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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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遺骨の無い墓。其の五

◇遺骨の無い墓
神戸の女5-1
私は四国で三年過ごした後、一旦横浜工場に戻り60歳の定年を迎えました。
その後65歳まで技術系は嘱託として働くことが出来ると言う規定に則って、
給料は大幅に下がりましたが、退職金が出ましたので、自宅を新築して
二所帯住宅にし娘夫婦と一緒に住む事にしたのです。

妻は家も綺麗になり娘と住めると言う事でニコニコです。
「亭主元気で留守が良い」と言うわけで、私は再び神戸に単身赴任いたしまして、
香織さんとの関係も復活したのですが、
何時までも不道徳な関係が続くものでは有りませんでした。

二人の関係が8年目に入ろうと言うある日、彼女が深刻そうな顔をして、
「うちの人、薄々感づいたらしいの。
 私に誰か好きな人が出来たらしいって、疑って居るのよ」
と、云ったのです。

「えっ!?」
と、私は眼を剥きました。すると彼女は、あわてて、
「ううん、貴男の事にハッキリと気付いて居る訳じゃないの・・・
 でも、どうしたら良いのかしら・・・」
と、すがる様に私を凝視します。

「そうだね・・・」
私は長い間考えた末、思い切る様に、
「しばらく逢うのを止めようか」と云ったです。
「いやよ、そんな事は出来ないわ」
彼女は当然のように、激しく首を左右に振って拒みました。

しかし、私が尚も説得したら、渋々ながら納得した彼女。
結局、互いに離婚して今の生活を捨て、
二人して新しい人生を切り拓いて行く勇気が私には無かったのです。
家族の絆や愛を捨て、世間の好奇の眼に晒されながらも
強く生きていく勇気が・・・。
この時、私たちの関係は静かに幕を閉じたのでした。

 
神戸の女5-2
私は相変わらず、四国や九州を飛び回って居りました。
神戸に居る時はたまに道で香織さんとすれちがっても軽い会釈を交わすだけで、
二度と肌を合わせる事は無かったのです。

そして五年前私が65歳で愈々現役を引退しなければ成らなくなった年です。
私が福岡から帰ってくると、香織さんが急死した事を知らされました。
それはまるで、親しく口も効かなくなった私の冷たさ、不誠実さに抗議する様な死に、
私は思えました。

通夜や葬儀にも顔も出さずに居たのです。知らなかったとは言え、最後を看取る事も
出来なかった私の不実を恨んで居ただろうと思うと涙が止まりませんでした。
私は教えられたお墓に行って彼女の戒名を書き写してきました。

私には妻に内緒の隠し預金がありました。サラリーマン40年の間に蓄えた貯金です。
給料は振込みで妻の管理する口座に入金されて居りましたが、
出張旅費等の経費の精算は即日決済でしたから、旅費や宿泊費を切り詰めて
規定額との差額を溜め込んでいたのです。

私は其の金で家から一寸離れたお寺が経営する墓地を一区画買い求め、
小さな墓を建てました。永代供養代を含めて三百万円程掛かりましたが、
遺骨の変わりに、香織さんと付き合っていた時に貰った染付きパンティや
車の助手席に落ちていた彼女の陰毛を掻き集めて取って置いた遺品と写真を
葬りました。
神戸の女5-3
そして二十五日の月命日になると墓を訪ねて
「この世では一緒になれなかったけど、あの世では夫婦に成ろうね。
 だから、待って居て呉れ」と彼女に語り掛ける私。
この前の時は、墓に手を合わせて居たら、不意に生前の彼女の事が思い出されて来て、
私は不覚にも涙を滲ませてしまいました。上手ではなかったけど、
懸命に私の陰茎を尺八し、精液を飲むのが好きだった彼女。

「貴男のカルピスをよく飲むでしょ。だからこの頃お肌が
 ツヤツヤして来た様な気がするわ」
と、いつか甘えて笑って居た彼女。
「そうだね。香織さん、今から飲ませて上げるよ。
 香織さんが大好きだった私のカルピスを・・・」

私は周囲に人影が無いのを確かめると、ズボンのファスナーを下ろし、
陰茎をつまみだしました。そして、激しくしごき立てると、
彼女の墓に抱きつく様にして、射精をしたのです。

精液は墓石をトロリと流れ落ちました。
その瞬間、私は彼女がどこからか、
「美味しい」
と、うっとりと笑って云った様な気がしたのです。
END
  1. 忘れえぬ人
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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