若き日の少女の純愛。其のニ
◇華やかな世界
そんな可愛げのない朝子から、私は自然に離れていった。
その年流行った言葉で言えば[不快指数]が50%の少女。
前年ヒットした映画タイトル[勝手にしやがれ]である。
それに、その時の私には恋人がいた。
さらに夏から、私は舞踏用品部の[日劇]係にもなっていた。
それは華やかで愉しい仕事だった。
昭和三十三年から始まったウエスタン・カーニバルで隆盛した日劇は、
宝塚レビューでも客を集め続けていた。
さらに、その日劇の上階にあるミュージック・ホールの上品でエロチックな
レビュー・ショーは、連夜満員になるほどの人気を呼んでいた。
まだ公には、ポルノが解禁になってはいなかった。
ピンク映画の第一号と言われる[肉体の市場]が封切られるのは、
翌年の三十七年三月である。
裸の女体を堂々と観られるミュージック劇場に男が群がるのは当然だった。
その劇場の舞台裏に、私は自由に出入り出来たのだ。
成熟した女性の裸身を間近に見られて、親しく会話も出来る仕事だった。
朝子など、とても構う気にはなれない。
その業務は、男女ダンサーの舞台衣装をオーダー・メイドで販売する事だった。
男性ダンサーはともかく、女性ダンサーの身体サイズを測る時は眩しい。
相手の女性のむほとんどが素足素肌の裸。ミュージックホールのダンサー等は、
乳房丸出し、股間には小さなバタフライのみである。
しゃがんで彼女らの下半身を測る私の眼には、眩し過ぎる。
さらに、ブーツの舞台靴は脹脛、ロングの場合は太腿の寸法もとらねばならない。
彼女らの脚の素肌に触れると、まだ二十一歳の私の手は震え、
どうしても紅潮する顔には汗が滴ってしまう。
それが気に入られたのかも知れない。私は彼女らに可愛がられた。
それが自信になって、私は男女ダンサーたちと冗談を交わせるほど慣れ親しくなり、
翌年には顔が赤らむ事もなくなっていた。
その昭和三十七年。二月頃か、私は日劇のレビュー・ダンサーの一人、
アカネ(仮名)さんと、親密な仲になれたのだ。
私はトリス・バーが好きだった。一人で孤独っぽく、ストレートのウイスキーを寂しげに
喉に放り込むのが格好良いと思ってた。裕次郎映画の真似をしていたのである。
その冬の夜、銀座みゆき通りのトリス・バーで一人飲んでいた私は、その意味では、
まさにサマになっていたはずだ。私は恋人を失っていたのだから・・・。
カウンターを前にしていた私は、背後から肩を叩かれて振り向いた。
そこにはアカネさんの輝くような笑顔があった。その男っぽい快活磊落な言動と裏腹な、
白く艶やかな美貌に私が密かに憧れを抱いていて、しかも私を可愛がってくれる
日劇女性ダンサーのベテラン熟女だった。
「君も独り?一緒に飲もうか・・・」
映画の一場面のような、その台詞に私は舞い上がってしまった。
華やかな舞台に立つ、美しいレビュー・ダンサーと夢のような会話を交わしつつ、
飲み交わす酒は甘美過ぎる。酔った私は、バーを出てから、彼女に案内されて
七丁目の[お多幸]でおでんを食べたのは覚えているが、その後で何軒のバーを
巡ったのかは、年経た今は当然記憶に無い。
翌朝。目覚めた私は、自分が柔らかなベッドの上に寝ていたのを知った。
その隣には温かな女性の裸身が寄り添っている。それがアカネさんだ、と直ぐ判った。
慌てている私の胸元で、栗色の髪の毛が波打って、
彼女の整った美貌がクスリと笑って仰向いた。
「昨夜、できなかったわね・・・」
意味が判って私は真っ赤になった。
「酔っていたから、いいのよ・・・」
毛布が跳ね除けられて、真っ白な、今までに見たことも無い円い乳房が露になった。
さすがに選ばれたダンサー。素晴らしい乳房だった。私のペニスはいきなり勃起していた。
そのペニスに彼女の指が柔らかく絡みついて、
「ふふ、できそうよ・・・」彼女が足で毛布をさらに押し下げた。
妖しく黒い陰毛が、真っ白な下半身に燃え上がっている。
その股間が緩やかに開いて、私を誘い導いた。
私も多少の女体経験を積んでいたが、彼女が教えて呉れた様な、
妖艶なセックスをした事がない。舌を濃厚に使うキスや、
女性の乳房や乳首への愛撫の方法。クンニリングスのやり方も、
自らが題材になって、懇切丁寧に教えてくれたのだ。
そして、その果てが眼も眩むフェラチオだった。
そんな可愛げのない朝子から、私は自然に離れていった。
その年流行った言葉で言えば[不快指数]が50%の少女。
前年ヒットした映画タイトル[勝手にしやがれ]である。
それに、その時の私には恋人がいた。
さらに夏から、私は舞踏用品部の[日劇]係にもなっていた。
それは華やかで愉しい仕事だった。
昭和三十三年から始まったウエスタン・カーニバルで隆盛した日劇は、
宝塚レビューでも客を集め続けていた。
さらに、その日劇の上階にあるミュージック・ホールの上品でエロチックな
レビュー・ショーは、連夜満員になるほどの人気を呼んでいた。
まだ公には、ポルノが解禁になってはいなかった。
ピンク映画の第一号と言われる[肉体の市場]が封切られるのは、
翌年の三十七年三月である。
裸の女体を堂々と観られるミュージック劇場に男が群がるのは当然だった。
その劇場の舞台裏に、私は自由に出入り出来たのだ。
成熟した女性の裸身を間近に見られて、親しく会話も出来る仕事だった。
朝子など、とても構う気にはなれない。
その業務は、男女ダンサーの舞台衣装をオーダー・メイドで販売する事だった。
男性ダンサーはともかく、女性ダンサーの身体サイズを測る時は眩しい。
相手の女性のむほとんどが素足素肌の裸。ミュージックホールのダンサー等は、
乳房丸出し、股間には小さなバタフライのみである。
しゃがんで彼女らの下半身を測る私の眼には、眩し過ぎる。
さらに、ブーツの舞台靴は脹脛、ロングの場合は太腿の寸法もとらねばならない。
彼女らの脚の素肌に触れると、まだ二十一歳の私の手は震え、
どうしても紅潮する顔には汗が滴ってしまう。
それが気に入られたのかも知れない。私は彼女らに可愛がられた。
それが自信になって、私は男女ダンサーたちと冗談を交わせるほど慣れ親しくなり、
翌年には顔が赤らむ事もなくなっていた。
その昭和三十七年。二月頃か、私は日劇のレビュー・ダンサーの一人、
アカネ(仮名)さんと、親密な仲になれたのだ。
私はトリス・バーが好きだった。一人で孤独っぽく、ストレートのウイスキーを寂しげに
喉に放り込むのが格好良いと思ってた。裕次郎映画の真似をしていたのである。
その冬の夜、銀座みゆき通りのトリス・バーで一人飲んでいた私は、その意味では、
まさにサマになっていたはずだ。私は恋人を失っていたのだから・・・。
カウンターを前にしていた私は、背後から肩を叩かれて振り向いた。
そこにはアカネさんの輝くような笑顔があった。その男っぽい快活磊落な言動と裏腹な、
白く艶やかな美貌に私が密かに憧れを抱いていて、しかも私を可愛がってくれる
日劇女性ダンサーのベテラン熟女だった。
「君も独り?一緒に飲もうか・・・」
映画の一場面のような、その台詞に私は舞い上がってしまった。
華やかな舞台に立つ、美しいレビュー・ダンサーと夢のような会話を交わしつつ、
飲み交わす酒は甘美過ぎる。酔った私は、バーを出てから、彼女に案内されて
七丁目の[お多幸]でおでんを食べたのは覚えているが、その後で何軒のバーを
巡ったのかは、年経た今は当然記憶に無い。
翌朝。目覚めた私は、自分が柔らかなベッドの上に寝ていたのを知った。
その隣には温かな女性の裸身が寄り添っている。それがアカネさんだ、と直ぐ判った。
慌てている私の胸元で、栗色の髪の毛が波打って、
彼女の整った美貌がクスリと笑って仰向いた。
「昨夜、できなかったわね・・・」
意味が判って私は真っ赤になった。
「酔っていたから、いいのよ・・・」
毛布が跳ね除けられて、真っ白な、今までに見たことも無い円い乳房が露になった。
さすがに選ばれたダンサー。素晴らしい乳房だった。私のペニスはいきなり勃起していた。
そのペニスに彼女の指が柔らかく絡みついて、
「ふふ、できそうよ・・・」彼女が足で毛布をさらに押し下げた。
妖しく黒い陰毛が、真っ白な下半身に燃え上がっている。
その股間が緩やかに開いて、私を誘い導いた。
私も多少の女体経験を積んでいたが、彼女が教えて呉れた様な、
妖艶なセックスをした事がない。舌を濃厚に使うキスや、
女性の乳房や乳首への愛撫の方法。クンニリングスのやり方も、
自らが題材になって、懇切丁寧に教えてくれたのだ。
そして、その果てが眼も眩むフェラチオだった。
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プロフィール
Author:アヤメ草
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アヤメ草(万屋太郎)です。
演歌の作詞や官能小説書きを趣味とする、
今年72歳に成る“色ボケ爺さん”です。
何時も私のブログを見て頂き
有難う御座います。
私の別ブログ
“詩(うた)と小説で描く「愛の世界」”
も開設から八年目に入り、
多くの作品を公開してまいりました。
此処にはその中から選んだ
昭和時代の懐かしい「あの日あの頃」
の作品をまとめて見ました。
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