪いわね、私の我が儘に付き合わせてしまって・・・」
彼女がビールを一口飲んで、軽く頭を下げた。上唇にビールの泡が付着していた。
それは窓の縁にとどまっている雪のように、中々消えてなくならなかった。

「いいんだ。僕も気分転換になるから・・・」
今度は私が窓辺に立った。遠くの風景が鉛色の中に溶け込んでいる。
「だけど、貴方が居なくて由紀子さん、淋しがっていらっしゃるでしょうね」
彼女が私の亡くなった妻の名前をだした。
「息子や嫁も居るし、孫も居て賑やかにしてるだろうよ・・・それに・・・」
私は外を向いたまま、言った。
「それに・・・?」
「そろそろ由紀子の事は余り考えない様にした方がいいのかと思ったりしている」
「誰か好きな人でもできたの?」

彼女が私の背中をジッと注視している様なきがした。だけど私は直ぐに振り返った。
「違うよ!」
自分で何をムキになっているのだろうと思った。
「それより義姉さん・・・いや、紀子さんはまだ兄貴と一緒に生きて行こうと思っているの?」
私は彼女の前に座った。すると彼女は目と目が合った途端に視線を泳がせたのだ。

何故、彼女が狼狽したのか、私には理解出来なかった。
ひょつとしたら兄が死んでからの十年間、
彼女も男性と付き合いが有ったのかも知れない。
いや、今も・・・。
それはそれで仕方ないことだった。それより、とにかく話題を変えなければと思った。

「・・・雪と言えば、覚えてる・・・?」
私は自分で言って、とにかくオテンバ少女だった中学生の彼女を、
急に鮮やかに思い出していた。
  1. 義姉相姦
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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