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異性への恋心を大切にして生きてきた昭和の時代を振り返ってみましょう。

思い出される昭和のあの日あの頃

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遺言状未亡人の歓喜の嗚咽。其の一

◇驚愕の遺言状◇
登山仲間
一生の内に一人でも心の通える親友を持つ事は幸せの一つですが、
私にもそんな親友が居りました。過去形で書いたのには、
すでに彼が亡くなって、この世には存在しないからです。

菅原道夫(仮名)といって、幼い頃からの竹馬の友でした。
一緒に悪さをしては近所の叔母さんに叱られたり、
思春期には夜を徹して、倉田 百三や西田 幾多郎などを語り合ったり、
登山やスキーなどもにも良く一緒に行ったものです。

大学は彼は京都の私学に学びましたので別々でしたが、卒業後は、
地元に戻ってきて就職しましたので、また友情は復活しました。
よくよくの腐れ縁だと、二人して笑ったものです。
その後は一緒になって女郎買いなどもしたものです。

彼はその後、恋人が出来た時は私に真っ先に紹介しましたし、
私も付き合っていた女(女房)が妊娠して年貢を納めなければならなくなった時、
第一に彼に相談しました。

そんな仲でしたから、彼が癌であっけなくこの世を去った時、
私はポッカリと心に空洞が空いたようで悲嘆に暮れました。
おそらくは女房が死んでも、これ程の悲しみはないでしょう。

私は通夜には一晩中傍に居てやって、葬儀の日も火葬場まで同行し、
煙となって天国へ昇って行くのを見送ってやりました。
私は二、三日はボーッとして過ごしましたが、それでも彼の死が
心のどこかでは信じられぬ気持ちでおりました。

そして、彼の四十九日が済んだ翌日、私の元に驚くべき封書が届いたのです。
見慣れた筆の文字。まさかと思って差出人の名前を見ると、
菅原道夫と確かに書かれてあるではありませんか。
何度見ても特徴ある“はね”は彼の文字に間違いありません。

葬式の時、私は確かに彼の遺骨をこの目で見ています。
それなのに私はひょっとして彼が生きているという錯覚に襲われました。
次に、筆ペンの文字が少し薄い事から、或いは天国から書き送って
来たのかも知れないと、一瞬、馬鹿な事を考えました。

とにかく半信半疑ながら何を書き送って来たのか確かめるのが先決だと
思いまして、私は奥の書斎に閉じ篭ると、身構えて手紙の封を切ったのでした。

 
熟女専科83
私は読み進んで行く内に、一層驚きました。
確かに彼の手紙に間違いありませんでしたが、
信じられないような事が書き記してあったからです。

その内容は彼らしく
『あまり頭の良くない我が友へ』で始まっておりました。
それから、
『私はもう長くは生きられない。妻は隠しているが、私には判る。
 この手紙を貴兄が読む時は天国に居るはずだ』
と病気の事が書いてありました。

どうやら彼は末期の癌である事を知っていたようでした。
私は死に直面した彼の苦悩がいかばかりだったかと考えると、
やりきれなくなりました。

が、次の文面は私を唖然とさせました。
抜き書きしますと・・・。
『過日、私が死んだら、誰に抱かれたいか正直に言ってみろと、妻に訊いてみた。
 最初、妻は馬鹿馬鹿しいと言って取り合わなかったが、しつこく聞くと、
 わざと笑顔を作って、其の上冗談めかして、もしあなたが死んだら、
 大野さんに抱かれたいわね、と貴兄の名前を出した次第。
 
私はそれが妻の本心である事を知っている。
 だからと言って、私は妻も貴兄も咎めるつもりはない。
 貴兄が妻と密かに通じるような人間で無い事はよく知っているし、
 また妻を信じてもいる。

私は今日まで私に尽くしてくれた妻に心から感謝している。
 だから、私が死んだらせめて妻の願いを叶えてやりたいと思っている。
 そこで貴兄に、未亡人となって性欲を持て余しているに違いない
 妻を抱いて貰いたいのだ。
 あんな老妻を抱いてくれと頼むのは心苦しいが、
 私の最後の頼みと思って、引き受けて貰えないだろうか・・・』
熟女専科168
私は暫くは思考回路が止まった侭でした。
そして、改めてもう一度読み直してみました。

彼の奥さん雅代さんは五十五歳、なかなかの美人です。
私は彼女に密かに想われていたと知らされ、
いささか面映いような感情に捉われましたが、それよりも、
彼がそこまで奥さんを愛していたのか、
こんな愛の形が果たしてあるものだろうかと唸りました。

私は手紙をどうしょうか迷いました。
途方も無い内容でしたので散々悩みました。

そして、これは彼の遺言と同じだと思いまして、
とにかく奥さんに見せようと、結論を出したのです。
この時の私に、邪悪な感情はありませんでした。

と言っても男ですから、心の奥底ではある種の期待を、
僅かなりとも抱いていた事は否定いたしませんが、
親友の奥さんに対する節度は決して
失わない自信はあったつもりです。
  1. 未亡人の性
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アヤメ草

Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。

私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。

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